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「公務員と会社員の年金一元化」の未来図は歴史の中にある

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「公務員と会社員の年金一元化」の未来図は歴史の中にある

公務員が加入する共済年金が平成27年10月1日に、会社員が加入する厚生年金保険に統合されました。新聞やテレビなどで頻繁に特集されていたので、ご存知の方は多いかと思います。


それでは共済年金と厚生年金保険の統合は、今回が初めてではなく、過去にもあったという話は知っているでしょうか?

例えば日本たばこ産業(JT)、日本電信電話(NTT)、日本鉄道(JR)の従業員が加入する共済年金は、平成9年4月1日に厚生年金保険に統合されました。

また農林漁業団体の従業員が加入する、「農林年金」と呼ばれる共済年金も、平成14年4月1日に厚生年金保険に統合されました。

これらの統合は公務員の企業年金と位置づけられる、「職域加算」の統合後の取り扱いなどの面において、公務員が加入する共済年金の統合と、似ている部分が多いのです。

これはおそらく偶然ではなく、公務員が加入する共済年金の統合に携わった方々は、過去の統合をモデルにしたのだと思います。

もしそうであるならば「歴史は繰り返す」のですから、過去の統合がどんな過程を経たのかを調べていけば、公務員が加入する共済年金の未来図を予想できるはずです。

年金の請求先は段階的に移行する


厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」の請求手続きは、住所地の年金事務所で行ないます。


また共済年金から支給される「退職共済年金」の請求手続きは、各人が加入する共済組合で行います。

そのため公務員の方が平成27年10月1日以降に、老齢厚生年金の請求手続きを行う場合、年金事務所で行なえば良いと、考えてしまうのではないでしょうか?

しかし共済組合などのウェブサイトを見てみると、各人が加入する共済組合でも、引き続き手続きができると記載されております。

過去の歴史を見てみても、農林漁業団体の従業員が老齢厚生年金の請求手続きを、完全に年金事務所で行なうようになったのは、平成24年4月1日からであり、それまでは農林年金の存続組合で行なっておりました。

ですから公務員の方が受給する老齢厚生年金についても、しばらくは各人が加入する共済組合と年金事務所の、どちらでも請求手続きができるようにして、数十年の期間が経過した後に、年金事務所のみで行なうようになると予想しております

もしそうなった場合、老齢厚生年金の請求手続きは年金事務所、統合前の期間に関する職域加算や、新設された「年金払い退職給付」の請求手続きは各人が加入する共済組合というように、手続きを行う場所が2つになります。

個人的にはこのような変化が、次のような問題を引き起こすと考えているのです。

請求忘れが多い企業年金


会社によっては福利厚生として企業年金の一種である、「確定拠出年金」を実施しております。


平成26年9月7日の毎日新聞によると、この確定拠出年金の積立金を請求も移換もせず、放置したままにしている方が、平成25年度末時点で、約43万人もいると記載されておりました。

また企業年金の一種である「厚生年金基金」から支給される年金を受給できるのに、請求手続きを済ませていない方が、平成19年9月時点で約120万人もいるというデータが、企業年金連合会から発表されました。

このようなことが発生する原因について考えてみると、老齢厚生年金と企業年金の請求手続きは、別々に行なう必要があるというのも、原因のひとつになっていると思うのです。

もし企業年金の請求手続きを、老齢厚生年金の請求手続きと一緒にできてしまうとしたら、こんなに請求忘れが発生するはずはありません。

そのため公務員の方が老齢厚生年金の請求手続きを行う場所が、年金事務所と各人が加入する共済組合の2つになった場合、同じような問題が起きないかと懸念しております

また会社員の方は企業年金連合会のウェブサイトなどを活用して、請求忘れの企業年金がないかを、調べてみるべきだと思います。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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