ご家族の介護が必要になった場合に、一番心配なことは介護費用です。
介護離職という言葉も他人ごとではなくなるかもしれないという不安もあります。
いつ、親や配偶者の介護が必要となったり、認知症になったりするかは分からないです。
特に、認知症になった場合には、介護費用はさらに高くなるのでしょうか?
知っておきたい認知症の介護費用についてご紹介します。

目次
基本的な介護に必要な費用はいくらなの?
まず、介護に必要な費用はどの程度必要なのでしょうか。
在宅介護を受ける際にかかる費用は要介護度でも差がありますが、おおむね1か月の介護費用は約3~5万円だと言われています。
内訳すると、デイサービスやホームヘルパー等を利用する際に発生する
おむつ代や医療費等の「介護サービス利用料以外の支出」に関しては平均で3.4万円
かかるといわれています。
要介護度によって変動はあります。
比較的症状の軽い段階の要支援だとこれより安くなりますし、寝たきりで介護が必要になる要介護5になると同じサービスを利用しても介護サービス利用料は高額になります。
要介護度4や5になると介護サービス利用料のほかにもオムツ・医療費が必要になる場合が多いため、費用が高くなってしまいます。
そのため、介護用品については減額や還付制度を設けている地方自治体もありますので、詳しくは問い合わせてみましょう。
認知症になった場合にかかる費用は?
親や配偶者が認知症になったかもしれない、これからの介護費用はいったいいくら必要になるか心配だと思います。

診察や検査費用
認知症の可能性がある場合、必要になるのが「検査」です。
お近くの病院の老人内科、精神科、神経科などを受診してみましょう。
最近では認知症専門の「物忘れ外来」をしている病院もあるので調べてみるといいでしょう。
「物忘れ外来」はご本人にとっては少し抵抗がある場合もあります。
その場合には、まずは主治医にご相談してみましょう。
問診や家族への質問の他に、簡単な認知テストを行います。
内容は、足し算や引き算、物の名前や野菜の名前など応えるものです。
これは初診が1割負担で280円、3割負担で850円となっています。
また、脳の検査であるMRIやCT検査、血液検査を行います。
その場合は1割負担が2~4,000円、3割負担で7,000~1万円です。
より詳しい検査をする場合はこれよりさらに加算されます。
介護サービス費
介護サービス費については、要介護度によって違いがあります。
要介護度は市の調査で決定します。
認知症の進行の度合いによって、身体はしっかり動いても重度の判定となる可能性があります。
薬代
アルツハイマー型認知症については薬物療法があります。
1日分のお薬代はおよそ300~500円と言われています。
1か月分で考えると、1割負担で約2,000~4,000円、3割負担で約7,000~1.3万円ほどになります。
高額介護サービス費を利用する
認知症になった、ならないに関係なく、介護サービス利用料は要支援・要介護によって利用限度額が設けられています。
ただ、認知症になってしまうと病気の進行が早い場合には、比較的早く重介護になる可能性があります。
介護費用の事前の準備が必要になるでしょう。
しかし、介護費用の負担を軽減してくれる高額介護サービス費という制度があります。
在宅介護では月平均3~5万円かかると言われているため、一般的な所得の場合は、負担の上限を約4.4万円越えた場合、超えた分だけ払い戻される仕組みとなっています。
高額介護サービス費について気になることがあれば、お近くの地方自治体に相談してみましょう。

さまざまな人とコミュニケーションをとることは大切です
認知症になった場合、他の要介護高齢者と違うところは、専門病院への受診や検査、専門の薬代がかかることです。
介護サービスである通所介護(デイサービス)にも認知症専用のデイサービスがあります。

一般のデイサービスに比べると1割負担の方で300円程度高くなります。
認知症の進行はその症状によって段階的に進行したり、緩やかに進行したりとさまざまですが、家族の精神的負担は大きくなるでしょう。
症状が進む過程では目が離せないといった時期もありますので、ご家族の介護軽減のために介護サービスを利用する必要も出てくるかと思います。
認知症専用のデイサービスでは進行を緩やかにする目的のレクリエーションやアプローチを行っています。
ご本人の状況を介護スタッフと共有することでご家族の心の負担が軽減されるでしょう。
ご本人にとっても、家から出てさまざまな人とコミュニケーションをとることは、現状を保つことにもつながります。
また、介護専門スタッフに相談するなどして、介護サービスを有意義に利用しましょう。(執筆者:佐々木 政子)