サラリーマンが投資の損で、給与天引き所得税を取り戻す…実質できるのは不動産投資だけ

サラリーマンとして、知っておくと得をする税金知識などがもっとあるのではないか…給与から徴収される税や社会保険料が額面の2割あることも珍しくなく、こういう発想も理解できます。

投資で失敗し損失を出した場合、その分税金が安くなりそう、大きな還付が見込めそうと考えがちですが、投資の種類によって税制では取り扱いがかなり変わります

給与から差し引かれた所得税が還付となるのは、投資の中では不動産投資ぐらいしか無くなってきました。

得をする税金知識

給与所得と損益通算できない金融投資の扱い

例えば

給与所得:400万円
投資による損失:△80万円

として合計所得金額が320万円になるのであれば、投資による損失は「損益通算」できるわけですが、給与所得との損益通算が認められている投資が意外と少ないのです。

株・投資信託・FX

上場株・公募投資信託・FXの取引で損失を出した場合に救済されるしくみはありますが、給与所得との損益通算はできません

・上場株式等に係る譲渡所得(公募投資信託の売却益もこちらに該当)

・先物取引に係る雑所得等(FX取引はこちらに該当)

これらの損失は、それぞれのグループ内でしか損益通算できません。

生じた損失を3年間繰越すことも可能ですが、繰越損失も各グループ内でしか相殺できません

例えば平成29年分の上場株損失△30万円と、平成30年分の上場株所得30万円であれば相殺可能です。

しかし、平成30年分のFX損失△30万円と同年分の上場株所得30万円は、相殺不可です。

仮想通貨

仮想通貨取引は雑所得

仮想通貨の取引による所得に関しては、2018年(平成30年)現在では、残念ながら給与所得との損益通算もできなければ、損失の繰越も認められていません。(仮想通貨の取引が事業所得に該当する場合もありますが、正社員のサラリーマンですと想定しにくい状況です)。

仮想通貨取引は、雑所得(「先物取引に係る雑所得」とは異なる)に該当します。

業務委託契約で副業をやっているなど、他に雑所得がある場合は「内部通算」という形で可能ですが、雑所得以外との通算はできません。

金地金・プラチナ・銀など貴金属現物

貴金属類の取引で儲けが出た場合は、原則としては譲渡所得(土地建物や株と違い、総合譲渡の扱い)に該当します。先物の場合は、「先物取引に係る雑所得等」に該当します。

譲渡所得は、他の所得と損益通算できる原則ではあるのですが、実際には居住用不動産の譲渡で生じた損失の一部に限定されています。

貴金属など生活に通常必要ないものの取引による損失は、給与所得と損益通算できません

ゴルフ会員権の譲渡で生じた損失は、2014年(平成26年)3月までの分は給与所得などと損益通算可能でしたが、現在はできなくなっています

総合譲渡どうしでは、内部通算が可能です。

不動産所得と給与所得の損益通算

不動産所得と給与所得の損益通算

残るメジャーな投資は不動産投資ぐらいですが、原則として不動産所得に該当します(民泊は例外なので後述します)。

不動産所得は、給与所得との損益通算が認められています

また給与所得などと損益通算を行ってなお損失が生じる場合、青色申告により不動産所得行っていれば3年間の損失繰越もできます。この場合の注意点を述べます。

注意点1:ローン返済など経費にならないもの

サラリーマンがアパートローンを組んで不動産投資を行っている場合、収支としては例えば毎月1万円赤字になるようなケースはよくあります。

給与から月1万円出しているから節税にもなるのかといえば、そうではありません

ローンは借りた時に収入にならない代わりに、返済した元金分も不動産所得の経費にはなりません。利息は金融機関の儲けであり、これは不動産所得の必要経費になります。

ただし損益通算を行う場合、土地をローンで取得した場合の利息分は、必要経費になりますが損益通算の対象外の扱いです。

注意点2:青色申告特別控除額以下の所得になった場合

青色申告を行うと、青色申告特別控除により所得が10万円(戸建てなら5棟、アパートマンションなら10室以上の貸付物件があり、12月31日時点での資産負債状況も計算できれば65万円)下がります。

ただ、例えば不動産所得が9万円だった場合も、10万円下がってマイナスになるのでしょうか?

青色申告特別控除は所得の範囲内でしか差し引けないので、この場合の不動産所得は0円です。

青色申告特別控除を差し引く前の段階で所得がマイナスであれば、給与所得との損益通算ができ、それでもなおマイナスが残れば3年間繰り越せます

注意点3:民泊は原則不動産所得に該当しない

民泊は原則不動産所得に該当しない

民泊は住まいや駐車場を貸すわけではなく、客を泊める宿泊業の扱いのため、不動産所得に該当しません。正社員サラリーマンが民泊事業を行っている場合は、仮想通貨と同様に雑所得に該当します。

アパートを一時的に民泊物件として利用するような場合には、例外的に不動産所得として認められます。(執筆者:石谷 彰彦)

この記事を書いた人

石谷 彰彦 石谷 彰彦»筆者の記事一覧 (176)

1977年生まれ。保険代理店を兼ねる会計事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。非常勤での行政事務の経験もあり、保険・年金・労務・税金関係を中心にライティングや国家試験過去問の解説作成を行う。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。
<保有資格>AFP(CFP試験一部科目合格)・2級FP技能士・日商簿記2級
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