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「退職金規程」を確認し、退職金を予測して「生命保険料」を無理なく削減しよう

シニア 退職金
「退職金規程」を確認し、退職金を予測して「生命保険料」を無理なく削減しよう

先日テレビを見ていたら、飲酒運転で辞職した元町長が組合に対して、退職金の申請手続きを行い、約1,250万円の退職金が支給される見込みというニュースが、放送されておりました。

退職金の支給を決定した組合は、罰金刑は条例で定める支給制限事由には該当しないので、退職金を支給するのは問題ないとしております。

このニュースを読み上げたキャスターの方は、税金の無駄使いだと激怒し、私もそれに共感しました。

しかし冷静になって考えてみると、この元町長に対して退職金を全く支給しないというのは、なかなか難しいと思うのです。

またこのニュースは退職金に対する理解を深める、よい教材になると思ったので、次のように取り上げてみました。


退職金の支給基準や計算方法などはどこに書いてある?

元町長の飲酒運転による罰金刑は、条例で定める支給制限事由には該当しないとして、退職金が支給される見込みになりました。

つまり地方公務員に支給される退職金の、支給基準や計算方法などは、条例に記載されているのです。

また国家公務員の場合は「国家公務員退職手当法」といった、法律に記載されております。

それに対して会社員の場合には、就業規則やその一部である退職金規程などに、支給基準や計算方法などが記載されておりますので、こちらを確認することになります。

なお休憩室や食堂などの見やすい場所に備え付ける、または配布するなどの方法により、就業規則の内容を従業員に周知することは、事業主の義務になっており、違反すれば「30万円以下の罰金」という罰則があるのです。

ですから就業規則は、職場のどこかにあるはずなのですが、どうしても見つからない場合には、人事総務部などに相談してみましょう。

ただ退職金を支給するのは、事業主の義務ではなく、就業規則に退職金を支払う旨を記載した場合のみ、その支給が事業主の義務になるのです。

ですから特に中小企業の場合、退職金は当然に支給されると思わずに、就業規則に退職金についての記載があるか否かを、早めに確認しておきましょう。


なぜ飲酒運転で辞職しても退職金がもらえるのか?

退職金とはあえて言うまでもなく、退職した従業員に対して、一時金または年金で、支給される金銭を示しております。

この退職金の性格に関しては、様々な学説がありますが、次の3つが有力です。

(1) 賃金後払い説

退職金とは本来は在職中に支給すべき賃金の一部を、退職時にまとめて支給するものという説になります。

(2) 功労報酬説

退職金とは在職中の功労に対する、報酬として支給するものという説になります。

(3) 生活保障説

退職金とは定年退職後の、老後の生活を助けるために、支給するものという説になります。

以上のようになりますが、私が元町長に対して、退職金を全く支給しないのは難しいと考えたのは、(1) の賃金後払い説によるものです。

実際のところ、飲酒運転で懲戒解雇となった、大手運送業者のドライバーが、その懲戒解雇の効力を争った裁判では、懲戒解雇は有効となりました。

しかし懲戒解雇では退職金を支給しないという、就業規則の規定があったとしても、退職金の請求権の一部は失わないという判決が出されたのです。

またこの判決は、退職金の不支給が認められるのは、労働者の過去の労働に対する評価を、全て抹消させてしまう程度の、著しい不信行為(例えば多額の横領)があった場合に限られるとしました。

ですから皆さんが飲酒運転で、万が一懲戒解雇になった場合でも、退職金は全てもらえないと諦めずに、弁護士などに相談してみるのが良いと思うのです。

退職金の金額がわかると何かメリットはある?

退職金の金額を自分で計算するのは、けっこう難しい作業だと思いますが、それをやるだけのメリットはあります。



退職して死亡するまでの必要額を計算するには

例えば老齢年金と退職金は、老後の収入の中心になるものですから、これがいくらになるかわからないと、定年退職を迎えまでに準備しておきたい目標額がわかりません。

生命保険文化センターのサイトの中にある、「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」によると、夫婦2人で老後生活を送るために必要と考える最低日常生活費は、平均で22万円になり、またゆとりある老後生活費は、平均で35万4,000円になるそうです。

夫の方が年上の夫婦の場合には、夫の定年退職時の年齢から、男性の平均寿命まで、このくらいの金額が必要になると考えます。

また夫の死亡後の生活費は、平均の半分になると仮定して、妻が女性の平均寿命まで生きた場合の金額を算出します。

この両者を合計した金額から、「老齢年金 + 退職金」を引くと、定年退職を迎えまでに準備しておきたい目標額の、大まかな目安がわかるのです。

退職する前に死亡した場合に遺族がもらえる「死亡退職金」

なお退職金は基本的に、退職した本人が受け取りますが、退職する前に死亡してしまった場合には、その方の遺族が「死亡退職金」として、本人の代わりに受け取ることになります。

生命保険の死亡保険金の金額は一般的に、世帯主に万一のことが起こった場合に、その遺族が必要とする生活費や教育費などの合計額から、遺族年金、死亡退職金、預貯金など、遺族が使えるものを引いて算出します。

しかし死亡退職金が入るということを考慮しないで、死亡保険金の金額が算出されている場合があります。

こういったケースでは遺族が使えるものに、死亡退職金を加えることにより、死亡保険金の金額を低く設定でき、それにより生命保険の保険料を、無理なく削減できるのです。

なお会社によっては死亡退職金の他に、死亡弔慰金や死亡見舞金などを、支給している場合があります。

生命保険に加入する時に、退職金の話をした記憶がないという方は、死亡保険金の金額が適切なのかを、この機会に確認してみましょう。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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