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健康保険より手厚い「労災保険」を有効活用しよう よくある疑問5つに回答

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健康保険より手厚い「労災保険」を有効活用しよう よくある疑問5つに回答

皆さんは、「労働保険」、「社会保険」が具体的に何の保険を指しているのか即答できますか。「労働保険」は労災保険と雇用保険、「社会保険」は健康保険と厚生年金を指します。


■労働保険
 労災保険
 雇用保険

■社会保険
 健康保険
 厚生年金

それでは、この4つの保険うち、皆さんの給料や賞与から保険料が差し引かれない保険は何でしょう?

答えは、労災保険です。

雇用保険・健康保険・厚生年金は保険料を従業員と会社の双方が負担するのに対し、労災保険の保険料は100%が会社負担です

会社の事業主や従業員の方とお話をしていると、「それは労災保険を使うのが妥当では……。」と感じる場面に出くわします。そこで本コラムでは、労災保険についてよく訊かれる事柄を皆さんとシェアしていきたいと思います。

1.「労災保険ってどういう場面で使えるの?」


就業中に業務が原因となって発生した災害(業務災害)もしくは、就業目的である通勤によって発生した災害(通勤災害)により被った怪我や病気等をした場合に使う保険

です。


例えば、大工さんが作業中に高所から落下して腕を骨折した場合は業務災害による怪我となりますし、最近増えてきている事例では、極度の長時間労働が心理的負荷となって精神疾患を発症した場合も労災の保険が給付される業務災害となりえます。

また通勤災害では、例えば通勤途上の駅のエレベーターで転んで、負傷部分を縫う怪我をしたという場合にも通勤災害にあたります。

2.「労災保険を使えるのは、正社員だけでしょう?」

正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員も労災保険が適用されます。働いて、給料を貰う人であれば誰でも労災保険の対象となります

3.「労災保険といっても、健康保険と変わらないのでしょう?」


「怪我や病気をしたことについて治療等をうける」という点では健康保険と大差はありません。しかし、

健康保険は窓口での負担割合が3割であるのに対し、労災保険の窓口での負担割合はゼロ

です。


また治療が長期間となった時、健康保険にも労災保険にも休業補償の期間があります。但し、健康保険は休業補償の期間(傷病手当金)が最大1年6か月です。

他方、労災保険にも休業補償があります。その上、療養開始から1年6か月の経過時点で障害等級に該当する程の重篤な場合には、労災保険から年金が支給されます。また療養開始から1年6か月を超えた場合でも、必要に応じて労災保険から休業補償が支給されます。

4.「労災保険を使うと、労基署が調査に来るでしょう?」

調査に行くことを決定するのは労基署ですから「絶対に」とはいえませんが、労災保険を使ったからといって、全ての場合に調査が来るわけではありません。通常の勤務で起こり得るような怪我程度では労基署の調査は来ないと考えてよいでしょう。

5.「労災保険を使うと、保険料が上がるのでしょう?」


労災保険は、事業主の労災事故の発生防止努力に応じた労災事故の多少によって保険料が変動する制度(「メリット制」といいます)があります。但し、

全ての労災事故、全ての会社についてこの制度が適用されるのではありません

。(※メリット制はやや複雑な制度なので説明は本コラムでは省略します。

メリット制については、厚労省作成のPDF資料

でご確認下さい。)


また通勤災害は事業主の労災事故の発生防止努力とは関係ありませんから、保険料の変動には業務災害の発生率が考慮されます

せっかく会社が皆さんのために保険料を納め、掛けている労災保険ですし、何よりも給付内容が健康保険よりも手厚く設定されています。適正に、有効活用くださる一歩となれば幸いです。(執筆者:岡村 ひろ子)

《岡村 ひろ子》
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岡村 ひろ子

岡村 ひろ子

岡村社会保険労務士事務所 所長 大手電機メーカー、弁護士事務所での勤務を経て、2014年9月社会保険労務士事務所を開業。個人の依頼者向けに障害年金の申請・取得のサポート、法人に対してはメンタルヘルス対策を主軸に採用・退職・人事制度・従業員のケア・就業規則の作成等を通じ、労使中立の立場に立ったコンサルタントを行う。 <保有資格>:社会保険労務士 寄稿者にメッセージを送る

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