「介護休業」と「介護休暇」が改善します 会社を辞めずに介護が出来る社会を。»マネーの達人

「介護休業」と「介護休暇」が改善します 会社を辞めずに介護が出来る社会を。

「介護休業」とは

8月から、介護休業の給付金が増えています。

要介護状態にある家族を2週間以上介護するためとれる最長93日の休みのこと。

給付金の引き上げ


雇用保険に加入している人なら、休んでいる間は介護給付金が支給されます。この給付金が8月から引き上げられ、介護休業に入る6か月前の給料の平均の40%から67%に上がりました

休業の分割




さらに来年1月からは、現在は1回しかとれない介護休業を、3回まで分割してとることができるようになります

今年いっぱいは一度きりなので、たとえば3週間の介護休業をとってしまうと、93日のうち72日残っていてもこれを使うことができません

けれど来年からは3回まで分割で休みをとることが可能になるので、
1回目は倒れた親の介護で3週間
2回目は施設探しその他で3週間
3回目は最長51日の介護休業
という取り方が出来るようになります。(2017年1月から)

要介護2以上から取れます


さらに、今まで介護休業は、要介護度がある程度進んでいなくてはとれず、要介護度の線引にも曖昧な部分がありましたが、来年1月からは、要介護2以上なら取得可能となります。

また、要介護1でもケースによっては対象となります。

たとえば、認知症の症状が出ていて、元気で外出できても途中でわからなくなってひとりでは家まで帰れなくなってしまうことが予想されるようなケースの場合は対象となります。

このように、介護休業は制度としては充実しつつあります。けれど、もろ手を上げて喜べないのは、その背景に介護の比重が国から家庭に移っていることとその使いにくさがあります。


介護離職者は年間10万人



2015年4月から、それまで特別養護老人ホーム(以下、特養)であずかってくれた要介護1、要介護2の人は新規ではあずかってもらえなくなっています

要介護1・2といえば、日常の排泄や食事に介助が必要だったり、認知症の症状が出て衣類が自分で着られないという用な人ですから、施設に入れられずに家庭で面倒を見なくてはならないとなると、共働きなどでは大変でしょう。

こうしたご家庭では、どちらかが仕事を辞めなくてはならないというケースもでてきていて、年間の介護離職は10万人といわれています。

なるべく仕事を辞めずに介護を続ける。


ただ、生活のこともあるので、なるべく辞めなくてもいいような方法を考えましょう。

そのためには、まず評判のいいケアマネージャーさんを探し、相談しながらデイサービスを上手に使う方法で、仕事と家庭を両立できるようにしましょう。

全国に3万7,000施設もあるデイサービスを活用しましょう


デイサービスとは、高齢者の保育園のようなところで、朝迎えにきて夕方まであずかってくれます。

現在、デイサービスの事業所は、全国に3万7,000施設あります。郵便局が全国で約2万4,000店舗なで、郵便局よりもたくさんあるということ。ちなみに、コンビニは全国で約5万4,000店舗。ですから、コンビニの約7割もの施設があります。

いまは、利用する高齢者の数よりも事業所の数のほうがどんどん増えている状況なので、どこでもウェルカム状態になっていて、競争が激しいので、サービスもかなり向上しています。

介護休業を利用して、こうした施設を見て回ることも大切かもしれません。


現実は取得率3.2%の「介護休業」



ただ、「介護休業」をとりたくてもとれないという人も多いようです。

総務省の調べでは、家族を介護しながら働いている人約239万9,000人のうち、介護休業を利用した人は約7万6,000人で、取得率はわずか3.2%でした。

介護休業という制度を知らない人もまだ多いのでしょうが、知っていてもとらない人も多い。

なぜなら、介護が必要な親を抱えて働く人は40代も50代の働き盛りが多く、この世代は会社でも課長職、部長職と役職に就いている責任ある立場にもいる人も多いので、介護のために長期の休みが取りにくいという状況があるのでしょう。

またこの年代は、出世競争まっただ中という人もいます。そういう人は、長期の休みが欲しいとは、なかなか会社に言い出せないようです。

短期で休みが欲しいなら「介護休暇」を。


ただ、介護では、長期で休む介護休業のほかに、短期でとる介護休暇もあります。介護休暇では給付金は出ませんが年間5日間休めます

これまで介護休暇は、半日休んでも1日にカウントされていましたが、来年1月からは半日単位でのカウントになります

徐々に改善されている介護休業や介護休暇。けれど、あっても使えないという人はまだまだ多い。介護が必要な家族を抱えているなら当然のこととしてとれるような環境を、一刻も早く国でも整備していっていただきたいものです。(執筆者:荻原 博子)

この記事を書いた人

荻原 博子 荻原 博子»筆者の記事一覧 http://www.ogiwarahiroko.com/

経済ジャーナリスト
1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「どんとこい、老後」(毎日新聞社)、「お金は死ぬまえに使え」(マガジンハウス)、「ちょい投資」(中央公論新社)など著書多数。

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