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NISAに最も適した投資信託とは? 3つのタイプを会話形式で解説

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NISAに最も適した投資信託とは? 3つのタイプを会話形式で解説
NISA本申込がいよいよ10月から始まります。日本人口の約8割が利用できるといわれる大掛かりな非課税制度、ぜひ使いこなしたいものですね。そこで、今回はこの制度を活用するためにはどういった金融商品を選べばいいのか。投資信託を例に、会話形式で考えてみたいと思います。

【会話の登場人物】
お金に詳しい先生
勉強嫌いだけど“お得”に敏感な女子生徒さん


生徒さん 「先生、こんにちは~♪」

先生 「おや? 珍しいね。お昼前に君が顔を出すなんて。いったい、どうしたんだい?」

生徒さん 「実はですね……。そう!! 前回勉強したNISA口座について先生にどうしても聞いておきたい質問があったからなんです」

先生 「なんか急に思い立ったような口ぶりだけど…まあ、いいか。それで、質問というのは何だい?」

生徒さん 「先生…。ズバリ、どんな投資信託がNISA口座を利用する上でお得なんですか?」

先生 「相変わらず核心から突いてくるね。そうだね。じゃあ、まずNISA口座のおさらいをしてみようか。NISA口座の運用におけるメリットは何だったかな?」

生徒さん 「途中で受け取る分配金や配当金、売却時の値上がり益が非課税という点?」

先生 「正解。それじゃ、運用におけるデメリットは何だろうか?」

生徒さん 「えっと…確か、運用が上手くいかなくて値下がりしたとしても、その損失が損益通算できない点じゃなかったですか?」

先生 「よく憶えていたね、正解だよ。ちなみに、今答えてもらった二つの解答、これが実はNISA用の投資信託を選ぶ際の判断基準になるんだよ」

生徒さん 「先生…。言ってることの意味がよくわかんないんですが…??」

先生 「要はね、投資信託を選ぶ際、何を重視するかってことさ。例えば、さっき言ったデメリット、損失がどうしても我慢できないとしよう。すると、当然、あまり損をしない投資信託を選ぶことになるよね?」

生徒さん 「えっ!? あまり損をしない投資信託とか実際にあるんですか??

選択肢1 ”低リスク型投資信託”を選ぶ

先生 「実はこれがあるんだな。それが最近、頻繁に開発されている選択肢の一番目【低リスク型投資信託】だ。リスクを減らすには色々な方法がある。

(1) そもそもリスクの高い商品に投資しない
(2) 市場全体の急激な価格変動時、その動向に合わせて現金保有率を高める
(3) 株式・債券など異なる値動きをする資産に分散投資する

大きく分ければ、こんなところだね。本来投資家サイドが行うこうしたことを投資信託内で自動的にやってくれるわけだ」

生徒さん 「なんかラクチンですね。これなら、リスクも低そうで安心だわ」

先生 「確かに楽だね。でも、いいことばかりじゃない。それが作り手側の手がかかるという点だよ」

生徒さん 「え? 作り手側の手がかかるってのは、運用会社が面倒なだけでしょ? 私達には関係ないんじゃないですか?」

先生 「それが違うんだ。手がかかるということは、それだけ多くの人の手が加えられるという意味なのだけれど、当然、関わった人達には賃金(報酬)が発生する。その賃金は誰が払うのかわかるかい?」

生徒さん 「それは会社じゃないんですか? 会社の利益から賃金は支払われるんだと思いますが?」

先生 「じゃあ、その会社の利益はどこから得ているの?」

生徒さん 「それは運用で成功した際の利益とか、お金を預けてくれている私達から受け取る手数料とか……、あっ!!」

先生 「どうやら気付いたようだね。手がかかるということはそういうことだよ。低リスクを得るためには、そうしたコスト(費用)がかかってくる。そもそもリスクの高い金融商品を避けて生成している投資信託だ。運用益で収益は上げにくいよね」

生徒さん 「実入りが少ないのに、費用はしっかり引かれていくなんて。まるでお金のかかる女の子を彼女にしたくてバイトに精を出す男の子みたいですね」

先生 「もう少し男友達をいたわってあげてね。でも、ニュアンスとしては近いかもしれない。決して悪い商品ではないんだけれど、過度な上昇期待もしない方がいいだろうね。

  中には、多少なりとも運用益を上げるために定期的なリバランス(全体の資産配分を一定に保つために、高くなった資産を売却し、安くなった資産を買い資産配分の割合を整える行為)を行うタイプもあるが、それでも劇的に改善されるわけじゃない。そうした意味ではNISA口座の非課税メリットをあまり享受できないタイプとも言えるね」

生徒さん 「なるほど。コスト意識って重要なんですね」

先生 「そうだよ。投資は上がるか下がるかわからない不確定要素が多い。けれども、費用は確定要素であり、定期的に必ずかかってくるものだ。これを軽視してはいけないね

選択肢2 ”抵コスト型投資信託”を選ぶ

生徒さん 「それじゃあ、先生? 逆に定期的にかかってくるコストが少ない投資信託なんかもあるんですか?

先生 「うん、あるよ。それが選択肢の二番目、インデックス・ファンドやETF(上場投資信託)などと呼ばれる【低コスト型投資信託】だ。これらの投資信託はね、市場に連動することを目的にしている。市場には日経平均やTOPIXといった様々なベンチマーク(目標とする指標)が存在するんだけれど…、どうしたんだい?」

生徒さん 「前から気になってたんですが…日経平均とTOPIXってどう違うんですか?」

先生 「簡単に言えば、日経平均は日本を代表する銘柄(東証一部上場銘柄の中から225種の銘柄)の値動きを表しており、TOPIXは日本市場全体(東証一部上場の全銘柄)の値動きを表していると考えてもらえばいいよ」

生徒さん 「なんとなく想像できました。ところで、それに連動させることがどうして低コストに繋がるんですか?」

先生 「それはね、一度、ベンチマークに追随する資産配分を決定してしまえば、手がかからない点が挙げられるね。日経平均やTOPIX採用銘柄というのは、そんなに頻繁に入れ替わりするものじゃない。だから極端な話、採用銘柄と同じ銘柄を全部組み入れてしまえば、後は何もしなくとも目標とするベンチマークに勝手に連動してくれることになるよね(完全再現法)」

生徒さん 「なるほど~。確かに手がかかりませんね」

先生 「さっきも言った通り、手がかからないということはその分、私たちが負担する手数料を安くすることができる。ちなみにNISA口座のお手本、イギリスのISAではこの【低コスト型投資信託】が一番人気になっている。これは長期運用においてコスト意識がいかに重要かを示す好例だと思うよ。また、市場平均であるインデックス・ファンドは、長期運用においてアクティブ・ファンドに負けないという検証結果も出ているんだよ」

生徒さん 「えっと…、アクティブ・ファンドって何ですか?」

選択肢3 ”上昇期待型投資信託”を選ぶ

先生 「インデックス・ファンドと違って、市場平均を上回るように積極的な投資活動をプロが行う投資信託だ。ちなみに、これが第三の選択肢【上昇期待型投資信託】となる」

生徒さん 「あれ? 一般に出回っている投資信託って、普通に基準価格の上昇も期待していますよね? 普通の投資信託とどう違うんですか?」

先生 「なかなか鋭い質問だね。実は普通の投資信託と違い、【上昇期待型投資信託】は非分配の方針を掲げたり、分配回数を減らす工夫を加えているんだよ。分配金を途中で支払ってしまうと、どうしてもその分、基準価格が下がってしまう。

  10,000円の投資信託が1,000円の分配金を払えば、次は9,000円を原資に運用することになるよね。だけど分配を行わなければ、10,000円が原資のままだ。

  10,000円を原資に運用するのと、9,000円を原資に運用するのじゃ、10,000円原資の方が運用効率がいい。つまり、分配金を支払わずに運用した方がより効率的になるんだよ」

生徒さん 「なるほど。理屈はよくわかりました。それにしても、プロが積極的な投資活動を行っていても市場に連動するインデックス・ファンドには敵わないんですか? なんか、サギっぽい…」

先生 「あくまで長期運用においては、という条件付きだけどね。もちろん中には例外もある。だけど、数あるファンドの中から、市場平均に常に勝てるアクティブ・ファンドを探し出すのは至難の業だ。過去に上回っていたからといって、来年も上回る保障がないのが投資の世界だからね」

生徒さん 「どうしてプロが市場平均に負けちゃうんですか? 運用のプロだったら勝てて当たり前なんじゃないですか?」

先生 「ひとつは売買コストの問題だね。平均を上回る運用成果を出すためには積極的な投資が必要だし、そのためには売買頻度が上昇する。売買が多くなると、そこに取引に関わる手数料が発生してくるんだ。頻繁に売買すれば売買しただけ、この費用がかさむ」

生徒さん 「なるほど。ここでもコストなわけですね」

先生 「そうだよ。それに加えて、より運用効率の良い投資対象を探し出すには企業調査のための費用も膨らむ。結果として、コスト高を吸収するにはより大きな運用益が必要になってくるんだ」

まとめ  では、オススメしたい投資信託とは?

生徒さん 「……と言うことは。先生のオススメはインデックス・ファンドってことですか?」

先生 「そうだね。投資初心者にはそれが最良の選択肢だと思う。何しろ、NISA口座は長期運用が基本だからね。コスト意識がより大切になるだろう。

  ただ、せっかく投資するんだ。値上がり益非課税の恩恵を少しでも多く受けたいのであれば、投資額の一部を値上がり期待のアクティブ・ファンドに振り向けてもいいだろうね。この【上昇期待型投資信託】のメリットは既存ファンドを元に組成されていることだ。お陰で過去データが豊富にある。過去の実績が未来を保障はしないけれど、この過去データを詳細に紐解くことで、良質のアクティブ・ファンドが見付かる可能性は高まるんじゃないかな?

  ちなみにこうした投資スタイルは日本の年金機構でも採用されていて、コア・サテライト戦略と呼ばれている。中心に安全資産(低リスク型や低コスト型)を据え、一部を人工衛星のように切り離し上昇期待資産に振り向ける方法だよ。上手く機能すれば、値上がり益非課税も充分狙えるだろう」

生徒さん 「確かに普段、お金に細かい男子が、サプライズでオゴってくれたりすると嬉しいですもんね。
  …というわけで先生、今日のお昼おごってください♪実は素敵なアクセサリーを買ったら、今週ピンチで……」

先生 「なるほど。それで今日は昼前に来たわけか。ご利用は計画的にという言葉が以前はやったけれど、NISAを活用するためには、まずその衝動買いのクセを治さなくちゃいけないようだね」

《石川 肇》
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「銀行・保険会社・証券会社」で培った実務経験を活かし、金融商品の多角的な分析・説明を得意としております。金融商品といえば何か難しいイメージがあるかも知れませんが、そんなに身構えることはありません。ただ押さえておくべきポイント、ルールがあるのも事実です。「金融商品はよく判らないのでつい情報を鵜呑みにしてしまう…」そんな方には、そこで一歩立ち止まり思考を広げる、そのためのお手伝いができればと考えております。また、日頃から講演活動にも積極的に取り組み、「正しいことを面白く、そしてわかりやすく伝えること」を目標に研鑽を積んでおります。 <保有資格>:CFP、1級FP技能士、証券アナリスト検定会員補、証券外務員一種 寄稿者にメッセージを送る

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