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私達にとって有利なのか?「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」

コラム コラム
4月から開始された教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置。果たして、私たちにとってこの制度は有利なのかどうかを会話形式で考えたい。

【会話の登場人物】
お金に詳しい先生
勉強嫌いだけど”お得”に敏感な女子生徒さん

生徒さん 「先生! 4月からお子さんやお孫さんへの教育資金の一括贈与が非課税になったそうですね。なんでも1500万円まで大丈夫だとか?」

先生 「うん、勉強嫌いのわりによく知っているね」

生徒さん 「少しでも得になることには敏感なんです。でもイマイチよくわからないんですよね。ざっとでいいんで、この制度の内容を説明してもらえませんか?」

先生 「制度内容はこんなところだよ」

・祖父母(贈与者)は、子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等に、教育資金を一括して拠出。この資金について、子・孫ごとに1,500 万円(※)までを非課税とする。
※学校等以外の者に支払われるものについては500 万円を限度とする。
・教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管。
・孫等が30 歳に達する日に口座等は終了。
・平成25 年4月1日から平成27 年12 月31 日までの3年間の措置。
(文部科学省HPより抜粋)

生徒さん 「金融機関ならどこでもいいんですか?」

先生 「どこでもいいわけじゃなく、取扱いのあるところに限るよ。最初に金融機関と『教育資金管理契約』を結んで管理を任せ、以降は教育に関する支払いがあるたびにその口座から振り込んだり、出金したりするんだよ」

生徒さん 「教育費用以外には使えないんですか?

先生 「うん、使えない。もし教育資金以外にお金を使ったりした場合には、贈与税が課税されるよ。30歳の時点か教育資金贈与の残金が無くなった時点でね」

生徒さん 「え? 都度支払うんじゃなくて、そんな後なんだ」

先生 「この制度は基本『出口課税』だからね」

生徒さん 「じゃあ、お子さんやお孫さんが30歳になったら?

先生 「そのときに存在する贈与した教育資金の残金プラス、さっき言った教育資金以外に使用したお金の合計額に対して贈与税がかかるよ。残金が無くなった場合はその時点で計算されるんだ」

生徒さん 「結構、面倒くさいんですね。いいのか悪いのかやっぱりよくわかりません。ぶっちゃけ、この制度はどうなんですか?

先生 「実際のところ、今までも3親等以内の親族で生計を一にする扶養義務者間での都度支払われる教育資金は贈与税非課税だったんだよ」

生徒さん 「じゃあ、変わってないんじゃ?」

先生 「贈与の面から見ればね。でも相続の面から見ればこれは違う。贈与から3年が経過していて、お子さんやお孫さんが30歳になる前にもし贈与者がお亡くなりになれば、この贈与した教育資金の分だけ財産を圧縮することができるからね」

生徒さん 「じゃあ、資産家の人が得する制度なんですね?」

先生 「まあ、相続税の対象からは除外されるけど、お子さんやお孫さんが30歳になった時点で残高があれば、やっぱり贈与税として課税されちゃうからね。使いきれなかった場合は高い贈与税を払わなくちゃいけないかもしれない。

  あと、この制度は一括贈与となっているけど、別に1回だけしか行えないわけじゃない。1,500万円の枠内であれば、例えば初年度1,000万円、2年目に500万円という分割での贈与の仕方も可能だそうだ。まあ、どちらにしろ、利用するには綿密な計画がいると言えるかもしれないね」

生徒さん 「私も綿密な計画を練って彼氏におねだりしていますが、それと同じですね」

先生 「それは……贈与税がかからない程度に、しておこうか」

《石川 肇》
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石川 肇

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「銀行・保険会社・証券会社」で培った実務経験を活かし、金融商品の多角的な分析・説明を得意としております。金融商品といえば何か難しいイメージがあるかも知れませんが、そんなに身構えることはありません。ただ押さえておくべきポイント、ルールがあるのも事実です。「金融商品はよく判らないのでつい情報を鵜呑みにしてしまう…」そんな方には、そこで一歩立ち止まり思考を広げる、そのためのお手伝いができればと考えております。また、日頃から講演活動にも積極的に取り組み、「正しいことを面白く、そしてわかりやすく伝えること」を目標に研鑽を積んでおります。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士、証券アナリスト検定会員補、証券外務員一種 寄稿者にメッセージを送る

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