【iDeCo】4つのデメリットから考える、入らない方がいいのはこんな人。

先日金融庁の発表した「夫婦2人で年金以外に老後資金2,000万円の準備が必要」などとする試算が話題になりました。

このタイミングで「自助努力」つまり個人個人の資産形成について検討した人も多いのではないでしょうか。

老後資金の準備には節税効果の高い「iDeCo(個人型確定拠出年金)」がよく推奨されますが、本制度を使うことによるデメリットはあるのでしょうか

今回はiDeCoのデメリットや、制度の利用に向かないケースについて解説します。

個人型に限らず企業型の確定拠出年金にも関わる内容ですので、検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

イデコが向かないケースとデメリットを解説

デメリット1:60歳まで引き出せない

これは基本的な事項ですが、iDeCoの掛け金や運用益は原則60歳に至るまで引き出すことができません

不測の事態が起こって急に現金が必要になったとしても取り崩すことができないので、そのリスクを十分に理解した上で利用する必要があります。

デメリット2:手数料がかかる

実際に取引を始めてから気づいた方もいるかもしれませんが、iDeCoでは特定口座やNISA口座などで行う取引と異なり、さまざまな手数料がかかってきます。

iDeCoの手数料には加入時・移換時手数料、口座管理手数料、給付事務手数料、還付事務手数料、信託報酬の5つがあります

つまりiDeCoを始める時・運用中・受け取り時の全てに手数料がかかります。

このうち「始める時」と「受け取る時」にあたる加入時・移換時手数料、給付事務手数料、還付事務手数料はどの金融機関を利用しても、どの運用商品を選んでも変わることはありません。

一方、「運用中」にかかる口座管理手数料や信託報酬は選ぶ金融機関および選ぶ運用商品によって異なりますので、なるべく安く済むように設定するのがポイントです。

これらの手数料というのが実は厄介で、掛け金が少額である場合や運用益が少ない、または損失が出ている場合には、手数料の方が大きくかかってしまい、結局のところ預けた金額が目減りしてしまう可能性があります。

そもそも掛け金が少なければiDeCoの最大のメリットである「所得控除」のメリットも少なくなりますので、iDeCoよりもつみたてNISAで運用した方が良いことも充分に考えられます

それぞれが自分の状況にあった制度を選ぶことが重要です。

iDeCoの運用でかかる金融機関ごとの手数料の比較についてはiDeCoナビの専用ページでまとめられているので、参考にしてみてください。

イデコナビ

≪画像元:iDeCoナビ

デメリット3:受け取り時に税金がかかる可能性もある(繰延課税)

次にデメリットとして挙げられるのが課税の繰延の点です。

iDeCoでは拠出時の掛け金が全額所得控除になり、受け取り時にも税制優遇を受けられることがメリットとなっていますが、受け取り方に注意をしないと受け取る際に課税されることがあるのです。

これだと拠出時にかかるはずだった税金を結局後で払うことになっている、という意味で、課税の繰延などと呼ばれます

iDeCoは年金としての受け取りと一時金での受け取りを選択できますが、税制上、前者では厚生年金と同じ扱い、後者では退職金と同じ扱いになります。

年金での受け取りには公的年金等控除の非課税枠があり、退職金にも退職所得控除の非課税枠が設けられているため、この枠を超えた部分は課税対象になるのです。

退職金が多く出る場合や厚生年金受給額が大きい場合は非課税枠を超える可能性は十分にあるので、注意が必要です。

とはいえ課税対象は非課税枠を超えた部分のみとなるので、税額は小さくなる事が多いでしょう。

一方、そもそも収入がなく所得控除のメリットを受けていないケースでは、短期間で年金として受け取ると非課税枠を超えて所得税・住民税が課税され、本来払う必要のなかった税金を無駄に支払う結果になってしまうこともあり得ます。

この場合は一時金で受け取るか、あるいは長期間の年金での受け取りを選択すると非課税枠内に収まり、税制優遇を受けられます。

課税の繰延で損をしないよう、自分の退職金・厚生年金とのバランスを見て受け取り方を調整する事が重要です。

デメリット4:特別法人税の存在

確定拠出年金での運用には本来、年率1.173%の特別法人税というものがかかります

特別法人税とは退職年金等積立金に対する法人税のことで、つまり運用中の積立金に対して常に税金がかかるということです。

特別法人税の制度は1999年以降、現在まで「凍結」つまり一時的に停止されていますので、現在の運用に対してはかかっていません

しかし撤廃ではなく「凍結」されているということは、いつか復活する可能性もゼロとは言えないのです。

年金の運用が満足にいっていない現状を見れば近年中に特別法人税が復活する可能性は非常に低いと考えられますが、それでもこのような存在があることを知っておいて損はありません。

もし仮に特別法人税が復活したとすると、掛け金や運用成績に関わらず、運用中の全てのお金から毎年1.173%の税金が徴収されます。

つまりiDeCoで預けたお金が毎年1.173%減っていくのです。

そうなってしまうと、特別法人税と手数料以上に運用益を出していないと、元本割れするリスクさえあります

これを考慮するのであれば、低リスクの運用をしたい人でもある程度運用益が出せるような商品選択に切り替えていく必要があります。

iDeCoに向かない人

iDeCoに向かない人もいます

最後に、これらのデメリットを考えていくとiDeCoに向かないケースというのが見えてきます。

1. 現在収入がなく所得税控除の恩恵が受けられない人

運用成績、手数料、繰延課税などによって損をする可能性もあります。

それでも受け取り時の税制優遇は魅力的なので、手数料を極限まで抑えることと、受け取り時に課税されないよう調整することさえ気をつければ、十分恩恵を受けられます

2. 生活防衛資金が十分にない状態の人

60歳まで引き出せないというデメリットの影響が大きすぎると考えられます。

急な傷病や雇用の喪失、事故、介護など予期せぬ事態が起こった時、お金を引き出せないというのはリスクが高すぎます。

まずは自分の将来に起こりうるリスクとそのための予算確保を考えた上で、余剰資金にあたる部分をiDeCoで運用していくのがベストです。

資金確保に時間がかかる場合や60歳まで引き出せない点が不安だけど運用はしてみたい、という場合には、解約が簡便なつみたてNISAで運用を始める方が合っているかもしれません。

デメリットも十分に理解しておこう

iDeCoはメリットの方を語られる事が多いですが、いざ利用するとなればデメリットとなる側面も十分に理解しておく必要があります。

手数料や繰延課税、特別法人税については知らないままでいると損をしてしまう可能性もあります

制度をよく理解して対策を打ちさえすれば、iDeCo自体が非常にお得な制度であることは間違いありません。

デメリットとメリットを踏まえた上で自分がiDeCoを利用するべきか検討してください。(執筆者:島村 妃奈)

この記事を書いた人

島村 妃奈 島村 妃奈»筆者の記事一覧 (56)

20代で1000万円を貯めた経験を元に、実用的なマネー術をご紹介します。現在は秘書として働く傍ら、フリーライターとしても活動中。趣味は貯金と投資で、現在は子供の教育資金捻出のために日々奮闘しています。
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