事例
・平成26年に父が亡くなり、相続人は母と子供(兄と妹)の二人でした。

・財産は、自宅の土地・建物と調整区域(原則、家が建てれないところ)の農地(下図参照)と少々の預金でした。

・母と長男(兄)夫婦が父と同居し、長女(妹)は結婚し同市でアパート住まいです。

・父の死亡日が相続税の増税前でもあり試算したところ基礎控除以下の財産で申告は不要でした。

相談者である母は、遺産をどう分けたらよいのかアドバイスが欲しいとのことでした。


今回の相続だけ考えた場合、基礎控除以下のためどう分けても相続税がでないですが、二回目の相続つまりお母さんの、相続税をまで考えればお母さんの取得割合をどうしたらよいのか検証することはできますが、順番としてはまず相続人全員の「思い」がどうであるのかが一番大切であることをお話しました。

母、長男、長女の相続人全員で話し合った結果、当初、こんな案が出ました。 

母には、自宅の家と預金を
長女には、Bの農地を
長男には、後継ぎということで自宅の土地とB以外の農地を

長女(妹)は家を建てるための土地が欲しいとのことでしたので上記のような案が出たそうです。
※長女が取得する予定の農地は本来、家を建てることができないところですが分家ということで家が建てれそうだとの話でした。

まずまずの案と思い分割協議書を作成し、母に渡したのですが1か月経っても連絡がありません。『何か問題でも』と確認の電話を入れたところ「ちょっと、もめていまして…」と言われたわけです。

ここで問題です。いったい何が問題だったのでしょうか?

(1) 遺産の割合が法定割合になっていない 
(2)不動産でなく預金が欲しいといった意見が出た
(3)結婚して外に出た妹にはあげたくない(昔の家督相続の考え)

答えは何れも不正解です。

正解は、長男の妻から「妹さんが土地を相続するのはいいけれど、実家と近すぎるのが嫌!」 問題は距離だったわけです。

先日、若い経営者の会でこの話をしましたら、 「なんで相続人でない長男の奥さんの意見が問題なるの?」なんて質問が出ました。この答えは、結婚し親と同居したことがない方には分からないかもしれませんね。(執筆者:橋本 玄也)

※「事例」について
上記の事例は、あくまで当事務所にて多くご相談を受けた、さまざまなケースを基に“意外だけど、よくあるケース”として作成したものであり、個別の事例を記載したものではありません。