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日本国債暴落から日本経済破綻のシナリオ

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  日本国債の発行額が国民の金融資産を上回る勢いになっており、日本国債の買い手がいなくなり、日本経済破綻のシナリオが巷では叫ばれているようです。

  日本経済はこれまで言われていた神話、大企業は潰れない、終身雇用は続く、土地神話などなどありましたが、全てが打ち消されている状況ですので、絶対という言葉が経済には通用しないことは誰の目から見ても明らかな状態だと言えるのでしょうから、日本経済破綻と言うキーワードに関しても検証しておく必要があるのでしょう。

  日本国債の買い手の90%以上は日本企業及び日本人個人ですから、日本国債を買うために必要な資金が日本人の金融資産だと言うことなのでしょう。その金融資産を上回る発行額となれば、買いたくても買う資金がなく、暴落だと言うシナリオも現実味を帯びた話なのかも知れません。

  仮に日本国債の買い手がいなくなり国債金利の上昇から国債暴落になったとします。そのときには、日本円が売り叩かれ円の独歩安という状況になっていることが考えられます。輸入物は価格が上昇し、当然、輸入物価の高騰からインフレになるでしょう。こうなると最悪の状態になることは想像に難しくありません。

  しかし、これは日本経済破綻を前提に述べた話であり、諸条件をすべて無視し、最悪のシナリオを考えた場合と言うことになります。まず、買い手が日本企業及び日本人個人と言うことに違いはありませんが、ここに新たな買い手である日銀が加わっているのです。日銀は日本銀行券を輪転機を回せばいくらでも刷れます。日本国債の買い支えには事欠かない存在となるのでしょう。

  日銀が日本銀行券を無尽蔵に刷れば日本円の価値は下がり、独歩安になる可能性を謳われますが、主要通貨で無尽蔵に紙幣を刷っていなかったのが日本のみ。米ドルもユーロも無尽蔵に貨幣を刷り続けているわけです。
 
  例えば、A・B・Cと言う容器があります。この状態を起点にします。容器の中には水が満タンに入っているのですが、Aの容器に水を足すために、Aの容器を倍の大きさにしました。そして、Aの容器に水を満たしました。次にBの容器に水を足そうとしましたが、やはり満タンですのでBの容器を倍の大きさに変更し、水を足して満タンにしました。

  この状態でA・B・Cの容器を比較すると最初の状態を基準とすればA:B:C=2:2:1になっています。最後にCの容器を倍の大きさにして水を入れたならば、2:2:2となり、全体が1から2へ倍の大きさになっていますが相対的に価値は1のまま。

  現在主要通貨である、米ドル・ユーロは紙幣を刷っています。出回るお金の量で貨幣価値が決まるのならば、日銀がここからお金を刷り続けても、全体の出回っているお金の量を相対的に判断すれば、価値が最初に戻るだけであり貨幣価値を落とすと言うことにはなりません。供給量だけで貨幣価値が決まるわけではありませんが、ひとつの決定要因ではあると考えられます。

  しかも、円安になれば輸出企業には有利に働きます。

  日本の個人金融資産は1,200兆円とか1,300兆円とか言われていますが、あくまでも個人金融資産ですから。そして、忘れてならないことは日本は対外純債権国であると言うこと。

  日本国債の暴落から日本経済が破綻すると言うシナリオを描くことは自由ですし、絶対と言うことは無いですから注意をしておくことは必要なのでしょう。しかし、過度に反応をしてもどうかと思っています。注目を集めるためには危機を煽ったほうが注目は浴びますから。

  最後にギリシャと日本を比べる方がいますが、ギリシャはユーロ紙幣を刷ることが出来ません。ここは大きな違いだと思います。

《中村 毅》
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けせらせらファイナンシャルプランナー事務所 金融資産運用アドバイザー たった一度切りの人生、楽しく生きないと!FP面menが語る、現場の声をお伝え。ファイナンシャルプランナーが毎週最新記事を配信する有料メールマガジン。現場の声は現場にいる人間しか解らない。その現場の声を毎週お届けしています。 寄稿者にメッセージを送る

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