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「確定拠出年金(DC)」の気になる点を徹底解説 メリット&デメリットから注意点、退職時の扱い、今後の改正点まで

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「確定拠出年金(DC)」の気になる点を徹底解説 メリット&デメリットから注意点、退職時の扱い、今後の改正点まで

自分年金としての確定拠出年金

老後の支えと言えば、やはり公的年金が柱ですが、現役で働いている世代の方「私の時には年金なんて出るのかな?」と感じたことはありませんか?

退職金代わりや老後の上乗せ年金として企業型確定拠出年金(DC)を導入する企業が増えています。企業型確定拠出年金に加入しているのは、約548万人(個人型確定拠出年金は約25万人)と順調に増えています。

中小企業向けに簡易な手続き書類で企業型確定拠出年金を導入できるようになる予定(平成30年5月までに)で、企業型確定拠出年金は増えるでしょう。また主婦や公務員、他の企業年金加入者などが個人型確定拠出年金に加入できるようになり(平成29年1月)約2700万人が個人型確定拠出年金の対象者になります。




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ところで確定拠出年金(DC)って何?

確定拠出年金(DC)とは、拠出金(掛け金または保険料)を積み立て、本人が原則60歳から70歳までの間に一定の資金を運用結果に応じて受け取る私的年金制度で、企業型DCと個人型(DC)があります。国民年金や厚生年金・共済年金に上乗せされる自分年金なのです。

老齢給付金は年金でも一時金でも受け取れますが、一時金で受け取る人が9割を超えます。障害や死亡、脱退に一時金が出ることもあります。

運用する商品は、1年満期定期預金から10年契約の外国株式運用投資信託、積立傷害保険などいろいろあり、運営管理機関(銀行、証券会社、生損保など)の運用で利益が出た場合は、資産を受け取る60歳から70歳までは非課税です。1年間に払った掛け金の全額が社会保険料控除になり、節税になります。

確定拠出年金(DC)のメリット

確定拠出年金のメリット、デメリットについて考えてみましょう。

1. 掛け金の全額が社会保険料控除になる

掛け金の全額が社会保険料控除になります。例え、運用が低金利でも節税された分だいぶカバーされると言えるでしょう。

1年で掛け金10万円分の社会保険料控除を受けられたら、年収約500万円の人(扶養家族によっても異なりますが税率10%で計算)なら、毎年約1万円の節税になります。1年間に支払う掛け金が10万円だから、10%の利息がついたのと同じ計算になるのです。年収が高い人ほど節税効果があります

2. 会社の都合で減額されたり、不支給になったりしない

企業型DCの場合、掛け金は運用管理(金融)機関に預けられ、積み立てた年金資産は分別管理されるので、会社の都合でを減らされたり、会社が万一倒産で不支給になったりしません。

転職した場合(原則3年以上勤務の場合)も原則年金資産は減らされることなく(脱退一時金になることはあり)移動できます。

確定拠出年金(DC)のデメリット

1. 低金利が長期間固定される可能性もある

10年など長期間金利が固定されるタイプの運用商品もあります。原則60歳以降の受け取りなので、低金利が長期間固定される可能性もあります

2. 元本割れの可能性もある

アクティブに運用する商品でも、運用利率が低ければ、加入手数料や口座管理手数料、運用指図手数料、資産支払い手数料などの手数料を差し引いたら元本割れの可能性も否定できません。


確定拠出年金、こんなところに要注意!

1. 支払い方法によっては節税効果が薄れることも

一時払いで掛け金を支払うと、支払った1年間だけしか社会保険料控除を受けられず、節税効果は薄れます。

2. 手数料が結構かかることも

手数料がかかることを念頭に置いて! 口座管理手数料、運用指図手数料、給付金支払い手数料など手数料が結構かかることがあります。大手銀行の運用商品で月500円ほど。特に個人型DCの場合、運用商品を選ぶときにどのくらいかかるか要チェックです。

企業型DCの場は、社員全員加入より一定の資格以上の人が加入する会社が多いです。会社負担の掛け金(平均約1万4,000円)で運用商品の手数料などは実質充当されます。

老齢給付金の権利者(原則10年以上加入)になったとき、運用管理者として運用商品の手数料を負担するので手数料はやはり要チェックです。

3. 運営管理(金融)機関は良く選ぼう

特に個人型DCの場合、運営管理(金融)機関は良く選んで! 確定拠出年金は、長期契約でこそメリットを発揮できる商品です。掛け金を預かる信託銀行で分別管理されるので原則年金資産は守られますが、万一運用管理(金融)機関が破たんする可能性もゼロではありません。

めったに無いとは言え、銀行が破たんすると元本確保の定期預金で年金資産を運用したのに1,000万プラス利息分を超えた分の年金資産がカットされる可能性もあります。契約前に、運用管金融)機関の格付けなどは、慎重にチェックしましょう。

4. 途中解約はできない

確定拠出年金(DC)は10年以上の長期間の契約で途中解約は原則できず、満期(通常60歳から65歳)まで保険料を積み立てます。契約時に長期間無理なく支払える掛け金にしましょう。掛け金の変更などは原則1年に1回です。

退職したときどうする? 企業型確定拠出年金

退職または転職した方で企業型確定拠出年金がそのままになっているケースも多いようです。手続きの仕方などを確認してみましょう。

1. 転職した会社には、確定拠出年金制度がなかったら?

企業型DCを転職により止め、原則6か月以内に個人型DCに加入または、運用指図する手続きをします。「個人型DCに加入する」、とは今後も掛け金を支払うこと、運用指図とは今後は掛け金を支払わないけれど、これまでの年金資産の運用を行うことです

2. 転職後手続きしなければどうなるのでしょう?

転職・退職後6か月以内に手続きをしないと国民年金基金に自動的に移換されます。移換とは、企業を退職し、企業型DCの資格を喪失した場合の年金資産の移動手続きのことです。

自動的に移換されると、国民年金基金連合会で仮預かりとなります。現金のまま利息が付かず、数千円の手数料もかかります。

仮預かり中は確定拠出年金(DC)の加入期間としてカウントされず、放っておくと60歳以降加入期間不足で老齢給付金を受け取れないこともあり、今までの掛け金が無駄になってしまいます。

国民年金基金連合会にある仮預かり資産を自分の年金資産として、個人型確定拠出年金に移すにも、別途手数料がかかります。 

やはり退職・転職後は、運営管理機関に手続き書類をもらい、失業等手当やその他給付金の手続き、住民票の手続きなどが落ち着き次第、6か月以内に手続きをするべきでしょう。

3. 途中でやめることになったら?

確定拠出年金(DC)は、一定要件がなければ止められませんが、退職後、または運用指図者になってから、2年以内なら脱退一時金を受けられることがあります。

脱退一時金には、他にも掛け金支払い期間が3年以下または年金資産額50万円以下などの条件があります。

確定拠出年金法改正により変更になる部分

公的年金の受給年齢が65歳より遅くなる可能性もあり、確定拠出年金(DC)のような私的年金はさらに重要になるでしょう。今後の確定拠出年金制度の改正点について、いくつか挙げてみます。

平成26年1月に改正になったこと

・ 確定拠出年金の資格喪失年齢が60歳から65歳になり、掛け金を65歳までかけられるようになりました。

平成28年7月より改正になったこと

・ 運用が困難なところに限り厚労省の承認を受け、企業型確定給付年金(DB)から企業型確定拠出年金(DC)への変更できるようになります。

・ 会社が投資継続教育を企業年金連合会に委託できるようになります。

・ 加入者本人の同意があれば、厚労省の承認はなくても、企業型確定給付年金(DB)から他のDBへの移し替えが可能になりました。

・ 企業型DCから企業型DBへの一部の資産移し替えのときの、加入者の同意要件が緩和されます。

平成29年1月より改正になる予定

・ 公務員・夫から扶養されている主婦、一定要件で他の企業年金(DBなど)加入者も個人型確定拠出年金(DC)に加入できるようになり、個人型DCに加入できる人は約2,700万人に増えます。

・ 個人型DCの脱退一時金の支払い要件が厳しくなり、掛け金を支払わないで運用指図を行うことが廃止される予定です。

・ 企業型DC規約を実施事業所ごとに置いて、従業員の求めに応じて閲覧できるようになります。

・ 国民年金基金で個人型DCの広報が行えるようになります。

平成30年1月より改正になる予定

・企業型DCの拠出単位は掛け金月5.5万円まででしたが、年単位(掛け金年66万円まで)になります。


遅くも平成30年5月までに改正になる予定

・ 老齢年金を受ける権利があっても、脱退一時金が受け取れるようになります。

・ 100人以下の中小企業に対し、行政手続きの書類を簡素化し、金融機関に手続きを依頼委できる簡易型DC制度が創設されます。

・ 100人以下の中小企業に限り、個人型DC加入の従業員に対し、小規模企業共済の事業主が追加で掛け金を拠出できるようになります。

・ 投資教育が努力義務となり、運用商品選択者の2/3以上(現在は全員)の同意があれば運用商品を入れ替えることができるようになります。

・ 確定拠出年金(DC)から確定給付年金(DB)、中退共等への資産持ち運びがしやすくなります(脱退一時金額を持ち運び可能の予定)。

これから変化しつつある確定拠出年金(DC)制度です。自分年金を検討するとき、社会保険料控除はNISAの所得控除より有利な条件です。

リスクも考えた上で老後資産を増やしたいという方は、前向きに検討してみてもいいのではないでしょうか?(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)

《拝野 洋子》
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拝野 洋子

拝野 洋子

年金相談員、保険・家計アドバイザー ファイナンシャル・プランナー(上級資格のうちライフ、保険、タックス、相続、金融を科目合格) 大手地方銀行にて外国為替、内国為替に携わる。税理士事務所等にて、社会保険、助成金申請代行、損保代理店業務、行政書士補助、記帳代行などの業務に携わる。400件以上の電話年金相談に対応。東京都中央区で算定相談員、川崎市で街頭相談員、社団法人の労働施策アドバイザーを経験。趣味はクラリネット演奏 音楽鑑賞 読書。平成25年4月よりオールアバウトガイド 平成29年4月より年金相談員 <保有資格> 社会保険労務士、FP技能士2級、AFP、日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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