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「中小型株」投資の魅力 10年後に資産が1000倍になる可能性も

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「中小型株」投資の魅力 10年後に資産が1000倍になる可能性も

  最近、ある投資家の方とお話しした時にこんな事を言われました。

「証券会社の店頭で、配当利回りを重視した大型株での安定運用も魅力ですが、成長著しい中小型株へ投資することで、資産が100倍、1000倍になる可能性もありますと言われましたが、なんだか現実離れした空想、感覚的な話でいまいち、ピンときません。本当にそういったことがあり得るのでしょうか?もしよろしければ、ファンダメンタルズ分析を使ってわかりやすく説明していただけませんか」

  上記の質問に対し、企業のファンダメンタルズを分析し、利益や資産ベースの基準に対して、割安なものに投資するバリュー投資の観点から、PERという指標を取り上げて、その仕組みを説明していきます。

バリュー投資の視点からPERで見てみましょう

  PERは株価収益率と言われ、株価の割高感・割安感を測るバリュエーション指標です。

  一般的に、PERが低いほど、企業の利益に対して株価が割安、PERが高いほど、企業の利益に対して株価が割高と言えます。具体的な計算式は『PER(株価収益率)=株価÷EPS(1株当たり純利益)』となっており、この式を変形すると、(理論)株価=EPS×PERと表されます。よって、EPSが上昇する、もしくはPERが上昇すると、理論株価は高くなり、EPSが下落する、もしくはPERが下落すると、理論株価が低くなります

  では、例を用い、実際に理論株価を計算してみましょう。ここに、売上高100億円、純利益30億円(利益率30%)、発行済み株式数1億株、EPS(30億円÷1億株)が30円、PER10倍、(理論)株価(PER×EPS)が300円の企業があるとします。以下の表は、年平均売上成長率、利益率、PER を変数とした10のケースで理論株価を算出しています。


*ケース(4)、(5)は1年目以降利益率が上昇すると仮定しています。
*ケース(6)、(7)は1年目以降PERが上昇すると仮定しています。

表から読み取れること

  表からは次のことが読み取れます。

 「年平均売上成長率」が変数で、利益率、PER、発行済み株式数が変わらないとすると10年後の株価は、それぞれ12.8倍(ケース(1))、27.9倍(ケース(2))、56.7倍(ケース(3))となっており、高い売上成長に基づく利益の伸びが理論株価を押し上げていることがわかります。

 「利益率」が変数で、年平均売上成長率30%、PER10倍、発行済み株式数が変わらないとすると10年後の株価は、17.4倍(ケース(4))、22.0倍(ケース(5))となっており、利益率の向上が理論株価を押し上げていることが読み取れます。商品の値上げや利益率の高い製品群の販売ウェイト増加、コスト(原料費、人件費、販売費用など)の削減などが利益率を押し上げる要因となります。

 「PER」が変数で、年平均売上成長率30%、利益率30%、発行済み株式数が変わらないとすると10年後の株価は、26.6倍(ケース(6))、40.4倍(ケース(7))となっており、PERの上昇が理論株価を押し上げていることが読み取れます。過去平均、同業他社平均、市場平均の水準やその水準からのプレミアム、ディスカウントがPERを変化させる要因となります。

  ケース(8)、(9)、(10)では、複利ベースで、10年後売上高で約1兆円企業になると想定し、年平均売上成長率を58.5%とした上で、10年後の株価を算出しています。

  ケース(8)では、利益率30%、PER10倍が10年間変わらない中で、将来の売上高1兆円企業を発掘し、投資したとすると、10年後には資産が約100倍(99.1倍 ケース(8))となることを理論株価は示しています。

  ケース(9)では、将来の売上が1兆円に到達し、かつ、優良企業としての位置づけを確立したことで、PERが30倍に上昇したケースを想定し、理論株価を算出しています。(299.2倍 ケース(9))

  ケース(10)では、将来の売上が1兆円に到達し、かつ、企業努力で利益率を40%まで引き上げた上、インターネットの登場の時のように将来のビジネス風景を一変させるであろう事業を展開するなど市場の期待が大きく高まったことにより、PERが75倍まで上昇したケースを想定しています。そうした場合、10年後には資産が約1000倍(999.7倍 ケース(10))となることを理論株価は示しています

投資家を惹きつける中小型株の魅力

  以上、見てきたケースは、あくまで10年後の理論株価算出の単純なモデルです。すべての企業が高成長を遂げられる、または高い利益率を維持できるというわけではありません。売上が減少する時期もありますし、利益率が低下、もしくはマイナスになり、利益が赤字に陥る局面もあるかもしれません。

  市場の人気の圏外に置かれ、PERも低位で放置される可能性も残っています。中には、途中で破綻して投資価値がゼロになってくる企業も出てくるでしょう。

  そして、なんといっても実際の株価が必ずしも理論株価と一致するとは限りません。ただ、運用業務、企業分析のプロと言われるファンドマネージャーやアナリストが投資の意思決定で用いることが多いPERをベースにはじきだした理論株価・目標株価の考え方であることには変わりなく、また、実際の企業の中でも、100倍、1000倍のリターンを達成したケースも確かに存在しています。

  国内で独自のビジネスモデルを活かしたり、または経済成長著しい海外へ事業展開することで、高い売上成長と利益率を達成し、PERの上昇が期待できる将来の優良中小型株を発掘することで、長期のダイナミックな高いリターンを獲得できるチャンスがすべての投資家の手の中にあるという事実。

  銀行の預金金利が年率1%を割り込み、運用力の向上が必要とされる日本の投資家にとって、株式投資で10年後の資産が100倍、1000倍になるという現実的に起こりうる夢を与えてくれるのが『中小型株』投資の魅力であり、それが今、投資家の間で関心を集めている理由かもしれません。

*上記のコメントは筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する会社または組織の見解ではございません。また個別銘柄の推奨、商品の投資勧誘を目的としたものではありませんのでご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

《中村 貴司》
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中村 貴司

国内・外資系証券会社、損保系運用会社等を経て、現在、証券系運用会社でファンドマネージャーに従事。15年以上の金融・証券業界経験、運用会社では年金、投資信託などを通じて、アクティブ及びクオンツ手法を用いた外国株式への投資経験を持つ。また、現場の証券営業のキャリアもあり、そうした経験を活かし、現在では投資家心理も重視した運用を心掛けている。 <保有資格> 英国国立ウェールズ大学大学院MBA、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、CFP(日本FP協会認定)、FP技能士1級、国際テクニカルアナリスト連盟 検定テクニカルアナリスト®(MFTA)、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士 寄稿者にメッセージを送る

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