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「契約者貸付制度」の4つの落とし穴 ~自分の保険からお金を借りる~

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「契約者貸付制度」の4つの落とし穴 ~自分の保険からお金を借りる~

契約者貸付制度って何?

保険について考える

  葬儀費用や家族の生活費、子供の教育費など、目的を持って加入する人がほとんど。しかし、保険料を納めている間にも、急にお金が必要になることがありますよね。

  たとえば、子供の部活遠征費用、思いがけない車の購入など、一時的でも費用が必要な時があるはず。そのたびに、ローンを組むことも可能ですが、金利を考えるとあまりお金を借りたくないのも現実。

  そこで利用できるのが、生命保険の「契約者貸付制度」です。

  契約者貸付制度とは、積立タイプの生命保険(終身保険、養老保険、学資保険など)の場合、解約払戻金がもうけられています。その解約払戻金の範囲内で、お金を引き出すことができるという仕組みのことです。

  もとは自分が支払った保険料ですが、支払った時点で保険会社のお金となっているため、引き出す場合には「契約者貸付」という呼び名になり、保険会社からお金を「借りる」ということになります。

契約者貸付の4つの落とし穴

利率が複利で適用される

  保険会社から借りるお金となれば、貸付金には利率が設けられ、その利率が年利・複利で適用されます。

  たとえば、2%の利率が適用されている貸付制度で、100万円の貸付を受けたとしましょう。貸付金を1年間返済せずにいると、翌年には102万円になります。さらに、その翌年には102万円の2%が付加されますから、約104万円。さらにその次の年は104万円の2%が付加され約106万円となり、返済額は年々増加していくことになります。
 

お宝保険は利率が高い

  バブル期前後に加入したお宝保険。予定利率が5.5%などといった今では考えれれないほどお得な保険がありますが、契約者貸付を受ける際には返済利率も高額になることがあります。

  お宝保険の場合は、解約払戻金の額も多くなりますが、その分返済額が多くなる可能性もありますので、貸付を受ける前に返済額や貸付利率を確認することが大切です。
 

保険が失効してしまうこともある

  契約者貸付は、解約払戻金の範囲内であれば、何度でも貸付を受けることが可能です。ただし、借りるだけ借りて返済をしないでいると、返済額が解約払戻金の額を超えてしまうことがあります。そうなると、保険そのものが失効してしまい、保険の効力が無くなってしまいます。

  貸付金を返済すれば保険を復活させることはできますが、その時には返済額もかなり高額になっていることが予想されます。このようなことが無いよう、貸付を受ける場合は返済計画をたててから借りるようにしましょう。

祝い金がある場合、返済額を差し引かれてしまう

  貸付を受け、返済をせずにいた場合、複利運用されることで返済額が大きくなります。学資保険など満期がある保険の場合、祝い金から返済額を差し引いた金額が祝い金として給付されることになります。

  たとえば、返済額が100万円、祝い金額が200万円の場合、差し引きされた100万円が祝い金として支給され、100万円は返済に充てられることになります。教育資金などのために貯めたお金であっても、返済額によって差し引かれた場合には、目的のために利用することができないということもありますので、注意が必要です。

契約者貸付は一時的利用がベスト

  契約者貸付は、自分の保険を利用してお金を借りることができることから、とても便利なものではありますが、使い方を間違えると保険そのものが無くなってしまう諸刃の剣ともいえます。

  貸付金は、「一括返済」「一部返済」「利息のみ返済」の3通りから選ぶことができますので、保険を有効に生かすために計画をたてた返済が必要です。貸付元金を増やさないようにするために、一時的に利息のみ返済をし、まとめて支払える時に一括返済をするなどという方法もとることができます。

  保険はお金を借りるために加入するのではなく、目的に合わせて加入しているはずです。一時的な貸付であれば良いですが、そうでない場合には安易に契約者貸し付けを利用せず、普段の家計を改善することの方が先決です。

《完山 芳男》
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完山 芳男

完山 芳男

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表 米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。 寄稿者にメッセージを送る

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