最近になって、新聞に2世帯住宅の一面広告を見かけるようになりました。来年からの相続税の基礎控除額の減額(現行の60%、相続人が3人の場合、実に3200万円もの基礎控除額が減ってしまうこととなります。)を見据えての一面広告のような気がしてきます。

 基礎控除額の減額に向けては、路線価の高い都心部では、相続税の特例規定は適用の受けられるものは、とにかく受けるようにすることが第一の相続税対策でしょう。その代表例が、「小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の規定」です。すでに、殆どのかたが耳にしたことのある言葉と思います。

特例規定の活用で注目集まる「2世帯住宅」

 被相続人もしくは被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地は、来年からは、330㎡までは相続税の評価額は80%軽減されることとなります(現行は240平方メートル)。そして、この要件には、原則、相続開始時には被相続人との同居が必要となってきます。

 例外として、同居を必要としない一定のケースもありますが、最低でも、その規定の適用を受ける本人と配偶者が所有する家に、相続の開始前3年以内に住んでいないことが必要となってきます。

 相続増税に備えて、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例の規定(以下、小規模宅地等の特例という)を、使えるようにするためにはやはり同居でしょう。同居となれば2世帯住宅。その敷地には、どんな間取りの2世帯住宅ができるのでしょうか…。

お互いにストレスのない「2世帯住宅」の間取りは?

 2世帯住宅の間取りの考え方は、いといろな考え方があります。基本的には、

1) 玄関も水回りも一つだけの同居型といわれるパターン。

2) 玄関は、一つだけど、キッチンやお風呂はそれぞれの世帯毎に設けている準分離型のパターン。

3) 玄関と水回りは別、そして家の中では行き来ができない完全分離型のパターン。

 そして、分離型には、上下分離型や左右分離型に分類されます。お互いのプライバシーをどこまで保つかをどのように考えるかで、その住まい方は決まってくるでしょう。2世帯住宅は、何といっても、間取りでしょう。お互いが、ストレスを感じない円満同居のできる間取りを考えたいものです。

 私の経験では、準同居型の2世帯住宅を建てられる方が、多かったです。玄関は一つ、LDKは別々、浴室は一つのパターンが多かった記憶があります。浴室が二つは、経済的に勿体ないという意見が多かったです。そして子世帯用にシャワーをつけるといったパターンも多かったです。

 私のお気に入りの準同居型は、玄関(南)に入って、正面に中庭、そして中庭の東側が共用の大きなLDK、北側が水回り、西側が親世帯のスペース、そして2階は子世帯の小さなDK、寝室、子供室、といった間取りでした。

 夜、子世帯の友人が集まって1階のLDKでくつろいでいても、親世帯とゾーンが分かれますので、比較的、プライバシーが保たれる間取りでした。

将来の遺産分割を考えておくことが大切

 2世帯住宅を考える上で、もっとも、大事なことは、将来の遺産分割を考えておくことでしょう。

 相続税の評価額軽減につながるといって2世帯住宅を建てたはいいものの、子供への遺産分割をきちんと考えていなくて、結果、相続が発生したときに2世帯住居の被相続人が所有していた敷地相当分が相続財産全体の金額のうち多くを占めることから、法定相続分での分割を求められ、2世帯住居を売却して遺産分割を行ったケースもあります

 2世帯住居での同居を考えるうえでは相続財産を何を誰に遺してあげるか同居をする子供にその比重が偏るのであれば、代償分割ができるように生命保険で準備しておくとかを考えてみましょう。

 そして、何といっても、やはり遺言書を遺して円滑に手続が進むようにしておくことが万全な備えでしょう。分割を考えながら、納税や節税を考える。分割・納税・節税、この3つを常に一緒に考えるようにしてみてください。(執筆者:荒木 達也)