今年に入り、介護保険の改造が本格化してまいりました。
超高齢化社会に突入している我が国は、度重なる自然災害で地盤が緩んでいる様に、介護保険を根底から崩壊させているとしかいいようがありません。
厚生労働省からの通達を手にするたび、つきつけられる現実に介護職の現場はやりきれない空気につつまれています。
しかし、下ばかり向いてはいられません。災害のあとは復興する必要があります。今回は今からできる対策について、お伝えしていきたいと思います。
目次
要介護度1、2の介護保険改正の内容
今回、随所でとりあげられている改正が、要介護度1、2の認定を受けている要介護者の方が、比較的軽度とみなされ、買い物、掃除、洗濯などを行う訪問介護サービスの生活援助を全額自己負担にもっていくという内容でした。
また、福祉用具の貸与、住宅改修についても一部補助金を出すと述べているものの、原則的には全額自己負担と提案されています。
全額自己負担ということは利用するなと遠回しに言われているようなものです。
では、要介護1、2はそれぞれどのような身体レベルか確認してみますと、
・要介護2…食事や排泄、入浴、更衣などに一部または多くの介助が必要な方。立ち上がりや歩行には杖が必要。
(介護保険 要介護認定資料より)
介護職ではなくても、比較的軽度といえるような状態ではないですし、要介護度2の要介護者の中には軽度の認知症の方も多くいらっしゃいます。
私たちがするべきことは、まず2つ
1. 地域のサポート力を知る
ひとつめは、地域資源を上手に利用するために、今から情報を集め始めることです。
厚生労働省もただ利用しない方向に向けているわけではないようです。地域資源を活用できるよう自治体にも対策を求めています。自治体も地域住民が困らないよう、準備を始めています。
自治体によりサービス内容や料金は異なりますが、例えば、毎日のゴミ出しなどは収集員が自宅前まで取りに来てくれたり、NPO法人や地域のボランティア団体では、身体の具合が悪い時に買い物をお願いできるような家事援助サービスを行っています。
福祉用具の貸与や住宅改修に関しては、要介護1、2の要介護者であれば、シルバーカーを利用することで安心して1人でも買い物にいくこともできますし、ご自宅の環境に手すりがひとつあるだけで自立度がかなり上がります。
住宅改修まではいかなくても、段差を解消する工夫をするなど、ちょっとした大工仕事もシルバー人材センターのスタッフが格安で引き受けてくれることもあります。
このように、これからは今まで以上に地域がらみで要介護者をサポートできるような仕組みが構想されていきます。
まずは、手の届く範囲にどのようなサービス、サポート事業者があるのか、お近くの地域包括支援センターや社会福祉協議会へ足を運んでみましょう。
2. ケアマネージャーと利用すべきサービスを一緒に考えていく
ふたつめは、今までは担当のケアマネージャーにケアプランを任せきりにしている方は、受け身の姿勢から、利用するべきサービスを一緒に考えていくスタンスに少しずつ変えていくことです。
ケアマネージャーは、介護保険のプロですから任せきりでも当然問題はないのですが、要介護度1、2の要介護者は比較的軽度としての扱いに少しずつ変わっていくことが予想されます。
その時を待つのではなく、頑張ればご本人でできることを一つずつ増やしておくことです。
介護保険に頼っていた私たちの介護も、ご本人が仕方なくご自分で行うことは、悪いことばかりではなく、結果的に介護費用の節約につながる喜びもあるかもしれません。
最後に
最後に補足ですが、要介護度2の認定を受けている方で認知症を患われている方については、地域密着サービスの関係で特例などが補足されることも考えられます。
ご担当のケアマネージャーには随時改正案が通達されています。是非、不安に思うことは尋ねてみてください。
いつも忙しそうに走り回っているあなたのケアマネージャーも、自分が担当しているご利用者の声をいつでも待っているものですよ。(執筆者:佐々木 政子)