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『教育資金の一括贈与』って本当にお得な制度なの?

税金 相続・贈与
『教育資金の一括贈与』って本当にお得な制度なの?

『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税』制度、直系尊属が子供や孫が教育資金に充てるための資金の贈与について1500万円までは課税しないという制度です。1500万円までの贈与が非課税というとすごい制度に見えますが、本当にお得な制度なのか検証してみましょう。


そもそも教育資金って非課税じゃないの?

相続税法第21条の3に贈与税の非課税財産の規定があります。「次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。」とあり、その第2項に「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」とされています。

つまり、扶養義務がある人からの教育資金は非課税ということになっています。

大学に入学した孫のためにおじいちゃんが多額の入学金や授業料を出してあげたとしても、親に代わっておじいちゃんが扶養義務を果たしているとすれば贈与税は課されないことになります。

暦年贈与の基礎控除額である110万円以内であるかどうかはもう問題ではないということになります。そもそもが「非課税」なのです。扶養義務者相互間ということですから、親以外が教育資金を出すことも可能ということになります。

贈与は「必要な都度」行いましょう


ただし、相続税法基本通達21の3-5にある、

「~必要な都度~」という文言に注意して下さい

。卒業までこのくらいかかるだろうといって、入学時に何百万円ものお金を渡した場合は、たとえそのお金が全て教育資金のためだと言っても非課税にはならないでしょう。


あくまでも「その都度」です。

もちろんもらったお金で車を買うなど教育資金以外に使用すると非課税財産の枠から外れることになります。

その都度贈与した方が、その都度感謝される


感謝の気持ちを考えてもその都度贈与する方が良いのではないでしょうか。一度に大きなお金を渡してしまった後では時間の経過とともに感謝の気持ちも薄れてくるものです。必要に応じて贈与をし、「その都度」感謝の気持ちを持ってもらうというのがあげる側、もらう側の正しいあり方ではないでしょうか。


教育資金管理契約に係る口座から払出しをするのに「領収書」が必要!

払出し方法について確認してみましょう。銀行等に預入れた預金等を払出すのにはその資金が間違いなく教育資金に使われたということを証明するための「領収書」が必要です。

この払出しには2つの方法がありますが、そのうちの1つは、教育資金を払った後にその実際に払った金額を払出すという方法です。口座にある自分の預金を下ろすのに、領収書が必要だということです。つまり、とりあえず自分で立替えておかなければならないということです。おかしな話ですよね。

こんな場合には有効!

この教育資金の一括贈与は相続税法第19条の適用は受けません。つまり「相続又は遺贈によって財産を取得した者が,その相続に係る被相続人から相続開始前3年以内に贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算することとしている」という規定の適用は受けない、ということです。
 
ですから、例えば死期が近づいている場合などで、短期間でまとまった額の贈与をしたいというのであれば、有効な手段となります。要は、早急にかつ大きな金額を贈与したいという場合には効果がありそうです。『一括』という部分がこの税度の数少ないメリットと言えます。

なお、平成27年度税制改正において創立された『直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受 けた場合の贈与税の非課税』制度についても同じようなことがいえます。メリット・デメリットについて十分に検討の上ご利用下さい。(執筆者:本間 慶喜)

《本間 慶喜》
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本間 慶喜

本間慶喜税理士事務所 所長・税理士 総合印刷会社勤務後、イギリス留学を経て、外国為替仲介業者へ転職。東京、ロンドン、シンガポール市場で13年半通貨オプションの取引に従事。その後一般会社の専務取締役として会社経営に携わる一方、税理士、宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナー(CFP)等の資格を取得。丸の内の税理士事務所勤務を経て、2013年8月に独立開業。会社員としてまた経営者としての経験を生かし、顧客の立場に立った顧客の目線での税コンサルティング、ファイナンシャルプランニングサービスの提供を行っている。海外勤務の経験を生かし、外国人顧客へのサービスも展開中。また、中央大学特別講師として、学生に自らの経験を伝える講座を担当している。 <保有資格>:税理士、宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー 寄稿者にメッセージを送る

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