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話題の「こども保険」は年金保険料と児童手当の増額案では批判が多い。そこで出てきた新たな方向性。

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話題の「こども保険」は年金保険料と児童手当の増額案では批判が多い。そこで出てきた新たな方向性。

幼児教育無償化の財源として、自民党の小泉進次郎議員が「こども保険」構想を打ち出し、新たな保険の形で賛否両論となり話題になりました。

その後、政府でも一つの方向性として検討することになり、実現可能性が段階的に高まっています

実は現在の社会保険でも子育て財源は企業が拠出しているのですが、こども保険では個々人の負担にまでなりますので、誰がどれだけ負担するのか慎重に検討されています。


≪画像元:小泉進次郎オフィシャルブログ

当初の方向性:児童手当と年金保険料に上乗せ

まずどのような形で保険が使われるのかと言えば、最も有力なのが児童手当の増額です。現在月1万5,000円もしくは1万円(高所得者は5,000円)もらえますが、これに対する上乗せが想定されていました。

次に誰が負担するのかという問題ですが、年金保険料という形での負担が当初案でした。

70歳未満の会社員が負担する厚生年金保険料と、60歳未満の自営業者等が負担する国民年金保険料に上乗せを想定していました。

子育て中の方も多い「106万円の壁」を超えたパート労働者にも、こども保険の負担が求められることが考えられます

なお児童手当と年金保険料への上乗せは、2段階に分けて行うことが想定されています。


企業がすでに払っている「子ども・子育て拠出金」

子育て財源としてすでに企業は「子ども・子育て拠出金」を社会保険料に含めて払っています

平成26年度までは「児童手当拠出金」として児童手当への充当を明確にしていました。平成29年度の拠出金率は(給与額に対して)0.23%です。

ただし従業員は全く負担しないので、給与明細に出てくることはありません。今後こども保険が実現した場合は、給与明細で分かるようになるでしょうね。

こども保険は、この拠出金をベースに構想が進められた可能性もあります。こども保険では企業と従業員の両者が負担することになり、健康保険や介護保険・厚生年金と似たような形になります

当初案の問題点


まず批判があがったのは、こども保険ができた後に子育てしているのでなければ、負担したのに全く恩恵を受けられない点です。

備えや保障のために保険料を負担しているのに、何ももらえずに終わるのでは税金と変わらないことになります。

もう1つは、年金保険料の上乗せでは負担する層が偏っているという点です。

現役世代からは子供がいなくても保険料をとるのに、すでに年金をもらっている高齢者から保険料を徴収しなくていいのか?

ということです。

高齢者に資産が偏在しているという状況もあり、当初案では資産の世代間格差がますます広がることも懸念されています。

なお児童手当の上乗せに関しては、これに代えて保育所整備などの財源に充てることも検討されています。

今後の方向性:健康保険・介護保険上乗せでの徴収など


高齢者から徴収することになる場合、一生涯加入する健康保険(75歳以上は後期高齢者医療保険)や、40歳以上が対象の介護保険に上乗せする方向も検討されています。

もっとも年齢によって健康保険料の上乗せだったり年金保険料の上乗せだったりすると制度が複雑になります。

また国民年金保険料からの徴収は一定額なので、消費税と同じように低所得者にとっては負担が重くなる「逆進性」も問題になります。

これが現役世代も国民健康保険への上乗せ負担となれば、所得に応じた形でこども保険を負担することが可能です。

年金保険料と児童手当の上乗せ案では批判も多いので、軌道修正されると考えられます。(執筆者:石谷 彰彦)

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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