来月の日本セミナーで質問したいことを一人5つまで書いて送ってください、と言ったら、早速、色々な難しい質問が飛んできました。特に今後の為替の見通しに関する質問には、いつも四苦八苦させられるので、セミナー会場で恥をかく前に、先に私の見解を述べさせて頂きます。

上の図は1980年以降のドル円チャートですが、1985年のプラザ合意以降、ドル円の年平均レートはおおむね1ドル80円から135円の間で推移しています。過去の歴史から分かることは、円安の後には必ず円高が起こり、円高の後には必ず円安になるので、為替レートが一つの方向に固定されることはないということです。現在の歴史的な円高水準がこのまま固定されることはないと思いますので、欧米市場の回復とともに、今後は緩やかな円安になっていく可能性が高いと思われます。

以前の為替市場は、輸出量が多い経常黒字国の通貨が強くなり、輸入量が多い経常赤字国の通貨が安くなるのが、為替市場の基本的なセオリーでした。1980年代に大幅な経常黒字国であった日本に対して、プラザ合意によって経常赤字国の米国が半ば強制的に円高にさせて、米国のオレンジや牛肉を日本に購入させようとしたのは、こうした事情が背景になります。

現代は世界の工場となった中国の元がもっと強くなっても良いはずなのですが、人民元はいまだに厳しい外為規制管理下にあるので、米国の思惑通りには為替が動きそうにもありません。

現代の為替市場は、各国政府と投機筋の思惑によって益々複雑化しており、今後の為替市場の動向を予測することが非常に困難になっています。また、世界市場の多極化が進んでいることからも、今後の為替レートはドル円だけではなく、ユーロ、ポンド、フランなど他の主要通貨はもちろんのこと、新興国・資源国との対円レートを総合的に判断する必要があります。

結論としては、現在の歴史的な円高水準を生かして、一時金での運用をお考えの方は、いまが投資のチャンスだと思いますし、ドル建て積立投資プランをされている方は、いまの内に日本円の余剰資金を外貨に替えておいた方が良いと思います。為替レートの動向に一喜一憂したくないという方には、円建て積立投資プランをお勧めさせて頂きます。