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遺産の価格によって変わる注意するべき相続手続の期限

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遺産の価格によって変わる注意するべき相続手続の期限

被相続人の死亡によって相続が発生します。よくご相談があるのは、「相続の手続をいつまでに終わらないといけないか」ということです。


この点に関してまして、相続人の方が注意するべき期限は、亡くなられた方の財産状況によって変わってきます

借金ばかりある方が亡くなられた場合

まず、そもそもプラスの財産があまりなく、借金ばかりあるという方が亡くなられた場合は、債務を承継しないためには家庭裁判所に相続放棄や限定承認の手続を行わなければなりませんが。この期間は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。

この期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、なお、単純承認、限定承認又は相続放棄のいずれをするかを決定できない場合には、家庭裁判所は、申立てにより、この3か月の熟慮期間を伸長することができますが、これも申立を行わなければならないため、このような事例の場合、一番早い対策が必要となります。

財産が多い方が亡くなられた場合


次に早い対策が必要な事例は、多く財産を有する方がお亡くなりになられて、相続税の申告、納税が必要な場合です。


相続税の申告と納税の期限は、相続開始を知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10か月以内となっています。遺言書等がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。これがまとまらないと未分割の状態で申告しなければならなくなり、適切な財産の取得を考えますと、早い時期に協議を始める必要があります。

相続税の基礎控除額を下回るなど申告、納税義務のない事例の場合は、相続人以外の者が、相続人であると詐称して遺産を支配・占有している場合に注意が必要です

相続人がその者から遺産の占有を廃除し、相続権を回復する相続回復請求権は、相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅し、相続開始の時から20年を経過したときも、同様とされています

このような財産状況の事例では、10か月という申告期限の制約はありませんが、主だった財産が自宅不動産しかないことも多く、法定相続分による分配が困難な一番紛争の起こりやすい事例といわれています。

また、協議の間に相続人が死亡するとさらにその相続人と協議をしなければならなくなります。複雑になる前になるべく早く遺産分割協議をしておくことが重要です。(執筆者:大西 隆司)

《大西 隆司》
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大西 隆司

大西 隆司

なにわ法律事務所 代表弁護士 企業法務、相続という得意分野を生かしつつ、予防法務、戦略法務を取り入れてトラブルの予防、解決を図る。 新日本法規出版のリーガルコラムをはじめ各種コラムの執筆を担当。相続、事業承継、契約書、債権回収、労務管理などの各種セミナー講師やFMラジオ番組のメインパーソナリティーも務める。関西大学非常勤講師、環境法政策学会会員、大阪奈良県人会理事など多方面で活動中。 <保有資格>:弁護士 寄稿者にメッセージを送る

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