お盆の時期になりますと仏壇や盆棚(お盆の時だけに設置するご先祖様を祀るための祭壇)の脇に提灯を立てます。
また、縁側の軒先に提灯を吊るし、より夏の風情を味わい深くさせてくれます。
最近では仏間や縁側のない家も多く、コンパクトでモダンな提灯も販売されています。
普段なかなか触れることのない盆提灯。詳しく解説いたします。
目次
お盆に提灯を飾る理由
日本では、お盆の季節にご先祖様が家に帰ってくるとされています。
そのご先祖様が迷わないように、家の人は玄関や縁側の軒先、そして仏壇や精霊棚が飾ってある仏間にで提灯を灯します。
提灯と行灯 その違いを確認
盆提灯には、吊るすタイプの「提灯」と、置くタイプの「行灯」があります。
それぞれ意味合いは同じで、ご先祖様が家に帰ってくるための目印として考えられています。
提灯は玄関や縁側に吊るします。その灯りをたよりにご先祖様は家に帰ってきてくれます。
初盆を迎える家では、はじめて帰って来るご先祖様のために初盆用の盆提灯を吊るします。
一般的な提灯は「御所提灯」と呼ばれ、その他にも筒状の「住吉提灯」や、丸みを帯びた「御殿丸提灯」などもあります。
一方、行灯とは仏壇や精霊棚の脇に置き、火袋の中の灯りが回転する「回転灯篭」や高級タイプの「大内行灯」に大別されます。
また、行灯を置くスペースがない人には、祭壇の上に置ける「霊前灯」などもあります。
現代の住宅事情にマッチ さまざまなモダン提灯
従来の日本家屋は仏間を前提に設計されていたため、それにあわせてお盆の時期は提灯や行灯を飾ってご先祖様を迎え入れました。
提灯と行灯はその両方をしなければならないわけではなく、特に最近の住宅事情では吊るすタイプの提灯を省略する家が多いように思われます。
そして行灯もモダンデザインなものが登場して人気を集めています。
というのも、仏間のない戸建て住宅やマンションが増え、家具調仏壇(モダンでコンパクトなデザインが特徴)が主流になってきているのに合わせて選ばれる盆提灯の傾向も変わって来たのです。
盆提灯の費用相場
盆提灯は、仏壇店、人形店、デパートなどで購入できます。
初盆で使う白の提灯は3,000円~1万円くらいが相場です。
翌年以降の毎年使うことのできる盆提灯の値段は幅広く、安価なもので1万円くらいで、高価なものは20万円を超えるような高級品もあります。
足や枠がプラスチック製のものは安く、木製のものは高くなります。
さらにはそこで描かれる蒔絵や木材によっても、良質なものは価格が高騰します。
盆提灯は夏の風物詩です。
盆提灯を飾り、お部屋を明るく彩り、心を込めて手を合わせたいものです。
きっと亡き人やご先祖様も喜んでくださるでしょう。(執筆者:五十嵐 信博)