マイナス金利の家計防衛策 やって良い事、いけない事

マイナス金利が導入されて「タンス預金がいいのでしょうか?」とのお問い合わせや「資産が目減りしないように運用をしなければ」と焦っておられる方もいらっしゃいます。

今まで経験したことのないマイナス金利。動揺されるのも無理はありませんね。

よくある質問に回答しながら、マイナス金利の家計への影響と対策について紹介します。

1.預金金利がマイナスになるの?


今回導入されたマイナス金利は日銀と民間の銀行との間の話です。

私たちの預金の金利がマイナスになるということではありません。

マイナス金利は銀行がもっと気前良く(低金利で)お金を貸すようになって、景気が良くなることを狙った政策ですね。

大企業の普通預金について手数料の徴収を検討している金融機関もあるようですが、個人の預金に手数料を課すようなことはないと思います。

但し、振込手数料やATM利用料などの手数料が上がる可能性は十分に考えられます

個人としてはこのような手数料に敏感になり、金融機関を上手に利用することがより大切になってきます。

2.住宅は買い時ですか?

既に低水準にある住宅ローン金利が、マイナス金利の影響でさらに下がる傾向にあります

10年固定型住宅ローン金利が年0.7%という金融機関も出てきました。

また国債金利がマイナスとなったことにより、今後さらに長期の住宅ローン金利の低下が予想されます。そういう意味では「買い時」と言えます。

丁度、購入を検討していた方にとってはラッキーな金利低下と言えますが、ローン金利が下がったからと無理に買う必要はありません。住宅取得計画は長期の生活設計や資金計画に基づいて行いましょう。

3年半ほど前にマイナス金利が導入されたデンマークでは、住宅ローンにマイナス金利が適用され、借りるとお金がもらえる住宅ローンと話題になりました

その結果、住宅購入が加熱し、住宅需要が供給を上回り物件価格が15%も値上がりした地域もあるようです。ローン金利の低下分以上に高い買い物をしては元も子もありませんね。

3.住宅ローンの借り換えをした方がいいですか?

住宅ローン返済中の方にとっては借り換えのチャンスです。

特に、将来教育費負担が大きくなるような子育て世帯には10年以上の長期固定のローンへの借換えをお勧めします。

長期金利の指標となる10年国債が史上初のマイナスとなったのを受け、固定型の住宅ローン金利がさらに低下すると考えられます。金利の動向を見ながら、借換えの準備をされると良いでしょう。

ただし、低い金利に借換えれば、必ずメリットがあるわけではありません。

借換えによって返済額が減りメリットがある方と、返済額が減っても借換えのメリットがない方がいます

住宅ローンを借換える際には、ローン事務手数料保証料登記手数料などの諸費用が必要になりますので、これらの諸費用を含めてメリットがあるか考える必要があります。

一般に次の3つを満たす方は、借換えメリットがあると言われます。

a) 残りの債務が1000万円以上

b) 残りの返済期間が10年以上

c) 借換え先の金利と今の金利の差が1%以上

上記はあくまでも目安です。条件以下でも借換えメリットがある場合がありますので、借換え諸費用の見積もりをとった上でシミュレーションをしてみてください。

c)の金利差については、0.5%程度でも借換えメリットがある場合があります。

尚、民間のローンからフラット35に借換える場合は、団体信用生命保険料が発生しますのでその点ご留意ください

また、借入れ時に一括で保証料を支払っている場合には、借換えにより保証料が返還される場合があります。

住宅ローンの契約書に「繰上返済・一括返済の場合の保証料の返戻についての契約条項」があるかご確認ください。

借換え諸費用=(前の金融機関に払う手数料+新たなローンに係る費用)-保証料の返還

4.預金は目減りする? 資産運用をすべき?


冒頭で申し上げた通り、私たちの預金金利がマイナスになったわけではありません。

日銀のマイナス金利の発表を受け、普通預金金利を0.02%から0.001%に引き下げた銀行もあります。つまり利息が20分の1しかつかなくなったわけです。

しかし、ここは落ち着いて考えて見ましょう。

100万円を1年間預けて今まで200円もらえていたものが、10円になったということです。その差は190円。1000万円を預けている方でも年間1900円もらえなくなったという計算です。

その程度であれば、生活に大きな影響があるわけではありませんね。

預金利息が1%を切ってから20年ほどが経過します。「預金では殖やせない」のは今に始まったことではありません

マイナス金利の報道を受けて、慌てて株や投資信託などのリスク商品に財産を投じるのは、泳いだことがない方が海に飛び込むようなものです

とはいえ、そもそも資産の大部分が預金というのもリスク分散ができていないことになります。

今回のマイナス金利は、我々のお金との付き合い方、生活設計と資金計画、資産配分について見直す良い機会かもしれません。

資産運用について「余裕資金ができてから」と思っているとなかなか投資はできません。投資経験がないままに退職金でいきなり運用を始めるというのは、最も避けたい状況です。

そのためには若いうちから毎月の収入から

貯めるお金

殖やすお金

使うお金

と分けて、コツコツ投資をはじめてみてはいかがでしょう。

金融経済教育を後回しにしたまま投資へと誘導する国のやり方は納得いきませんが、NISAや確定拠出年金など税制上の優遇措置もありますので、国の制度に賢く乗って資産形成を行いたいものです。

顔をつけて、バタ足をして、次にビート板を持ってと、上手く泳げるようお金のトレーニングを始める良い機会かもしれませんね。

まとめ:やっていい事、いけない事

●やって良い事
(1)住宅ローンの借換え
(2)金融機関の手数料確認
(3)投資トレーニング

●やってはいけない事
(1)慌てて住宅を買う
(2)長期固定金利型の金融商品(保険)の購入
(3)タンス預金  

(執筆者:小谷 晴美)

この記事を書いた人

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しなやかライフ研究所 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
国立大学教育大学教育学部卒業。前職では中小企業診断士として商業・サービス業の経営指導に携わる。2006年、ファイナンシャルプランナー資格を取得し、「暮らしのお金」と「起業のお金」の身近な相談役として個人相談の他、研修・セミナー、執筆に従事する。zoom相談も開始し、全国から家計や起業にまつわる相談を受けており、1,000件を超える豊富な相談経験から読者の「知りたい」に応える情報発信している。
保有資格:日本FP協会CFP®認定者、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、住宅ローンアドバイザー
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