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亡くなった親族への介護や経済的な支援は相続にあたりどの程度評価されるの?

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亡くなった親族への介護や経済的な支援は相続にあたりどの程度評価されるの?

もうすぐお盆のシーズンですね。今週辺りから会社の休みをとって、実家に帰省して墓参り、といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

盆頃というと、正月の時とともに、普段は離れたところに暮らす親族が一同に会する機会です。そういったときによく起こりがちなのが、これまでそのままになっていた遺産の処理だったりします。盆が過ぎると、そういった相続に関する法律相談がなんとなく増えるような印象があります。

「特別の寄与」とは

さて、相続問題といえば、様々なケース・問題がありますが今回は、亡くなった人(被相続人)が年金生活だけだと厳しいため、相続人の一人が経済的に支援をしたり、あるいは身の回りの世話していた、といった被相続人への貢献が、相続の際に考慮されるのか、されるとして、どのように金銭的に評価されるのかについて見ていきたいと思います。

このような、被相続人の財産を保ったり、増えたことについて通常期待される以上に貢献をした(これを「特別の寄与」といいます)者があるときに、その貢献に応じた利益を寄与分といいます。

相続人による寄与があるときは、相続財産からその者の寄与分を引いたものを相続財産とみなして相続分を算定し、その算定された相続分に寄与分を足した額をその者の相続分とすることで、貢献度に応じた形にしてバランスが取られています。


寄与分はどのように評価されるか

では、この寄与分として評価される貢献にはどういったものがあるでしょうか。

寄与分として認められるには、「特別の寄与」、つまり被相続人・相続人の親族としての間柄上当然に期待される程度を超えた貢献でなければなりません。たとえば、前述のように年金暮らしのため、経済的なゆとりがない被相続人の医療費や施設入所費を負担したり、病気で療養中の被相続人の身の回りの世話をした、あるいは被相続人が不動産をたくさん保有しており、その賃料を管理していたなどが考えられます。

こういった、一部の相続人による、被相続人に対する「寄与」が「特別の寄与」にあたるかがまず問題になります。

たとえば、被相続人に対する療養看護の場合、単に相続人がどのような看護を行っていたかをみて判断するのではなく、被相続人がどういった病状で、それに対してどのような療養・看護が必要だったかを明らかにする必要があります。

被相続人の病状については、病院の診断書やカルテ、介護サービス利用票、介護日誌などや、日記や手紙・家計簿などを手がかりにしていくことになります。

仮に相続人による「特別の寄与」があるといえるにしても、次にその評価がなかなか難しいところがあります。

たとえば、療養看護にあたっていたという場合であれば、他人が療養看護を行った場合本来かかる費用を払わずに済んでいることから、他人(第三者)が行った場合の日当額×療養看護を行った日数×裁量割合(親族は通常看護・介護の資格を持っていないため、その分を加味して0.7あたりで調整)で計算して決めていくことが一般的です。ただ、家業や農業といった事業への寄与の場合はどの程度貢献したといえるかの計算が難しいこともあります。

また、こういった寄与は長期間にわたるケースが多いため、そもそもかなり前に遡ると裏付けの資料すらないといった場合もみられます。

その他、寄与分を考えていくには様々な事情を考慮することになりますが、最近は生前全く被相続人を見ていなかった相続人から、遺産の分け前のみ一方的に求められるというケースがしばしばみられるます。そんなときでも相続人の寄与が適正に評価してもらえるよう、できるだけ客観的に資料になりそうなものは保管しておくのが大切です。そして、被相続人に対して支援をした相続人の苦労が無駄にならないようにすべきでしょう。(執筆者:片島 由賀)

《片島 由賀》
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片島 由賀

勁草(けいそう)法律事務所 弁護士 平成20年弁護士登録。困った方に寄り添いながら仕事ができることに魅力を感じ、弁護士になる。離婚・相続など家族に関する案件、借金問題、交通事故、労働問題など幅広い分野を扱う。相談してよかったと思って頂けるよう、それぞれの立場に配慮しながら粘り強く対応している。 <保有資格>:弁護士 寄稿者にメッセージを送る

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