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国民年金の保険料の納付は「消費税の回収作業」

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国民年金の保険料の納付は「消費税の回収作業」

先日読売新聞を読んでいたら

政府は、年金の保険料の納付率を上げるため、国税庁が保険料の悪質な滞納者に対して財産を差し押さえる強制徴収の対象を、平成27年10月から拡大する

と記載されておりました。


例えば自営業者やフリーランスなどが加入する国民年金では、「滞納者の所得が1000万円以上かつ滞納期間が13カ月(現行2年)以上」の場合を、悪質な滞納者と新たに定義して、強制徴収の対象にするようです。

年収ではなく所得が1000万円以上もあるのに、毎月1万5000円程度の国民年金の保険料を納付しないというのは、明らかに悪質な滞納者であると推定できますので、個人的にはやむを得ない措置であると考えています。

ただ強制徴収を待つまでもなく、国民年金の保険料はきちんと納付した方が良いと思うのですが、「法律でそう決まっているから」とお役所みたいなことをいうつもりはなく、単純に損をするからです。

老齢基礎年金の財源の2分の1は税金


国民年金の保険料を原則25年以上納付した方は現在、65歳になると老齢基礎年金を受給できます。


なお皆さんの給与から控除されている厚生年金保険の保険料には、国民年金の保険料も含まれておりますので、厚生年金保険の保険料を納付した期間は、上記の原則25年に含めることができるのです。

この老齢基礎年金の財源は国民年金の保険料だけでなく、2分の1は税金を財源にしております

平成27年度の老齢基礎年金の金額は、原則40年間保険料を納付した場合の満額で78万円くらいですから、39万円は保険料を財源にして、残りの39万円は税金を財源にしていることになります。

ですから国民年金の保険料の納付を滞納し続けて、老齢基礎年金を受給できなくなってしまった方は、買い物をするたびに納付していた消費税が、自分の元に戻ってこなくなるのです。

なお安倍総理は平成29年4月から、つまり消費税率の10%への引き上げと同時に、老齢基礎年金を受給できる一定の低所得者を対象にして、月額5000円の老齢年金生活者支援給付金を支給すると選挙期間中に語っておりましたが、これは消費税を財源にしております。

つまり老齢基礎年金を受給できなくなってしまった方は今後、老齢基礎年金で納付した消費税を回収するチャンスを失うだけでなく、老齢年金生活者支援給付金でも納付した消費税を回収するチャンスを失うのです。

こういった理由があるため私は国民年金の保険料の納付を、消費税の回収作業と考えるのですが、そうはいっても失業中で収入がないため、国民年金の保険料を納付できない方もおります。

納付猶予は年金額に反映されない


そういった方は全額、4分の3、半額、4分の1といった4種類の保険料の免除か、納付猶予を受けることになりますが、

できれば納付猶予は避けたいところ

です。


その理由として老齢基礎年金の財源は国民年金の保険料だけでなく、2分の1は税金を財源にしていると記載しましたが、納付猶予だけはこの税金の投入がないからです。

例えば全額免除の期間が40年間の方は税金の投入があるので、後で保険料を追納しなくても、満額78万円の半分である39万円の老齢基礎年金を受給できます。

それに対して納付猶予の期間が40年間の方は税金の投入がないので、後で保険料を追納しないかぎり、老齢基礎年金の金額はゼロになります。

もともと納付猶予は30歳未満の方を対象にした制度ですが、平成28年7月から50歳未満に拡大されました。

そのため受けたい免除を指定しないで免除申請すると、新たに50歳未満の方も「全額→納付猶予→4分の3→半額→4分の1」の順に、審査されるようになりましたので、納付猶予を受けたくない方は注意が必要になります。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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