2019年7月1日~相続法改正でトラブル続出も 相続人を確定する大変さと注意点

相続人の確認

先日、ある金融機関の方とお話をしていて、「7月1日から金融機関での相続預金の取り扱い」についての話題が出ました

私が、「相続人を確定するのは、意外に大変ですよ」とお話ししたところ、

「法務局に行けば、法定相続人の一覧図を無料で発行してくれるから、それを持ってくれるようにお客さんに言えばいいのでは?」

といいます。

確かに法務局は相続人の証明をしてくれますが、相続人を確定するための証拠となる戸籍の取得は自分でしなくてはなりません

まず、そこが大変なのです

たとえば、本籍が遠方にある場合の方には郵送でも入手できますが、そのやり方を、行員さんが説明することでその行員、金融機関のイメージアップにどれだけつながるかをお話しました

銀行と打ち合わせ

見落としやすい認知した子の存在

出生から死亡までの連続した戸籍の確認も大変です

例えば、婚姻外の子を認知した場合の父親の戸籍は、認知した時点の戸籍しか記載されません

しかも身分事項の欄にしか記載されず、見落としやすいです。

相続人が、故人より前に死亡していても、その方に子供がいれば代襲相続人となります

そのため死亡された方に、「子がいないか」さらに、戸籍調査が必要です。

故人死亡後、未遺産分割の間に相続人が亡くなる場合もあります

そうなると、その方の配偶者も相続人の地位を得ます

戸籍の確認も大変

法定相続分も意外に難しい

遺産分割前の金融機関での支払限度額は、

預貯金の額(口座基準)× 3分の1 × 当該相続人の法定相続分

と、一金融機関で上限150万円です。

配偶者が窓口に来た場合は、戸籍で、子が一人でもいれば2分の1に確定できますので簡単です。

が、子が手続きに来た場合は注意が必要です。

故人に何人子がいるのか戸籍で確認しなければ判明しないからです

間違えやすい認知した子(非嫡出子)の相続分

民法900条4 子、直系尊属または、兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。

ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

 
親が亡くなり、子が相続人の場合の相続分は実子、養子、認知された子、すべて均等です

「ただし…」のケース

ところが、きょうだいが亡くなり、その方に子がいなくて、親もなくなっている場合は、亡くなった方のきょうだいが相続人となります

そのきょうだい間が、図のように愛人の子と本妻の子、または先妻と後妻の子の場合、民法900条4のただし書きで、父母を一方のみ同じくする兄弟姉妹に該当し、2分の1の相続分となります

1. 艶福さんの相続人と相続分 本妻 1/2 長女 1/6 長男A 1/6 愛人の子 1/6

2. 長男Aの相続人と相続分 長女 3/2 愛人の子 3/1 

法定相続分の確認ミスで、金融機関の過払いも

金融機関は相続預金の、仮払いをするとき、前述したように法定相続分を基に払い出す金額を決めるわけで、法定相続分の知識が重要になってきます

また、後日、他の相続人さんから仮払いの内容確認に見えることも想定され、その対応も必要になるかと思います。

仮払い手続きした相続人さんにしてみると、葬儀代金の支払いに使うための引き出しだから、後日問題が発生しないと考えるかもしれません。

しかし遺産分割でもめる場合は、葬儀代金の金額、負担者でも問題となるのがリアル相続です。(執筆者:橋本 玄也)

この記事を書いた人

橋本 玄也 橋本 玄也»筆者の記事一覧 (68)

父の死をきっかけに相続に関心を持つ。その後、祖母、母の相続と3回相続を経験。自身の体験から相続人の気持ちがわかるFPです。愛知県の会計事務所にて20年近く相続専門の実務担当として様々な体験をしてきました。遺産分割はこれまで500件以上関わっています。まとまる相続、相続人全員の方から喜んでいただくのを生きがいにしています。おかげさまでこれまで、担当したお客さますべて、全員の合意による遺産分割を行っています。また、相続税申告における土地の評価についても定評があり、多額の還付金請求にも実績があります。老人会、市役所、商工会議所、ハウスメーカー、金融機関、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会等、講師経験豊富です。
<保有資格>:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、宅地建物取引士、相続診断士
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