「免除」された国民年金、追納すれば将来の受給額が上がる。目安は「3月」「3年」「10年」

国民年金の保険料は原則として、翌月の末日が納付期限になるため、例えば2018年4月分の保険料は、2018年5月31日までに納付する必要があります。

ただ国民年金の保険料の徴収権に関する時効は、この納付期限の翌日から起算して2年になります。

そのため2018年4月分の保険料は、2018年6月1日から起算して2年を迎えるまで、つまり2020年5月31日までであれば、上記の納付期限を過ぎた後でも納付できます。

この期間を過ぎてしまうと、保険料の未納期間と確定するため、年金事務所などが保険料を徴収できなくなると同時に、国民年金の加入者が保険料を納付したいと思っても、納付できなくなってしまうのです。

そうなると未納期間の月数の分だけ、原則65歳から支給される老齢基礎年金の金額が、少なくなります

国民年金に加入する必要のある20歳から60歳まで、一度も欠かすことなく保険料を納付し、満額の老齢基礎年金を受給できた場合には、その金額は2018年度額で77万9,300円です。

国民年金に加入

このように40年(480月)に渡って保険料を納付すると、満額の老齢基礎年金を受給できるのですから、未納期間が1か月増えるごとに、だいたい1,623円(77万9,300円÷480月)ずつ、老齢基礎年金の金額が少なくなります

また未納期間が長くなり、保険料を納付した期間などの合計が10年に満たなくなると、受給資格期間を満たせなくなるため、老齢基礎年金を受給できなくなります

なお給与から控除されている厚生年金保険の保険料の一部は、国民年金の保険料として使われているため、厚生年金保険の保険料を納付した期間のうち、20歳から60歳までの期間は、国民年金の保険料を納付した期間にもなります。

国民年金の保険料の免除申請は、指定がないと全額免除から審査される

失業や収入の低下などより、国民年金の保険料を納付するのが困難な場合には、申請により保険料の納付が、免除(全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除)、または猶予(納付猶予)される制度があります。

この中のどれを受けられるのかは、自分の収入、世帯主の収入、配偶者の収入などによって変わってきます

また受けたい免除を指定しないで免除申請をすると、50歳未満の場合には、

全額免除 →納付猶予 →4分の3免除 →半額免除 →4分の1免除」の順に審査

されます。

このようにまずは全額免除が審査されます。

また一部免除を受けられるくらいの収入がある方は、申請をしていない場合が多いなどの理由により、国民年金の保険料の納付を免除または猶予された方の中では、全額免除がもっとも多いです。

この全額免除を受けた期間未納期間は、どちらも国民年金の保険料を、納付していない期間です。

そのため両者は似ているように見えるのですが、次のような点がまったく違います

全額免除を受けた期間は、受給資格期間と年金額に反映される

原則65歳から支給される老齢基礎年金の財源には、国民年金や厚生年金保険の加入者から徴収した保険料、積立金の取り崩しの他に、消費税などの税金も含まれております。

また税金の割合は2分の1になるため、20歳から60歳になるまでの40年間に渡って全額免除を受け、一度も保険料を納付しなかったとしても、満額(77万9,300円)の2分の1となる、38万9,650円の老齢基礎年金を受給できるのです。

一方で20歳から60歳になるまでの40年間に渡って、未納期間が続いた場合には、全額免除と違って税金の恩恵を受けられないため、老齢基礎年金は0円になります。

それ以前に40年間も未納を続けていると、原則10年の受給資格期間を満たせなくなるため、老齢基礎年金を受給できません。

なお全額免除を受けた期間は、この受給資格期間に反映されるため、全額免除だけで10年でも、老齢基礎年金を受給できます

老齢基礎年金

3年度目以降に追納する時の加算額は、年度が変わると金額が増える

全額免除を受けた期間の老齢基礎年金は、上記のように2分の1になってしまうのですが、後で保険料を追納すれば満額を受給できます。

ただこの追納ができるのは、全額免除を受けた各月から、10年以内に限られます

例えば2018年4月分の保険料については、2028年4月末までに追納を済ませる必要があります。

免除を受けないで未納にしていた場合には、上記のように2020年5月31日を過ぎると、納付したくても納付できなくなるため、この辺りも全額免除と未納の大きな違いだと思います。

ただ全額免除を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が付いてしまいます。

またこの加算額は年度が経過するごとに、金額が増えていくため、3月までに追納を済ませると、翌月の4月以降に追納するより節約になります

納付猶予や学生納付特例を受けた期間は、優先して追納を済ませる

ねんきん追納は、3月、3年、10年を目安に

納付猶予を受けた期間や、学生だった期間に学生納付特例を受けた期間は、受給資格期間に反映されますが、年金額にはまったく反映されません

そのため20歳から60歳になるまでの40年間に渡って、納付猶予を受けた場合には、原則10年の受給資格期間を満たしても、老齢基礎年金は0円になってしまいます。

ですから納付猶予を受けた期間や、学生納付特例を受けた期間がある場合には、こちらを優先して追納した方が良いです。

また実際に保険料を追納する際には、加算額が付き始める「3年」、加算額が増える前の「3月」、追納できる期限の「10年」を、目安にするのが良いと思います。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

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1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種
【寄稿者にメッセージを送る】

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