※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

「介護離職」は年間約10万人 「地域包括支援センター」への早めの相談がポイント

シニア 介護
「介護離職」は年間約10万人 「地域包括支援センター」への早めの相談がポイント
「親の介護が必要になったら、果たして今の仕事を続けられるのだろうか?」

親の年齢が上がるにつれ、漠然とこのような不安を抱いている人は多いと思います。

「今のところまだ大丈夫そう…」と思っていても、介護問題はある日とつぜんやってきます

骨折がきっかけで歩けなくなったり、脳卒中などの脳血管疾患によって半身麻痺になってしまったりして、高齢者が急に要介護状態になってしまう例は少なくありません。

介護の担い手になるのは、ちょうど働き盛りという世代が多いです。

そのため、離職をしてしまうと介護の負担にくわえ経済的にも大きなダメージが圧し掛かってくることになります。

ここで大切なのは、

「すべてを自分ひとりで背負おうとしない」

ということです。

この記事では、ぜひ早いうちから備えておきたい「介護離職を避けるための具体的な方法」をご紹介します。

実際にどのくらいの人が介護離職をしているのか

介護離職

総務省の「平成29年就業構造基本調査(pdf)」によると、過去1年間(平成28年10月~平成29年9月)に、介護や看護のために離職をした人は、9万9,000人にのぼります。

このうち、男性が2万4,000人、女性が7万5,000人で、女性は男性の約3倍の数字になっています。

とはいえ、男性でも年間2万4,000人もの人が介護や看護のために離職しているという事実に驚く人も多いのではないでしょうか。

筆者もこれまでにデイサービスや訪問介護で利用者の家族と接することがたびたびありましたが、実際に親御さんの介護のために離職をした人から、介護サービスをフルに利用して仕事と介護をうまく両立させている人まで、さまざまなご家族の姿を目にしてきました。

そこで切実に感じたのは、介護される側よりむしろ、

「介護する側の心身の健康がいかに大切か」

ということです。

介護離職をすると、収入減による経済的不安、キャリアや社会的地位の喪失、介護における心身の負担アップと、介護者にかかる負荷が大幅に増してしまいます。

やむを得ない場合もあるかと思いますが、できるだけ

「介護者自身が、自らの生活を健全な形で維持していくこと」

に焦点を当てて今後の介護計画を立てていきましょう。


介護は育児と違い、先が見えません。

その中で、仕事をもつ人に真っ先に考えてほしいのは、介護を担いながらも長く働き続けられる環境を整えることです。

その具体的な方法や、知っておくとためになることをお伝えします。

介護離職を回避するためのヒント

介護について困っているときに頼りにできるのが、お住まいの地区の「地域包括支援センター」です。

地域包括支援センターには、介護のプロであるケアマネージャーのほか、社会福祉士や保健師などがおり、介護にまつわるさまざまな悩みの相談に乗ってくれます。

離職をするか迷っている人は、ぜひ地域包括支援センターに助言を求めてみましょう。

仕事と介護を両立するための具体案を示してくれたり、利用できるサービスを教えてくれたりと、きっと役立つ情報を提供してくれるはずです。

また、地域包括支援センターは「今すぐに支援が必要な状態ではない」という場合でも、利用が可能です。

いざという時の手厚いケアはもちろんですが、

「最近すこし物忘れが増えたようだ…」

「家にとじこもっていて運動不足が心配…」

というような相談でもかまいません。

本人や家族の悩み・不安に対して的確なアドバイスをしてくれたり、必要であればその人に合った介護予防プログラムを紹介してくれたりします。

このことは一般の人にはあまり知られておらず、地域包括支援センターというと「今すぐ介護が必要な人が行く場所」というイメージが強いようです。

ですが、早めに相談しておくことで地域コミュニティとのつながりができ、何かあればその後のサポートをスムーズに受けやすくなるというメリットもあります。

介護に至るまでの経緯や家族の事情などを早いうちから知っておいてもらうことは、介護離職を防ぐためにも非常に有効です。

突然はじまるかもしれない介護に備えるためにも、ぜひ身近な相談窓口として、地域包括支援センターを活用してください。

地域包括支援センターの利用法

地域包括支援センターの利用法

地域包括支援センターは公的機関なので、無料で利用できます。

相談したいことがあれば、まず管轄の地域包括支援センターへ連絡をしましょう。

センターまで出向くのが無理であれば、電話や手紙でも相談可能ですし、センターの職員に自宅へ来てもらえる場合もあります。

相談の際に役立つのが、厚生労働省の「基本チェックリスト(pdf)」です。

事前にこのチェックリストに記入しておくと、本人の身体状況や生活状況がより正確に伝わり、適切な支援や助言を受けやすくなります。

必要なことをくまなく伝えるためにも、ぜひ利用してください。

介護休業・介護休暇も積極的に利用しよう

家族の介護をすることになったら、「介護休業」と「介護休暇」をうまく利用しましょう。

介護休業とは、要介護状態の家族ひとりにつき、3回を上限として通算93日まで会社を休める決まりのことです。

休んでいるあいだの給料は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で算出されます。

たとえば、給料の額が月30万円の場合は、20.1万円程度になります。

一方、介護休暇とは、介護休業とは別に年間5日の有給休暇をとることができる決まりです。

そのほかにも、勤務時間の短縮やフレックスタイムの利用など、仕事と介護を両立させるために役立つ制度がありますので、早めに会社に確認しておきましょう。

地域包括支援センターへの早めの相談がポイント

地域包括支援センターへの早めの相談がポイント

終わりがないように見える介護生活の中で、もしかしたら離職が頭をかすめることが何度もあるかもしれません。

でもまずは、離職をしないで済む環境作りの方へ意識を向けてみましょう。

ポイントは、地域包括支援センターへの早めの相談です。

早期からプロの助言を得て、必要な支援を適切なタイミングで受けながら、仕事と介護のバランスをうまくとっていきましょう。(執筆者:渡辺 有美)

《渡辺 有美》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

渡辺 有美

渡辺 有美

OL時代は都銀で支店窓口→秘書室に転勤になり役員秘書に従事。その後、結婚と子育てを経て、人様のお世話をする仕事がしたくなり、介護の道を選びました。介護福祉士としてデイサービス・特養・訪問介護の現場で10年以上働いた経験を活かし、介護にかかるお金や、さまざまな生活の知恵をお届けしていきたいと思います。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集