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私が経験した「アパート経営のリスク」 家賃保証契約~事故物件リスクまで

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私が経験した「アパート経営のリスク」 家賃保証契約~事故物件リスクまで

 来年から相続税の基礎控除が減って、相続税の対象となる人がかなり増えるとみられていますが、そんな中いかにして相続財産の評価を減らすかを考えて、賃貸住宅を建てる人が増えています。

 土地の相続税評価は路線価で行われるので金融資産を土地に替えると約8割の評価になります。さらに自宅用の土地に比べて賃貸住宅を建てるとその土地の評価はいろいろ条件はありますが、約8割に下がります。そして建築を借入金で行うとそれが負の遺産となり、相続財産はずいぶん少なくなります。

 いいことずくめのようですが、果たしてそうでしょうか。賃貸住宅経営は長期にわたる事業だということを忘れてはいけません。

 私は持っている土地に建てたのではなく、土地購入も含めてアパート経営を始めたので、全部が当てはまるとは限りませんが、思ってもみなかったようなリスクを経験したので、ご紹介したいと思います。リスクは大きく4つあります。

1. 家賃保証契約のリスク

 薦められて購入したアパートは有名なサブリースのものでした。売主から引き継いだ1年の後、さらに2年契約を結びました。満室になっているかどうかも知らされずワンルーム1室あたり月々42,000円ほどの家賃が間違いなく入ってきましたが、その2年の契約終了と同時にお返しすると言われ、サブリース契約が解除になりました。

 その後は別の管理会社で管理してもらいましたが、家賃は33,000円前後、しかもそこから管理費を引かれ、もちろん空室になれば1円も入りません。家賃保証、一括借り上げにはきちんとした定義はないようです。保証期間や賃料決定の方法をはっきりさせておく必要があります

2. 空室リスク

 都市部の人口は増えていますが、全体には少子化で人口が減少し、住宅の需要が増え続けるとは思えません。都心までの所要時間はどのくらいか、駅からの交通の便はいいか、生活に必要な施設は揃っているか、等々、賃貸住宅を探す人たちはいくつもの物件を比較して選びますから好条件でなければ選ばれません。

 近くに大学がある、会社があるということで当てにしていたら移転してしまったというようなこともありました

3. 老朽化リスク

 2年前の9月の豪雨でアパートの1階に雨漏りが発生しました。2階建ての2階なら原因もわかりやすいのですが、1階だったので調査にも手間取り、月々の家賃収入が25万円程度のところに修繕費が70万円かかりました。

 また流行もあります。以前は居住スペースを広くとるためにバス・トイレ一体型が主流でしたが、今はバス・トイレ独立型が圧倒的に人気があります。

4. 事故物件リスク

 私の所有するアパートの1室で居住者が自殺してしまいました。クリーニング費用だけは親御さんが負担してくれましたが、それ以上の損害賠償は不可能です。5万円かけてお祓いしてもらいました。

 家賃を下げて募集して半年近く経ちますが、まだ空室のままです。次の人が2年位住んでくれればその次の人にまでは告知する義務はないようですが、アパートを売却しようとしたら20年は告知義務があるらしく暗澹たる気分でいます。

 おそらく私が特別に運の悪い人間だということではないと思います。私は今アパート経営を始めたことを後悔してはいません。ただいかにも不勉強だったと反省しています。アパート経営にはこのようなリスクが確かにあります。

 賃貸経営をお考えの方はぜひとも自分は大丈夫と思わずに、リスクについて十分に検討した上で決断して頂きたいと思います。(執筆者:高橋 良子)

《高橋 良子》
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高橋 良子

高橋 良子

長い専業主婦生活から在宅での翻訳、新聞配達、医院でのパートを経て市役所の嘱託勤務へと社会参加を広げた。市役所では国民健康保険のレセプト点検業務に16年間従事した。その間、離婚、相続等を経験し、資産運用、アパート経営、税金等に興味を持つようになり、FP資格を取得。CFP取得後、社会保険労務士資格も取得した。2012年に開業し、FP相談、会社でのリタイアメントプランニング講師、FP資格、年金アドバイザー等の受験指導、年金事務所での年金相談員等に従事している。2013年日本FP協会くらしとお金のFP相談室相談員。NPO法人鎌倉ファイナンシャル・プランナーズ会員 <保有資格>:CFP® 1級FP技能士 社会保険労務士 年金アドバイザー2級 寄稿者にメッセージを送る

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