※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

医療費10万円以上でなくても医療費控除を適用できる可能性があります

その他 その他
医療費10万円以上でなくても医療費控除を適用できる可能性があります

平成29年分の所得税から新しい医療費控除の形としてセルフメディケーション税制という制度が創設されました。

この制度を利用すれば医療費1万2,000円から医療費控除が適用できる事となりました。

1. セルフメディケーション税制とは


セルフメディケーション税制とは、スイッチOTC医薬品という市販の医薬品の購入金額が1万2,000円を超える場合、その超える部分の金額が所得金額から控除される制度です。


但し、その控除限度額として8万8,000円が設定されています。例えば購入金額5万円の場合には3万8,000円、10万円以上の場合には8万8,000円が所得金額から控除されます。

スイッチOTC医薬品には多くの製品に識別マークが表示されている他、レシートに対象商品である旨が記載される事となっており、その対象商品が記載されたレシートがセルフメディケーション税制を適用するために必要ですので、大切に保管しておくようにしましょう。

以下のリンク先に対象品目一覧のPDFがありますのでご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

識別マーク、レシート記載例は以下のリンク先をご参照ください。
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/self_taxsystem/index6.html

2. 適用要件


セルフメディケーション税制を適用する為には、その適用を受けようとする年中に一定の取組を行っている事が必要であり、その事実を証明しなければなりません。


一定の取組とはインフルエンザ等の予防接種、市町村が実施するがん検診、定期健診、人間ドック等をいい、その証明の為には領収書等又は結果通知表が必要となります。

それぞれの取組とその証明方法は以下のリンク先をご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000143635.pdf

3. 従来の医療費控除について


セルフメディケーション税制開始以後も従来の医療費控除は変わっておりません。但し、セルフメディケーション税制とは選択適用となります。


この場合には有利判定を行った上での選択となりますが、それぞれの適用下限、適用上限を考慮してどちらか有利な方を選択しましょう。

(1) 適用下限額

イ)従来の医療費控除

所得控除を適用する前の所得金額の合計額×5%(最高10万円)

ロ)セルフメディケーション税制

1万2,000円

(2) 適用上限額

イ)従来の医療費控除

200万円((1)イの適用下限額+控除限度額200万円=支払った医療費の合計額)

ロ)セルフメディケーション税制

8万8,000円(適用下限額1万2,000円+控除限度額8万8,000円=支払った医薬品の合計額10万円)

※支払った医療費の合計額が188,000円を超える場には、明らかに従来の医療費控除が有利です。

医療費の合計額が10万円以下の場合には、給与収入310万円以上でそれ以外に損益通算の対象となる損失がないのであれば、通常セルフメディケーション税制が有利でしょう。

それ以外の場合には、OTC医薬品の購入額の多寡や個人の所得金額に応じた従来の医療費控除の適用下限額に注意してどちらが有利かを判定しましょう。

なお、従来の医療費控除を適用する場合であってもスイッチOTC医薬品の購入額は従来の医療費の金額に含まれます。

4. その他の留意点

セルフメディケーション税制は租税特別措置法という法律に規定された制度で、その適用時期は現時点において平成33年分の所得税までとされています。

今まで健康で10万円も医療費を使う事はないと思っていた人も十分適用できる法律です。

例えば適用できる年中に1万2,000円も対象医薬品を購入する必要がなかったとしても、今後利用する見込みのある医薬品を常備薬として購入しておくのは賢い方法かも知れないですね。(執筆者:寺田 悟)

《寺田 悟》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

寺田 悟

寺田 悟

寺田悟税理士事務所 所長 一般企業で経理を行う傍ら平成24年に税理士試験に合格。その後会計事務所勤務を経て平成27年に独立。現在に至る。独立前は上場企業での開示業務や組織再編成に関わる業務等の大規模な法人の仕事から、設立間もない企業のような小規模な法人の仕事まで幅広く経験する。現在はお客様に親しみを持ってもらえる友人のような税理士を目指す事をモットーとして、日々業務に取り組んでいる。 <保有資格>:税理士 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集