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「婚姻20年以上の場合、住宅購入資金の贈与税ゼロ」の意外な落とし穴

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「婚姻20年以上の場合、住宅購入資金の贈与税ゼロ」の意外な落とし穴

 婚姻20年以上の夫婦の場合、夫から妻あるいは妻から夫へ、住宅あるいは住宅を購入するための資金を贈与したときは、2000万円までは贈与税を非課税とする配偶者控除の制度があります。贈与の基礎控除110万円を含めれば2110万円までは贈与税がかからないことになります。

 贈与税がゼロ。ならば、結婚してから20年以上の感謝の気持ちを妻に伝えたくて、夫から妻へ自宅の一部を生前贈与されるご夫婦が多くいらっしゃいます。素晴らしいですね。司法書士として、不動産の名義書換の登記申請の担当をさせて頂きます。

 でも、ここに大きな落とし穴があります。贈与税はゼロでも、不動産の場合は他の税金がかかります!

不動産の名義を動かせば必ず登録免許税がかかります

 忘れがちですが、不動産の名義変更を行う場合には登録免許税がかかります。

 実際に計算をしてみましょう。

 婚姻30年のご夫婦が、築25年の自宅の不動産を相続税対策も兼ねて夫から妻へ生前贈与をします。築25年の自宅で建物の評価は高くはありません。ですので、自宅の土地30坪を夫から妻へ贈与することにしました。

 路線価や評価証明書を調べると、次の金額でした。

土地30坪
  路線価 
   20万円/㎡とすると、30坪で1980万円

  固定資産税評価額
   市役所で発行される評価証明書によると1800万円

【贈与税】

 贈与税は、土地は路線価の金額で計算をします。自宅の土地30坪をすべて夫から妻へ贈与したとしても、2110万円以下なので配偶者控除の制度を利用すれば、贈与税はゼロ

 贈与税がかからないことを確認してから、夫婦間で贈与契約書を締結します。司法書士として、贈与者および受贈者の贈与の意思を確認いたします。不動産取引の際の意思確認は、司法書士としての大切な業務の一つです。そして、次は、不動産の名義書換の手続きです。

【登録免許税】

 不動産の名義変更を行うには、不動産の管轄する法務局へ「所有権移転の登記申請」を行う必要があります。登記申請で必ず必要となるのが「登録免許税」。登録免許税を納付しないと名義変更ができません

【贈与の登録免許税】
   固定資産税評価額 × 20/1000(税率)

   1800万円の評価の場合、登録免許税36万円 

 その他に、司法書士への報酬を約10万円~とすると、総額約46万円~かかります

事前にしっかりと見積りを

 かなりの金額ですね。このほか、不動産取得税もかかってきます。贈与税がかからないので贈与を検討されるご夫婦も、この名義書換の登録免許税の金額をみて、贈与を再検討される方もいらっしゃいます。

 登録免許税などの負担で思わぬ出費にあわてないよう、事前に司法書士に登録免許税や報酬の見積もりをしてもらいましょう。

 婚姻20年以上の感謝を込めて行われる配偶者への生前贈与。感謝の気持ちがしっかりと配偶者の方に伝わる生前贈与になりますように。(執筆者:国本 美津子)

《国本 美津子》
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国本 美津子

国本 美津子

国本司法書士事務所 司法書士 関西学院大学法学部卒業後、弁護士事務所にて勤務。司法書士試験合格後、2004年国本司法書士事務所を開設。不動産登記、法人登記だけでなく、神戸市の事務所では相続や遺言に特化した司法書士として、女性ならではの細やかな配慮でお客様の相談に応えている。生前の成年後見や任意後見、遺言書、そして遺言執行者として不動産や預貯金の名義書換といったトータルなリーガルサポートを、お客様に立場にたって寄り添いながらの丁寧な業務には定評がある。 <保有資格>:司法書士、宅地建物取引士 寄稿者にメッセージを送る

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