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知らないうちにきょうだいが増えている!? 養子縁組トラブルにご注意

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知らないうちにきょうだいが増えている!? 養子縁組トラブルにご注意

こんにちは。フジ相続税理士法人の髙原誠です。私事ですが、先週、フジテレビの生放送バラエティ情報番組『ノンストップ!』に出演させていただきました。「あなたの知らないセケン」というコーナーで、養子縁組トラブルについて解説するためです。

テレビ出演さえほとんど初めてですから、生放送となると心臓がバクバク、リハーサルの時点で喉はカラカラ。どうなることかと一人で手に汗握っていた私でしたが、出演者の方やスタッフの皆さんの段取りと連携のよさはさすがでした。現場のプロたちに身を任せているうちに、無事放送を終えていました。

知らないうちにきょうだいが増えている?


さて、その放送でも取り上げられていた養子縁組トラブルです。


そもそも養子縁組とは、明治時代からある制度で、家を守るために作られた制度です。跡取りがいない場合などに、親戚や身近な人を家族にし、家系の断絶を防いでいたわけですね。

養子関係になると、実の親子と同様に、相互に助け合う義務が生じます。同時に相続権も発生します。ほとんどの養子縁組は、もちろん適切な関係性の上でなされているのですが、残念ながら一部では、財産が目当てと思われる養子縁組もあります

兄の嫁が勝手に養子縁組


養子縁組の手続きは、当事者本人の戸籍謄本と養子縁組届があればできます。


養子縁組届には、養子になる人・養親になる人それぞれの署名と、証人2名の署名を書く欄がありますが、兄弟など他の家族の署名や同意は必要ありません

ですから例えば、自分の知らないうちに兄の嫁が父親の養子になっていた、相続のときに初めて気づいた…ということも珍しい事例ではありません。

法定相続分では兄弟は均等に財産を分けますから、きょうだいが1人増えれば、自分が相続するはずだった相続分も減ってしまいます

本来、養子縁組は相互に助け合うための制度ですから、財産目当ての養子縁組は趣旨から外れているという見方もできますが、養子縁組届に「目的」を書く欄はなく、その判断は非常に微妙です。

相続税対策としての養子縁組

番組では触れませんでしたが、養子縁組は相続税対策として利用されることもあります。

「相続税の基礎控除額」や「生命保険金の非課税枠」には法定相続人の数が関わりますので、兄弟の数が増えれば、控除の枠も増えるからです。

そのため、事実、相続税の節税にはなるのですが、養子縁組の事実を知らされていない相続人がいる場合などは、いざ相続が起こってから揉め事に発展するケースが大変多いのです。

節税目的の養子縁組がすべて悪と言いたいわけではありませんが、事前に関係者を含めて話し合っておくなど、注意が必要であることは確かです。

悪質な養子縁組を防ぐ手段は?


では、悪質な養子縁組を防ぐ手段はないのでしょうか?


1つの方法として、「不受理申出」という手続きがあります。

これは、本人の意思に基づかない届出が受理されるのを防ぐための手続きです。この申出をしておけば、本人自らが窓口に出頭して確認することができない限り、届出は受理されません。

裏を返すと、この申出をしておかなければ、届出を持ってくるのが誰であっても役所は受理してしまいますので、対策として考慮してもよい方法でしょう。

いずれにせよ、養子縁組は家族関係に関わる重要な決断です。悪質なものは言語道断ですが、節税対策として行う場合も、専門家も交えて慎重に判断しましょう。(執筆者:髙原 誠)

《髙原 誠》
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髙原 誠

髙原 誠

フジ相続税理士法人 代表社員 平成17年 税理士登録、平成18年 フジ相続税理士法人設立。相続に特化した専門事務所として、同グループの不動産評価部門である株式会社フジ総合鑑定とともに、年間200件超の相続税申告・減額・還付案件を手掛ける。不動産・保険・事業承継等への造詣を生かした相続実務に定評があり、各家庭に最もふさわしい「オーダーメイドの相続対策」を提唱している。各地でのセミナー講演、各種媒体への寄稿等多数。 <保有資格>:税理士 寄稿者にメッセージを送る

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