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【読者の質問に回答】 扶養内で働く主婦が、年金の受給額を増やす方法を教えてください 

税金 年金
【読者の質問に回答】 扶養内で働く主婦が、年金の受給額を増やす方法を教えてください 

読者の質問

【確定拠出年金】
扶養内の私自身の年金の受給額を増やす方法が知りたいです。また主人での小規模企業共済等掛金控除の申告が可能かどうかも。(45歳既婚女性 子供2人)


私の回答

妻が拠出した個人型の確定拠出年金(以下では愛称に決まった「iDeCo」で記述)の掛金は、年末調整や確定申告の際に、妻の給与所得から控除しなければならず、夫の給与所得からは控除できません

そのため夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための、妻の年収制限が、現在の「103万円以下」から「150万円以下」に拡大された後に、103万円を超えて働く予定なら、iDeCoが良いと思います

その一方で103万円を超えて働く予定がないのなら、新設される予定の「積立NISA」を、活用することも考えてみましょう。

これらを活用して老後資金を増やそうとする場合、定期預金などの「元本確保型商品」だけでなく、投資信託などの「価格変動型商品」も、選んでみるのが良いと思います。

どの投資信託が良いかわからない方は、自分で資産配分を考える必要がなく、またリバランスの手間がかからない、「バランスファンド」を検討してみましょう。

以上のようになりますが、この回答について詳しく説明すると、以下のようになります。

3つの段階において税制面で優遇されているiDeCo

iDeCoは

(1) 掛金を拠出する時
(2) 拠出した掛金を運用する時
(3) 拠出した掛金とその運用益を引き出す時

3つの段階において、税制面で優遇されており、具体的には次のようになっております。

(1) 掛金を拠出する時

会社にお勤している正社員、派遣社員、パートやアルバイトなどが納付する所得税は、大まかに表現すると、次のような手順で算出されます。

A:1月~12月に支払われた給与の合計-給与所得控除=給与所得

B:給与所得-所得控除(例:小規模企業共済等掛金控除)=課税所得

C:課税所得×所得税の税率=所得税

iDeCoの掛金は上記のように、所得控除のひとつである「小規模企業共済等掛金控除」になり、掛金を拠出するとBの課税所得が減るので、節税になるのです。

(2) 拠出した掛金を運用する時

定期預金の利子、投資信託の分配金や譲渡益などの運用益に対しては、20.315%(所得税:15%、住民税:5%、2037年12月31日までの期間限定となる復興特別所得税:0.315%)の、税金が課税されます。

しかし確定拠出年金の掛金を通じて、同様の金融商品を運用した場合には、これらの税金が非課税になります

(3) 拠出した掛金とその運用益を引き出す時

拠出した掛金とその運用益を、60歳以降に一時金として引き出す場合には、その一時金から「退職所得控除」を控除できます。

また年金として引き出す場合には、その年金から「公的年金等控除」を控除できるので、その分だけ税金が課税されにくくなります


年収を103万円以内にすると掛金の拠出による節税効果を期待できない

夫が配偶者控除を受けるため、妻が年収を103万円にした場合、Aで「給与所得控除」の65万円を控除し、Bで「基礎控除」の38万円を控除すると、次のように「課税所得」は0円になります。

A:1月~12月に支払われた給与の合計(103万円)-給与所得控除(65万円)=給与所得(38万円)

B:給与所得(38万円)-所得控除(基礎控除:38万円)=課税所得(0円)

そうなると次のように、Cの「所得税の税率」が何%であったとしても、所得税は0円になるのです。

C:課税所得(0円)×所得税の税率=所得税(0円)

このような事情があるため、妻が年収を103万円以内に調整している場合には、「(1) 掛金を拠出する時」の節税効果は、期待できないことになります。

またiDeCoの掛金を妻の給与所得から控除しても、節税効果は期待できないからといって、代わりに夫の給与所得から控除できません

2017年度の税制改正大網に記載された配偶者(特別)控除の拡大

2016年12月8日に自民党と公明党から、「2017年度税制改正大網」が発表され、いずれはこの大網の内容を踏まえた、法改正が実施されます。

この大網の中の一番の注目は、夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、2018年以降は現在の「103万円以下」から、「150万円以下」に拡大されるという点です

これにより妻の年収が103万円を超えるようになると、Bの「課税所得」が0円ではなくなり、所得税が発生する可能性があります。

ただ所得税が発生するということは、iDeCoの掛金を拠出する時に、節税効果を得られるようになるのです。

iDeCoとNISAは運用益が非課税になるというメリットがある

税制改正大網には配偶者(特別)控除の改正の他に、2018年に「積立NISA」を新設することが記載されております。

iDeCoとNISAは似た制度で、上記のように投資信託の分配金や譲渡益などの運用益に対しては、20.315%の税金が課税されます

積立NISAであれば、毎年40万円までの資金から得た運用益が、最長で20年間に渡って非課税になり、これを引き出す時にも課税されません

なおすでに実施されている一般的なNISAは、毎年120万円までの資金から得た運用益が、最長で5年間に渡って非課税になります。

両者の大きな違いとしては、NISAはiDeCoのように、「(1) 掛金を拠出する時」の節税効果はありません。

ただiDeCoは原則として、障害状態になったり、死亡したりしないかぎり、最低でも60歳にならないと、拠出した掛金とその運用益を引き出せないのですが、NISAはいつでも引き出せます。

ですから夫が配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、150万円以下に拡大された後も、103万円を超えて働く予定がない方、または60歳になる前に例えば教育資金などで、お金を使う可能性のある方は、iDeCo より積立NISAを選んだ方が良いかもしれません

手間がかからず初心者でも始めやすい「バランスファンド」


iDeCo やNISAを始める場合、どのような金融商品で運用するのかを、自分で決める必要があります。

定期預金などの「元本確保型商品」だけを選択すると、現在のような金利が低い状況だと老後資金は増えていかず、また運用益が非課税になるというメリットを活かせませんので、投資信託などの「価格変動型商品」も検討してみるべきです。

どの投資信託が良いかわからない場合には、日本株式、外国株式、日本国債、外国国債などの資産にバランス良く配分された、「バランスファンド」が良いのではないかと思います。

バランスファンドであれば運用を始める時に、自分で資産配分を考える必要がなく、またその資産配分が崩れた場合には、自動的にリバランスされます

このように手間がかからないということは、長期に渡って運用を続けていくうえで、とても大切なことだと思うのです。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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