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不動産・資産活用は「何のために」が一番大事 使うことが相続対策になることも

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不動産・資産活用は「何のために」が一番大事 使うことが相続対策になることも

 消費増税から、早、3週間が経とうとしています。ここにきて消費増税後の景気の落ち込みが心配になってきます。株価に影響がでなければいいのですが…。コラムを書こう…何を書こう…と思い悩んでいる時に、昔、相談を受けた土地活用が思い浮かびました。旧職の財産コンサルタントのサラリーマン時代に受けた相談です。

実際に受けた土地活用の相談

 浜松町や横浜、吉祥寺の方に、マンション、貸家、貸地、駐車場等を所有している方からの相談でした。一部上場企業にお勤めのかたで、住居は練馬区の方にマンションを購入して住んでいました。浜松町の不動産は、親御さんからの相続で、兄弟3人で分割して取得したものです。

 そのなかで、一部は、共有所有となっていました。浜松町のマンションが兄弟3人で共有、これは、まだ軽傷。吉祥寺の方にある貸地は祖父の代からの共有ですから、共有者の数は実に20人程度、こうなると、何ともはやどう処分しようかという感じです。このまま共有者を増やし続けていくものやら…考えることすら疲れているような状況でした。

 この時のご相談内容は、この貸地の問題ではなく浜松町の駐車場の土地活用の相談でした。某ハウスメーカーから、1階にコンビニ、その上の4層を賃貸マンションにする5階建ての活用です。1階のコンビニは、建設協力金方式で確か15年の契約期間であったような記憶です。途中退去の場合、建設協力金の残金は返金するとなっていた記憶です。

 相談内容の第一印象は、この立地でコンビ二を経営して大丈夫か…コンビニを建てて、途中退去されると、その後のテナント付けに苦心しキャッシュフローが心配…といったものです。コンビニを建てても大丈夫かと色々と立地のリサーチをしてみました。

 結論、大丈夫でしょうと答えを出し、かつ、コンビニ会社もその場所の出店を熱望しているとのことでしたのでOKでしょうと話しました。かなり慎重な方で、今度は本当に大丈夫かと怒りながら詰め寄ってくる始末。

 なんで、大丈夫なんだといわれても、立地上はOKでしょうと回答。それでも、本当に大丈夫か、万が一があったら責任はとれるのか的な感じの詰め寄り方でした。こうなってくると、本当に大丈夫とは言えなくなってきます。本当に大丈夫かは分かりませんと答えました。

 その理由として、「そのコンビニの店長となる方、経営される方を私は知らないし会ったこともないとお話し、必ずしも立地の条件だけでコンビニは成功しているわけではないし、立地が劣る場所でも店内はいつもきれいで店員さんの態度も申し分なく、そしてトイレがいつもきれいな、ものすごく流行っているコンビニもあれば、立地がよくても、その真逆で流行っていないコンビニもあると」答えました。

 そして、そんなにリスクが心配あれば、建設協力金の契約途中での退去の場合の返還義務を無くす交渉をすればいいですよとアドバイスしました。(もともと、説明する予定でしたので、最初にお話した方が良かったかもしれません。)

 これには、いい話しを聴いたとばかりに、多少は態度は和らいできました。けっこう当たり前の話なのですが、ありがたいアドバイスになったようです。そして立て続けに、コンビニだけとその上に賃貸マンションがあるパターンとどっちがいいんだと詰め寄ってきました。その回答次第では、露骨に嫌な顔をされかねません。ここは、きちんとした、なぜ、この選択がいいのかを理路整然と説明する必要がありそうです。

不動産・資産活用は”何のために”が一番大事

 とはいうものの、私が発した第一声は、まず自分がどうしたいのか、すなわち、将来どうしたいのか、どういう生き方をしたいのかを、話してくださいと言いました。

 それが、分からないと答えようがないと。実は、このご夫妻には、お子様がいらっしゃらなかったのです。「単純に、事業収支で30年先、40年先に、いくら残りますよが重要ではなくて、どういう老後の暮らしかたをしたいのですか」と聞きました。

 また、土地活用、土地活用、いくら残せる、といった考え方についても、具体的に誰にいくらづつ、残してあげたいのかを教えてくださいと言いました。「結局、本人がなくなったあと、誰に財産がいくんですか? 甥や姪子さんですよ。考えたことがありますか?」と聞きました。

 その時、ご主人は、はっとした顔になりました。肝心なことを忘れていたという感じです。5階建てのマンション付コンビニの方が、甥子さんや姪子さんは、とても喜ぶでしょう。でも、定年後に莫大な借金を抱えて、その残債分が貯まるまでのおおよそ17年間は、空室リスク等を考えて家賃収入には手を出さない方がいいので、結局、80歳位までは倹約した老後の生活を送らざるを得ないと話しました。

 それでも残してあげたいと強く思える人がいれば、それでいいですよと。結論として、「子供がいればマンション付コンビニをお奨めします。子供がいなければ、コンビニのみをお奨めします」と回答しました。

目的によっては”使うこと”も相続対策に

 最悪、契約期間内に退去をしたとしても建設協力金の残金は払わなくて済みますから、賃料収入は使ってしまっても怖くないでしょうから、健康で丈夫な80歳前に贅沢な老後の生活がおくれますよと話しました。

 いずれにしても税金もかかりますし、ご主人が亡くなったあと、奥様が不自由なく暮らせる金額を残して、かつ甥子さん姪子さんに遺してあげたいものは残して、それ以外は、元気なうちに海外旅行や豪華客船の船旅等で使ってしまうのも相続対策かもしれませんとお話しました。

 そして、最後はすっきりした表情で帰られて、その後ハウスメーカーと相談して建設協力金の返還義務なしでコンビニの建設をされました。定年後は、機会があるたびに、海外旅行等を楽しまれているようです。

 どうしても、当事者は、土地活用というとその活用の効率的なものばかり見てしまいがちですが、どういう目的があるのか、どうしたいのか、どう生きていきたいのか、を改めて見直してみることも重要かも知れません。(執筆者:荒木 達也)

《荒木 達也》
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荒木 達也

株式会社ARK財産承継コンサルタンツ 取締役 (荒木不動産コンサルティングFP事務所 代表) 不動産会社での経理業務、大手不動産会社系列の住宅メ-カ-での住宅・不動産の営業、財産コンサルティング会社での財産コンサルティング業務、会計事務所での相続税等税務全般の申告業務に従事した後、相続対策での不動産対策の重要性を痛感し、公平中立な視点で提案を行う不動産・相続をメインとしたFP事務所を開設し今春新たに法人化。株式会社ARK財産承継コンサルタンツ(荒木不動産コンサルティングFP事務所)は、CFP、不動産コンサルタント、トータルライフコンサルタントである一人のコンサルタントの視点で、財産の現状分析から税務、不動産、相続、保険、資産運用等の総合的な財産コンサルティングを行います。不動産・相続・ライフプラン・保険・資産運用・住宅取得・住宅ローンなど、お気軽にご相談ください。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士、不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、証券外務員2種、住宅ローンアドバイザー、トータルライフコンサルタント、MBA・税理士試験(簿記論・財務諸表論取得)、日商簿記1級 寄稿者にメッセージを送る

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