面倒な医療費控除集計をマイナンバーで自動化する構想があります»マネーの達人

面倒な医療費控除集計をマイナンバーで自動化する構想があります

確定申告が終わり、ほっと一息

確定申告シーズンは終了しましたが、医療費控除は今年も手間のかかる申告の1つだと思って申告して頂いたと思います。領収書を集めて集計して、サラリーマンでも確定申告が必要です。

医療費控除の集計については、以前EXCELフォームやアプリを使った集計法も紹介していますが(参照:【確定申告】アプリを活用してe-taxで医療費控除 これで領収書の添付も省略できる!)、先の確定申告より記載している「マイナンバー」を使った集計が予定され、平成29年税制改正ではそれを前提とした改正事項もあります。

マイナンバーは「社会保障・税番号」ですので、医療費を紐づける発想は自然なもので、集計の手間が省けるというのは申告者にとってもメリットのあることです。

※下記で使用する「個人番号利用事務実施者」とは
自らが保有する社会保障・税・災害対策の情報をマイナンバーに紐づけ、また紐づいた情報を参照する役所・機構

・自治体
・税務署
・労働基準監督署
・ハローワーク
・全国健康保険協会
・健康保険組合
・日本年金機構

などです。

マイナンバーに紐づいた情報は利用できず、これらの団体に提出するためだけにマイナンバーを収集する銀行・保険会社や民間企業とは区別されます(この区別ができてないとマイナンバー制度に関して疑心暗鬼になってしまいます)。


集計の手間が省けて申告が簡素化

マイナンバー

健康保険適用の医療費であれば、健保組合や市区町村などの保険者が加入者の医療費を把握しますが、このような健保組合なども「個人番号利用事務実施者」として、平成29年に入ってマイナンバーを収集しています。

平成28年分の確定申告では、どの病院で(保険適用)医療費を使ったという点まではマイナンバーに紐づけてはいません。

しかし確定申告にもマイナンバーを記載し所得を紐づけるのであれば、医療費控除に連携させたほうが効率的です。

マイナンバーで医療費控除集計するとなれば、治療目的でない医療費まで確定申告でいれるような間違いが無くなるでしょうし、領収書添付不要になるのも手間という観点から大きなメリットと言えます。

また医療費控除の計算では、下記のような金額は差し引かないといけません。

(1) 健康保険の高額療養費支給額
(2) 自治体の医療費助成額
(3) 医療保険の給付金

(1)(2)もマイナンバーで紐づけられますので、自動集計の対象になると考えられます。

なお、写真つきマイナンバーカード・ICカードリーダーを用意して(e-taxを利用できる環境と同様です)、ネット上で「マイナポータル」を利用できる状態でないと、自動集計の機能は利用できない予定です。

平成29年度税制改正では、平成29年分の確定申告より医療費の領収書提出に替えて明細書の提出でも認めるとしています(税務署から提示を求められることがあるため5年間の書類保存は必要)。

マイナポータルを利用し自動集計することで、医療費領収書の添付を省略できるようになる方向です。


≪画像元:マイナポータル



問題点:保険適用外の医療費などの集計

マイナンバーでの医療費集計で考えられる問題点を挙げます。

保険適用外の自費診療は、健保組合などは関知しませんから、マイナンバーで紐づけようがありません。しかし自費診療でも治療目的があれば、医療費控除の対象になります。

この結果、人によっては紐づけが中途半端になり一部集計が必要になると考えられます。

またマイナンバーで詳細な病歴管理をすることには批判も多く、詳細な病歴はマイナンバーと連動する「医療番号」での管理が検討されています。

将来的にもっと紐づけられそうなものは?

マイナンバーと紐づけされるのは?

老齢年金の支給に携わる日本年金機構も、平成29年より「個人番号利用事務実施者」となりマイナンバーの取り扱いを始めました。

また社会保険料控除の対象になっている保険料の多く(健康保険料・年金保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料)も、保険者が「個人番号利用事務実施者」となっています。

医療費控除を自動集計の対象にするのなら、所得のうち「公的年金等に係る雑所得」や所得控除のうち「社会保険料控除」も自動集計の対象になっても良さそうです

また課税所得が無くても遺族年金・障害年金・失業給付などを得ている場合は、住民税の申告が必要な場合がありますが、自治体・日本年金機構やハローワークが「個人番号利用事務実施者」であることから、このような申告の自動化も考えられます。

マイナンバーの記載が始まった平成28年分の確定申告は、義務だから記載するということしか感じられませんでしたが、今後社会保障と税を一体管理する番号として利便性も求められるでしょう。

(注)
マイナポータルの本格運用開始が7月から秋に再延期され、健康保険関係の情報参照も全面延期されることが報道されています。平成29年分の確定申告では、医療費領収書の添付省略はできても、保険適用医療費の自動集計はできない可能性もあります。

以上です。(執筆者:石谷 彰彦)

この記事を書いた人

石谷 彰彦 石谷 彰彦»筆者の記事一覧

1977年生まれ。保険代理店を兼ねる会計事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。非常勤での行政事務の経験もあり、保険・年金・労務・税金関係を中心にライティングや国家試験過去問の解説作成を行う。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。
<保有資格>AFP(CFP試験一部科目合格)・2級FP技能士・日商簿記2級

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