住宅ローン控除「減税しすぎ」問題 「所得税」だけでなく「住民税」でも発覚

2018年12月には、国税庁が住宅ローン控除の確定申告において、過大な控除額の申告に対する誤りを4年分で1万件以上放置していたことを公表いたしました。

 参考記事:国税庁(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ

この件は全国紙で報道されて話題になり、2019年通常国会でも質問する議員が複数存在しました。

一方で確定申告・住民税申告の期間中である2019年3月6日に、千葉県船橋市が住宅ローン控除の他3つの申告内容に関して、住民税(県民税及び市民税)の課税誤りがあることを公表しました。

 参考記事:船橋市 個人住民税の課税誤りの対象となる制度の追加について

こちらは東京新聞が報道した程度ですが、住宅ローン控除の取り消しによる追徴額が3年分で402件3,000万円弱と決して小さい額とは言えない規模です。

 参考記事:東京新聞 住民税課税で船橋市がミス 645件、3,680万円に

新聞に公表

所得税の「住宅ローン控除減税しすぎ」問題

他の住宅特例と併用していたケースで、住宅ローン控除の額を減額するか控除自体を認めないといけなかったところ、誤りを放置していたのが所得税の「住宅ローン控除減税しすぎ問題」です。

贈与税の住宅資金非課税特例との併用で減額してない

マイホームの取得資金に、住宅ローンと親など(直系尊属)からの贈与資金を両方充てていた場合には、住宅ローン控除が原則的な額より減額される場合があります。減額せずに申告していた1万件程度の誤りが放置されていました。

不動産譲渡所得の特例と併用してしまった

不動産譲渡所得の特例として、マイホームを売却した場合に譲渡所得から最大3,000万円控除できる特例や、マイホーム取得から売却まで5年超の長期譲渡所得に対し、6,000万円までの部分に対して軽減税率が適用される特例などがあります。

これらの特例は、住宅ローン控除と併用できませんが、併用していた申告誤りが1千件程度放置されていました。

「住宅ローン控除減税しすぎ」問題

住民税の「住宅ローン控除減税しすぎ」問題

例えば借入金年末残高などから住宅ローン控除額が40万円と計算されたが、年間の所得税は20万円と下回る場合、引き切れない残額は(下記の額を限度に)住民税から控除できます。

特定取得(消費税8%で取得):13万6,500円または所得税の課税総所得金額等×7%
特定取得以外       :97,500円または所得税の課税総所得金額等×5%

のいずれか低いほう

この住民税からの控除について、船橋市は課税誤りを発表しました。

納税通知書送達日後の申告では住民税から控除できない

住民税が給与所得から天引きされるサラリーマンであれば、年末調整・確定申告後の5月には住民税の納税通知書が勤務先経由で送達されます。


≪画像元:住民税の納税通知書(給与所得者)≫

一旦納税通知書が送達された後に住宅ローン控除の確定申告を行い、所得税から控除しきれなくても、地方税法上の規定では住民税からは控除できなくなります。

この法律の規定に反して控除を認めていた課税誤りを認め、過去3年分の追徴課税をしました。

所得税の還付申告は5年間認められていますが、これを真に受けて納税通知書送達日後(例えば翌年以降の確定申告期間など)に過年分申告したケースが、追徴課税の対象になってしまったものと考えられます。

上場株配当の課税誤りの追加調査によるもの

2018年9月終盤から2019年2月15日まで、各地の自治体から上場株配当の課税誤りが発表されていました。

この課税誤りも納税通知書送達日後の申告を巡る取り扱いが関わっているのですが、早期に発表した船橋市は追加調査を行い、住宅ローン控除の減税しすぎも公表しました。

船橋市は住宅ローン控除の他、上場株式・先物取引等の繰越控除、長期譲渡所得に対する軽減税率の特例についても課税誤りを認めています

先物取引の繰越控除取り消しによる国民健康保険料の追徴では、1人当たり10万円を超えています。

配当の課税誤りは、東京・千葉の複数自治体で発覚したのち、全国の自治体でも発覚しました。

住宅ローン控除の課税誤りは2019年4月上旬現在、千葉県船橋市と山形県長井市以外は公になっていませんが、他の自治体で課税誤りはなかったのでしょうか…?

平成31年度(令和元年度)からは納通送達後でも控除される

納税通知書

住宅ローン控除を巡る地方税法上の取り扱いですが、実は2019年3月27日に可決・成立した改正地方税法では、納税通知書送達日までという控除の要件が削除されています。

よって平成31年度(令和元年度)以降の住民税からは、一旦納税通知書が発行された後に住宅ローン控除の還付申告を行ったとしても、住民税の還付もしくは減額を受けられることになります。(執筆者:石谷 彰彦)

この記事を書いた人

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1977年生まれ。保険代理店を兼ねる会計事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。非常勤での行政事務の経験もあり、保険・年金・労務・税金関係を中心にライティングや国家試験過去問の解説作成を行う。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。
<保有資格>AFP(CFP試験一部科目合格)・2級FP技能士・日商簿記2級
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