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【相続トラブル実例】保険金は相続財産ではない 遺言書に追加すべきだった一言

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【相続トラブル実例】保険金は相続財産ではない 遺言書に追加すべきだった一言

私の知人が今トラブルを抱えている問題をご紹介します。

これからもよく起こる問題なので参考になると思います。

前提:夫、妻の二人暮らしであった。子供なし。
父母・兄弟姉妹はすべて亡くなっているが代襲相続人がいる。
公正証書遺言あり。
内容はシンプルに「すべての財産を妻に相続させる。」
保険契約内容:一時払終身年金、契約者:夫、被保険者:妻、受取人:夫。受取開始済み。

相続発生

昨年、夫が亡くなりました。

妻はすべての相続財産云々と書かれている公正証書遺言があるので、自分が生きている限り年金保険金(以降年金)を受け取れると考えています

また夫の兄弟姉妹の代襲相続人、すなわち甥と姪とは20年ほど顔を合わせたこともなく、正確な現住所や電話番号も不明の状態です。

過去の冠婚葬祭時にトラブルがあったため、話をしたくないとのことです。

このような状況なので、遺言作成の際、公証人にはくれぐれも甥・姪とトラブルが起きないように、すべて自分の財産となるような遺言書になるように念押ししました。

保険金の請求

夫の逝去後、保険会社で年金受け取りの手続きをすると、「この契約は相続財産に該当しない。よって遺言書があっても妻に渡すことはできない。相続人全員の同意署名、押印をもらってこなければならない。」との返答でした。

すべての財産を妻に相続すると遺言書に書いてあるのになぜ? と思われる方も多いと思いますが、保険会社は正しいことを言っています。(保険会社によって対応が違うことも考えられることもあります。)
 
この契約は相続財産でないのです。

もう少し詳しく解説をすると、相続税法上は保険金を相続財産の一つとして税額計算に含めますが、民法上は保険金は受取人個人のものであり、相続財産ではないのです

すなわち夫のものですが、夫が亡くなったので法定相続人がそれぞれ一定割合で保有する財産との見解です。

だから、妻が年金の全額を受け取るためには、他の相続人の承諾が必要なのです

当然、この契約を「すべての財産」の中に該当するように解釈してもらえないか保険会社に交渉しましたがダメでした。

この点は約款にも記載されています。

なのでいくら苦情を言ってもひっくり返らないと思います。

保険会社曰く(私も同感)、悪いのは公証人であり、この契約を遺言書に明記し「夫が死亡した場合は、契約者および受取人を妻に変更する。」との一文を書くべきだったのです

今後どうすればよいのか


改めて年金は相続財産でないことを実感しましたが、(これは結構有名な話なので)公証人に落ち度があると考えましたが、公証人はそんなことはないとの一点張りです。


あてにしていた(夫の生前は収入の一部として収支に組み込まれていた)年金が受け取れないため、日々の生活費にも窮する状態での心身の苦痛も併せ、訴訟で賠償してもらえないか検討しました。

しかし弁護士に確認したところ、公証人の職務は、遺言作成者から聞いたことを遺言書にすることであり、作成者の利益が最大になるようにアドバイスをすることは、厳密には職務ではない

よって訴えても無理だろうと言うことでした。まさに袋小路に入り込んでしまっています。

あとは泣き落として、付き合いのない甥・姪から承諾を得るしかないのでしょうが、住所の確定から行わなければいけません。気の遠くなるような作業です。

住所が不確定なまま、一か八かで投函した依頼の書簡は戻ってきていないので、甥・姪はこのことを知っているはずです。

しかし何のリアクションもないと言うことは、今後素直に署名・押印にに応じてくれなさそうです。

当たり前と思っていた年金が受け取れない!

みなさんも遺言書を作成する際にはご注意ください。(執筆者:山副 耕一)

《山副 耕一》
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「長期個別株投資」推奨ファイナンシャルプランナー メイキット有限会社 代表取締役 京都府在住。関西大学経済学部卒業後、独立系FP会社に入社。平成7年メイキット有限会社を設立。現在に至る。FP資格講座や経済セミナー講師業務、原稿執筆などを行う中で、現在は「投資」としての「長期個別株投資」の普及活動を中心に活動中。「株式投資」には、本来の意味である企業への「投資」と、株式を使った「トレード」が併存するが、後者の情報やセミナーばかりになっていることが現状。これを少しでもバランス良くするための情報発信をすることが天命と考えている。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士 寄稿者にメッセージを送る

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