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【介護福祉士は見た!】「介護施設」入居後のお金トラブルとその対策 施設ではお金の管理はどうなる?

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【介護福祉士は見た!】「介護施設」入居後のお金トラブルとその対策 施設ではお金の管理はどうなる?

介護施設に入所する際の契約について

介護施設に入所する際の契約について

特別養護老人ホーム等の介護施設に入所となった場合には、必ず契約を行い、そこからサービスが開始されます。

例えば私の勤める特別養護老人ホームでは、各職種の自己紹介とオリエンテーションを行ないます。

その後、生活相談員(社会福祉士)である私が、契約を行なう流れとなります。

契約でサイン捺印等を頂くものは、主に2種類があります。

(1) 介護サービス契約書
(2) 重要事項説明書

となっています。

どちらもとても大切なものなので、家族様には十分時間をかけてご説明を致します。

(1) の「介護サービス契約書」は少し難しい内容になっていますが、苦情処理や秘密保持、医療体制や身元引受人の役割について書かれています。

(2) の「重要事項説明書」は施設の概要について書かれており、建物の住所や電話番号、勤務する職種や職員の数等について書かれています。

契約は誰がする? お金の管理もするの?

契約は誰がする? お金の管理もするの?

契約者については施設から特に指定はありません。

家族内で十分話し合ってもらい、そのなかから一人を選んでもらいます。

通常は契約書と身元引受人は同じ人になることが多いです。

契約者(身元引受人)が遠方で過ごしていたとしても、通常は施設で利用者の財産の管理をすることはありません。

全国的に問題になっている施設職員による横領や着服で、行政からはなるべく家族に財産を管理してもらうように指導がなされているからです。

施設側であっても、何百万円、何千万円という財産を任されることに抵抗を感じます…。

よって、施設に入所したとしてもその利用者のお金は家族が管理し、その中から利用料金を支払うことになります。

お金の管理でトラブルとなった事例をご紹介

お金の管理でトラブルとなった事例をご紹介

私が関わった人で、トラブルになったケースをご紹介します。

利用者の身内として、配偶者(奥様)と実の弟さんがいました。

奥様は身体が弱く遠方に住んでいるという理由で、弟さんと契約してその方が金銭管理も行っていたのです。

施設としては、当然のことながら弟さんに利用料を請求して支払いをしてもらい、領収書を発行していたのです。

そんなある日、その利用者が亡くなられたので、弟さんと退所の手続きをして正式に契約終了となりました。

数日後、施設に奥様から電話がありました。

「今、弟と主人のお金のことでトラブルになっている。」

「これまで施設に支払った金額を教えて欲しい。」

「領収書の再発行はできないか?」

と言われるのです。

施設側としても、いくら奥様であっても契約(身元引受人)していたのは弟さんであり、第三者である奥様にはそのようなことに対応できないのです。

もし、ここで施設が奥様に対して領収書の再発行を行なったりしていれば、これは施設側の大きな問題になってしまいます。

奥様が弁護士と相談して話を進めていることまでは把握していますが、施設側としましてはこの時点で奥様への対応はできないのです。

では、どうすればトラブルにならなかった?

通常は契約者(身元引受人)に利用料を請求されますので、金銭管理を含めた契約は奥様として、身近なことの支援は弟さんと分担する方法もあります。

また、連絡の窓口として弟さんが担当し、契約は奥様がするという方法もあるでしょう。

施設側も事情を話せば柔軟に対応してくれると思うので、このような金銭トラブルになる前に十分話し合いをしておくことが大切です。

個人的におすすめするのは、成年後見制度の利用です。


≪画像元:笠岡市福祉協議会

この制度はご存知の方も多いと思います。

成年後見制度とは

成年後見制度とは

≪画像元:法務省

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。

また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。

このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

※「法務省」のページより一部抜粋


(執筆者:陽田 裕也)


《陽田 裕也》
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陽田 裕也

陽田 裕也

介護福祉士の養成校を卒業後、介護福祉士として特別養護老人ホームに勤務する。その後、介護支援専門員や社会福祉士を取得して、現在は生活相談員として相談援助の分野で高齢者福祉に関わっている。高齢者虐待予防や適正な身体拘束についても取り組みを強化し、日々自己研鑽に務めながら、介護保険制度についても理解を深めている。 寄稿者にメッセージを送る

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