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【Q&A】 なぜ日本の景気は良くならないのですか?

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【Q&A】 なぜ日本の景気は良くならないのですか?

政府・日銀が一体となり景気刺激策を講じながらも、なかなか好転しない日本景気。アベノミクスも手詰まりだ、との声が聞こえる中、こんな質問が寄せられました。

「なぜ日本の景気は良くならないのですか?」

今回は「デフレマインド」に焦点を絞り、日本の景気について考えてみたいと思います。

Q. なぜ日本の景気は良くならないのか?


様々な要因がからんでいると思いますが、根底にあるのは「デフレマインド」です。詳しく見ていきましょう。

Q.デフレマインドとは何ですか?

はい。デフレマインドは、デフレ時代に洗脳された考え方、と意訳できます。

このデフレマインドを理解するために、まずはデフレとは何か知る必要があります。

学校で習ったかもしれませんが、デフレとはデフレーション(Deflation)の略で、物価が下がる状況を言います。主に景気が悪くなると需要が低下し、結果デフレを引き起こします。デフレになるときの流れは…

1)景気が悪くなる
2)消費者は高いものを買わなくなる
3)店舗は買ってもらえるように商品価格を下げる

デフレとはこのような状況で、これが繰り返されるとデフレスパイラルに陥ります。デフレスパイラルは上記1~3に引き続き、以下の4~7が発生することです。

4)消費者はお金を使うことを渋る
5)企業も設備投資や賃上げを行なわない
6)景気低迷
7)1~6の繰り返し

このデフレスパイラルが発生したとき、つまり、不景気のとき、あなたはどう感じますか? 人の心理はたいてい「不景気だからお金を使いなくない、貯金しておこう」となりますね。これがデフレマインドです。

デフレマインドが引き起こす、「お金を使わない」という行動。

これが日本の景気がなかなかよくならない根底にある要因なのです。

Q. なぜ日本にはデフレマインドが浸透してしまっているのでしょうか?

それは、約20年に及ぶデフレが人の心理を冷やしてしまったのです。言い換えると、日本人はデフレという状況になれてしまい、デフレマインドが “正常” になってしまっています

友人がこんな興味深いことを言っていました。「値上げしたユニクロは買わない」と。

理由を尋ねると、

「デフレ時代に安いから買っていたユニクロ。質ではなく低コストだから買っていたのに、値上げされたら買う気にならないでしょ」

とのこと。

確かに。質は向上しているものと思われますが、「ユニクロ=安い=買い」というのが彼女の主張なわけで。ユニクロの営業利益が減少した理由は、ここにもあるのかもしれませんね。

ともかく、「安いから買う」というデフレマインドが日本に浸透しており、逆を言えば「高いなら買わない」という心理が蔓延しているのも確か。このマインドが常態化しているのが日本の現況なのです。

日銀総裁の黒田氏は物価上昇率を前年比で2.0%を目指しているのはご存知かと。(達成時期予定より大幅にずれ込み、いまだ達成できていませんが)

仮の話ですが、今、物価が上昇したとしても素直に「嬉しい!」とか「日本の景気が良くなった!」とは思いませんよね。

なぜなら企業もデフレマインドに陥っているため、社員の給料を言うほど上げておらず、会社もお金を貯め込んでいる状況ですから。

給料が増えていないのに物価が上昇したとしても、日本景気が良くなったことは感じられるわけがなく、お金を使おう! という気にもなりません。

アベノミクスである程度景気は回復したのは間違いないのですが、お金が消費されない。デフレマインドによってお金の流れが家庭と企業内で止まってしまっている状況なのです。


Q.日本の景気がさらに良くなるための対策はあるのでしょうか?

今までに様々な対策が講じられてきました。

たとえば、アベノミクスによる「三本の矢」と日銀の異次元金融緩和政策です。

デフレマインドを刺激し景気回復を試みました。しかし、日本の景気は良く言って回復途上、悪く言うと前途多難でして。

最後の切り札とも言える「マイナス金利政策」が実施されましたが、国内外の経済評論家やアナリストが口を揃えて「日銀だけの政策には限界がある」とのこと。

この記事が掲載された頃には、4月末の日銀の政策会合が終わっていることでしょう。もしかしたら何らかの “サプライズ政策” が新たに実行されている可能性があります。結局は政府と日銀の政策頼みになってしまいますね。

余談ですが、デフレマインドの根っこは想像以上に深く、企業もお金を貯め込んでいると前述しました。そんな状況を見かねた麻生太郎副総理兼財務相は、稼いだ利益を企業がため込む姿勢を、

『守銭奴!』

と発言したことは記憶に新しいですね。(2015年2月18日の参院本会議にて)

その発言の是非はともかく、

「企業さん、もっとお金を使って景気回復に貢献してよ」

という本音がチラリ!?

大胆な刺激策が実行されてきたものの、デフレマインドが積極思考に変わるのは一筋縄ではいかないようです

*【守銭奴】しゅせんど:金をため込むことばかりに執心する、けちな人。

Q.景気転換のために個人ができることは?


政府と日銀の金融政策や外部環境次第の日本景気と言えますが、個人でもできることがあります。

もちろん一人の力で日本の景気が良くなることはありませんが、一人一人の意識が変われば日本景気が上昇する可能性はあります

もともと日本人はお金を貯め込むのが好きな国民性ですが、デフレマインドによって「投資なんて怖くてできない」と、お金を守る姿勢がさらに強固なものとなっています。

でも、ちょっと皮算用しても良いですか? もし日本の1世帯が10万円を投資に回したら、凄いことになりますよ。

平成27年の全国世帯数総計は5641万2140世帯です。(データ元:総務省)

仮に、すべての世帯が10万円を投資したとしたら、投資金額は合計5兆6412万1400円になります。5兆円以上のお金が動いたら、間違いなく日本経済を刺激できるはずです。

ただし、デフレマインド浸透で「投資なんか考えられない」という意識が根強く、その意識が変わらなくて政府も日銀も困っているのですが。本当に皮算用で終わりそうな話ですね。

では、投資を行なう前提で投資助成金法案を成立させて、1世帯が10万円以上を投資する。無理かなぁ…。

最後は少々非現実的な内容になってしまいすみません。いずれにしろ、デフレマインドが根底にあるのが日本経済で、これを何とか克服しなければ日本景気の上昇は難しいということです。

それでは、また。(執筆者:堀 聖人)

《堀 聖人》
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「お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう」ことをライフテーマとするアラフォー。銀行にお金を預けるだけでは時間とお金を活かしきれていないと悟り、お金がお金を生む仕組みを独学で学ぶ。投資歴は株式投資8年、FX3年。開設済み証券口座は5口座、FX口座は10口座以上。株式投資、FX投資、クレジットカードをメインに鋭い視点からなるコラム執筆中。日経ヴェリタスなどでもコメント。 <保有資格>:第二種証券外務員資格 <メディア掲載>:日経ヴェリタス 2015年11月15日号、 株完全ガイド(晋遊舎) 寄稿者にメッセージを送る

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