前回は確定拠出年金をお勧めしました。でも、投資信託等リスクがある商品での運用は嫌だとお考えの方もいらっしゃいます。

また、インフレ・インフレと騒いでいるが、インフレは来ないと確信する方、インフレになっても1%程度であれば、リスクを取らない方が良い、またデフレの時代が来るとお考えのかに、お勧めしたいのが国民年金基金です。

国民年金基金の仕組み

国民年金基金は確定給付年金のため、予め決められた額が受給できます。その代り運用によって年金額が増えることはありません。リスクがある商品は利益だけでなく損失を被るケースもありますから、確定した額を受け取る制度といずれかを取るかは、読者の判断になります。

例えば、物価上昇率が年率0.5%の場合には現在1,000円の品物は1,051円、20年後は1,105円、30年後でも1,161円でしかありません。

年率1.0%の場合は、10年後には1,105円で、20年後で1,220円、30年後は1,348円です。現在政府が目標としている2%であっても、10年後1,219円、20年後1,486円、30年後1,811円です。(試算値は円未満四捨五入)

ただし、物価上昇率が定率で数十年変わらないことを前提にした試算値ですので、この先また、デフレに陥る、インフレ率が下がる、またはインフレ率が上昇するという不確実性(リスク)があります。

それでも、前回の確定拠出年金でも説明しました通り、税制面の優遇はすごく、掛け金は全て所得控除ですから所得税や住民税が軽減されます。ホームページでは、

「課税所得金額400万円くらいで、掛金が年額30万円であれば、所得税・住民税の合計で約9万円軽減され、国民年金基金の掛金は、実質約21万円となります」

と紹介されています。

この条件に変更が無いとすると、30年間で900万円の掛け金で約270万円の軽減額になり、なんと30%近い利回りと見做せることに為ります。

従って、リスク商品は購入したくないとの観点から確定拠出年金の加入は見合わせても、国民年金基金の加入は検討に値するものと考えます。

年金額は加入時に分かります

確定給付の年金ですので、掛け金によってもらえる年金額加入時に分かります。

国民年金基金は、厚生大臣(当時)の認可を受けた公的な法人で、47都道府県に設立された「地域型基金」と25の職種別に設立された「職能型基金」の2種類があります。何れかをお選びになるかはご本人が選択します。内容は同じです。

国民年金基金に加入できる方は

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者および日本国内に居住している60歳以上65歳未満の方で国民年金の任意加入被保険者の方々が加入できます。

しかしながら、次のような方は加入できません。

・厚生年金保険や共済組合に加入している会社員(国民年金の第2号被保険者)
・厚生年金保険や共済組合に加入している方の被扶養配偶者の方

その他の要件もあります。加入条件・資格(国民年金基金HP)をご参照ください。

なお、60歳を過ぎても国民年金加入者は国民年金基金に加入できます。最長で65歳までかけることが出来ます。企業を退職されて起業される方は御検討ください。

下記は日本の年金制度の体系図です。ご自身の属する集団を捉えていただくため再掲します。

掛金

掛金月額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まります。 掛金の上限は、月額6万8,000円です。

給付の型及び加入口数は、掛金月額6万8,000円以内で選択できます。 (ただし、個人型確定拠出年金にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内となります。)

なお、確定年金の年金額が終身年金の年金額をこえる選択はできません。

掛金の納付は口座振替により行われます。

掛金は、加入者が指定した金融機関から口座振替によって納付されます。 また、国民年金本体の保険料も掛金とあわせて口座振替によって納付されると便利です。

給付の種類は

老齢年金と遺族一時金の2種類です。

老齢年金は、終身年金と確定年金をご自身で組み合わせます。その内容は給付の種類(国民年金基金HP)を参照ください。

遺族一時金は、保証期間のある終身年金A型と確定年金Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型に加入している方が年金を受け取る前に死亡した場合、加入時年齢と死亡時年齢及び死亡時までの掛金納付期間に応じた額の一時金が遺族に支払われます。

デメリット

国民年金基金への加入は任意ですが、付加年金を代行した公的な年金制度のため、加入後は途中で任意に脱退はできません。特別な要件が無ければ、かけ続けることが条件となりますので。無理のない範囲でかけ続けることが必要になります。

国民年金基金に加入した方は次のいずれかに該当したとき加入資格を喪失します。 60歳になったとき と65歳になったとき(60歳以上で加入した場合) 詳しくは加入条件・資格(国民年金基金HP)を参照ください。

確定拠出年金、国民年金基金、いずれにしても加入は早ければ早いほど、老後の資産形成に有利です。

まずは、ご自身のリスクへの考え方、日本経済の将来像を考え、資産形成のスタートをお切り下さい。キリギリスよりもアリさんの方が豊かな生活と思います。(吉野 充巨)