※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

国民年金は「免除申請」すればもう支払わなくてもいい? 2つの誤解と注意点

コラム コラム
国民年金は「免除申請」すればもう支払わなくてもいい? 2つの誤解と注意点

国民年金の「免除制度」に対する2つの誤解

 国民年金には免除制度があります。この制度をご案内すると、時々こう言われる方がいらっしゃいます。「免除の申請をすると、もう国民年金の保険料を支払わなくていいんですよね?」

 ここに誤解が2つあります。

1. 申請する=免除される ではないこと。

 国民年金の免除申請は、あくまでも「申請」です。申請書に所得を証明する書類等をつけて申請し、日本年金機構の審査後、承認されて初めて免除が認められます。申請したからといって、必ず免除されるわけではありません

2. 免除されれば、もう国民年金の保険料を支払わなくて済むわけではないこと。

 国民年金とは、原則として、日本国内に住所を有する20歳から60歳までの人は必ず加入して保険料を支払っていかなければならない制度です。加入して保険料を支払っていくことで、年金を受け取る権利を得ます。

 しかし、毎月の保険料を支払っていくことが厳しい状況になってしまうこともあります。そのようなときに、一定の要件を満たすことを条件として、その状況が続く間、保険料の支払いを免除してあげましょう、というのが、免除制度なのです。要件に該当しなくなれば、再び保険料を支払っていかなければならないのです。一度、免除を受けたからといって、生涯、国民年金の保険料を支払わなくて済むというわけではありません。

国民年金の保障内容

 そもそも、国民年金とは、『保険』です。では、健康保険とどうちがうのか? 保障の対象としている保険事故が違うのです。

健康保険→病気・ケガ・入院
国民年金→老齢(65歳)・遺族(死亡)・障害

※両方とも労災は除きます。

 どうですか? この二つ必要でしょう?

 保険とは、保険料を支払うことが前提となっている制度です。ではなぜ、保険である国民年金に、免除制度というものがあるのでしょうか?

 それは、国民年金が、国民の生活を保障するための基本の制度だからです。そのため、免除という制度を設け、保険料の支払いを免除することで、最低限の保障だけは受けられるようセーフティネットを作っているのです。未納(保険料を支払わない)のままでいると、たとえ保険事故が起きたとしても何の保障も受けられません。そんな事態を回避するためにも、保険料の免除を申請しておくことが必要となります。

「免除制度」の2つの注意点

 ただ、注意点が2つあります。

 1つは、保険事故が起こった時点ですでに免除を申請していることが必要です。たとえば、それまで保険料を支払っていなかった人が、障害が残るような病気を発病し、実際に障害が残ったため慌てて免除を申請したとしても、障害年金は受給できないのです。車で事故を起こしてから、その修理費のために保険に加入できないのと同じです。

 2つめは、免除制度を利用し、保険料の支払いを免除されたままでいると、老齢を保険事故とする年金、つまり老齢基礎年金の支給額が少なくなってしまいます。(免除を申請した後10年以内なら、後から保険料を支払うことができる追納制度があります)※免除されてから3年を超えた後に支払う保険料には、利息がつきます。

 国民年金は、あくまでも、支払うことにより保障が受けられる制度ですが、国民の生活を保障するため、特別に免除制度がある、ということですね。「免除の申請をすると、もう国民年金の保険料を支払わなくていいんですよね?」とおっしゃる方。免除を申請することにより、どのような効果があるのか、また、どのような結果が生じることになるのか、あなたは、知っていますか? 誤解されていませんか?(執筆者:山田 容子)

【外部参照】
保険料を納めることが、経済的に難しいとき(日本年金機構)

《山田 容子》
この記事は役に立ちましたか?
+14

関連タグ

山田 容子

山田 容子

Office la clef(オフィス・ラ・クレ) 代表 学校法人・会計事務所・一般企業での勤務を経て2012年6月、FP・社会保険労務士事務所を開業。書類作成にかかわる仕事を続けていくうちに、一つの書類に人の生活が深くかかわっていることに気づく。また、人の生活に欠かせない「お金」についても興味を持つ。ファイナンシャルコーチとして、「なりたい自分」「ありたい人生」を歩んでいくための「目標設定」のアドバイスを、また、その際に必要な手続やお金について、その人に合ったものを提供することをFP・社会保険労務士として相談・業務代行を行っている。人の笑顔を増やすアドバイスを常にこころがけている。 <保有資格>:社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー(CFP®)・ファイナンシャルコーチ®・簿記1級 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集