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将来の年金減少に備えて「子育て世代の夫婦」が今できる対策

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将来の年金減少に備えて「子育て世代の夫婦」が今できる対策

 先月6月、厚生労働省から将来の厚生年金・国民年金の財政見通しが発表されました。5年ごとに発表されるこの発表の中では、今後の日本の人口や労働人口の変化、国民年金保険料の納付率、物価や賃金の変動などを様々な形で予測して、将来の年金制度がどうなるかを検証しています。

受け取る年金はこれからどうなる?

 現役世代の手取り収入に対して年金給付額がどのくらいの割合かを示す「所得代替率」、平成26年度は62.7%ですが、徐々に低下して5割程度になるという試算結果になっています。

 この「所得代替率」は、年金を受け取り始める時には50%超でなければならないとされているのですが、現役世代の収入が物価上昇とともに伸びていくと、年金の支給額がそれに追いつかず、40%台になってしまうとも示しています。

 これからの高齢者人口、労働力人口、経済状態によっては、現役世代の収入に比べて受け取る年金額がかなり少なくなることも予想しています。年金財政安定のための「マクロ経済スライド」という仕組みで年金支給額の伸びが抑えられることも一因となりそうです。これからの年金制度は厳しくなるのは間違いなさそうで、いづれは年金だけで生活するのが難しくなるかもしれません

 しかし、算出のモデルとなっているのは、現役世代に平均的な年収だった会社員の夫と専業主婦の妻という設定。現在の現役世代の方は共働きの方の方が多いので、妻が会社員として働いてた期間の老齢厚生年金が加算され、政府の算出した数字よりは「所得代替率」が多くなるはずです。

子育て世代の夫婦の働き方

 これからの妻は、出産してもなるべく正社員で働き続ける、いったん退職してパートで再就職する場合も厚生年金に加入して将来の年金額を増やす、などの対策で乗り切りましょう。現在の制度では所定労働時間が週に30時間以上働く人は厚生年金保険に加入しなければならないことになっていますが、パートなどの短時間労働の方の多くは、厚生年金料を払わず夫の厚生年金の第3号被保険者となっています。

 そのため、2016年10月から所定労働時間が週20時間以上の方も厚生年金に加入できるようにして、年金財政を安定させようとしています。これは、従業員501人以上の企業に限るというような制限があるため、対象者は25万人程度だといわれています。

 妻が自分で厚生年金保険料を払うと手取りが減ってしまうので、20時間以内で働くことを選ぶ、または従業員数が少なく厚生年金に加入しなくてよい企業に流れるのではないか、とも言われていますが、将来の年金額を増やすためには手取りの給料が減っても、年金保険料を納めるのが有効です。

 結婚後の女性の働き方はさまざまですが、手取りを減らさない働き方を選ぶのか、将来の年金を増やす働き方を選ぶのか、といった選択肢が出てきたのではないでしょうか。もちろん、貯蓄や投資信託、貯蓄性のある保険などで「じぶん年金」を積み立てておくのもいいですね。これからは若いうちから投資の知識も身につけて、時間をかけて少しずつ資産を殖やしていきましょう。(執筆者:福島 佳奈美)

《福島 佳奈美》
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福島 佳奈美

福島 佳奈美

ファイナンシャルプランナー(CFP®) 1968年生まれ。大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。2006年にファイナンシャルプランナー(CFP®)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系ファイナンシャルプランナーとして活動している。 <保有資格>CFP、消費生活専門相談員、DCアドバイザー 寄稿者にメッセージを送る

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