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「空家等」が『特定空家等』とならないために早急の対策を

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「空家等」が『特定空家等』とならないために早急の対策を

「空家対策特別措置法」が全面施行 ガイドラインも公開

先月26日より「空家対策特別措置法」が全面施行されました。これにより自治体は増加する空家への対策を強化していきます。併せて国交省からは、「特定空家等に対する措置」を自治体が実施するうえで必要な指針(ガイドライン)が公開されました。

「空家等」『特定空家等』は異なり、「特定空家等」とは、「空家等」のうち、以下の状態にあると認められる「空家等」と定義されています。

(イ)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

(ロ)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

(ハ)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

(ニ)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態


(イ)~(ニ)の概要については、ガイドラインではつぎのようになっています。


guideline2

「特定空家等」に対する措置としましては、所有者等の事情把握に始まり、事前準備、助言・指導、勧告、命令と進んでいき、それでも必要な措置が講じられない場合には、代執行も可能です。

又、勧告後も改善がみられない物件については、住宅が立つ土地への固定資産税の優遇も2016年度分から対象外となります。そうなれば、固定資産税も最大6倍となることになります。

「特定空家等」認定と賠償責任との関係は???

話は変わりますが、先日(6月4日)に東京・品川区で小学校近くの空家から出火して隣のアパートなどに延焼し、あわせて7棟(270平方メートル)が燃えるという火事が発生しました。消防車など34台が駆けつけ、一時は小学校の児童など約400人が近くの施設に避難したほどでした。

このニュースをみて思ったのが、

「もし、この空家が「特定空家等」に認定されていたら、所有者の賠償責任は発生しないのだろうか?」

というものでした。

民法709条で損害賠償責任について定められていますが、失火の場合には、「失火責任法」という特別法により、重過失を除いて免責とされています。

しかし今回の火事では、この “ 重過失” が認められやしないかが疑問です。

何故なら、インタビューを聞いていましたら、この空家に浮浪者が侵入していた事実などがあり、誰でも侵入できたことが把握されていたようだからです。そのうえ、上記(イ)により「特定空家等」と認定されていたら、重過失(人が当然払うべき注意をはなはだしく欠くこと)に該当してしまう場合も出てくるのではないでしょうか。勧告や命令などまで受けていたら、なおのことです。今後、こういった訴訟がでてくるような懸念を少し感じました。

個別事情にあった空家対策を


「空家等」から「特定空家等」認定となれば、そのリスクの大きさはまったく違ったものとなってしまう

でしょう。「特定空家等」と認定されないために、それぞれの事情にあわせた空家対策が早急に求められているのではないでしょうか。


解体、売却、さまざまな有効利活用、空家巡回サービス、損害保険加入又は、それらの組合せなどが空家対策として考えられますが、適切におこなうには、建築、不動産、金融、税金、法律、登記など複合的な知識・ノウハウがケースに応じて必要になってきます。

最近、空家対策に対するサービスを開始するところを多くみかけるようになりましたが、正直、“本業への橋渡し”サービスとしか思えないところもあります。(個別事情などは考慮せず、営業面ばかり重視の)相談先は、慎重に吟味して選択するようにしてください!(執筆者:小木曽 浩司)

《小木曽 浩司》
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執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司 小木曽 浩司

リップ ラボ 代表 1969年生まれ。大学卒業後、新卒で大手住宅メーカーに入社。約10年間、戸建住宅や賃貸住宅の営業に従事。その後、生損保乗合代理店に転職し、生命保険を使った企業の決算対策や退職金準備などを提案・営業する。そして、平成18年(2006年)6月にリップ ラボ(独立系FP事務所 兼 生損保乗合代理店)を開業し、独立する。現在は、生命保険・損害保険・住宅(不動産)・住宅ローンをひとつの窓口で、トータルにご相談に乗らせていただいております。また、専門家のネットワークを構築し、税金や相続、登記などの相談の窓口にもなっております。 <保有資格>:CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、ライフ・コンサルタント、損害保険プランナー 寄稿者にメッセージを送る

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