「子供の新入学時期に、タイミング良く銀行から教育ローンのダイレクトメールが送られてきたけれど、どうしてこんなに我が家のことを知っているのかしら?」

こんなふうに感じたことはありませんか?

今回は、銀行と個人情報の関係について「銀行の中の人」としてお話をしていきますので、これからの銀行取引で参考にしてください。

銀行と個人情報の関係

銀行と個人情報の関係 ~営業に活用できるがリスクもある諸刃の剣

膨大な顧客を抱える銀行が収集している個人情報はこれもまた膨大です。

また銀行の情報漏洩は即座に報道され時には社会問題になることもあります。

お金にかかわることなので、銀行の個人情報は特に極秘に、そして厳正に取り扱われなければならず、銀行側も情報管理には万全を期すよう対策を講じています。

それでも情報漏洩が後を絶たないのは、やはり取り扱うのが生身の人間であり、そこに過失やミスが発生する危険性があることと、不正に情報を悪用しようとすれば完全に防ぐのが難しいからでしょう。

顧客にセールスをしてさまざまな商品(預金、ローン、金融商品)を販売する銀行にとって個人情報は営業上最大の有効ツールであり、同時に自らを傷つけ兼ねない諸刃の剣なのです。

銀行の個人情報とは?

銀行はどのような個人情報を持っているのか?

銀行は個人情報をどのようにしてセールスに利用しているのか?

このような観点で銀行員がお話ししていきます。

1.銀行はどのような個人情報を持っているのか? ~銀行が保有する個人情報の種類

銀行が保有する個人情報とは

「預金取引のある人は借金以外全ての情報」

「住宅ローンなど融資取引していればその人のほとんどすべての情報」

と言えます。

例えば新規で口座作成する時の申込書類を思い浮かべてください。

住所、氏名、生年月日から職業、勤務先会社名、電話番号は自宅と個人の携帯、勤務先の電話番号を記入する場合もあります。

このように、申込書類から得られる情報は1人の人間の情報をほとんど網羅しているものです。

預金申込みでは借入について記入しませんが、これがローン申込書になれば年収、勤続年数からすべての借入について記載しなければならず、もう「丸裸(まるはだか)」とも言えるでしょう。

銀行は一人の 人間の情報を ほとんど網羅 しています。

2.銀行は個人情報をどうやって収集するのか? ~個人情報の収集方法

上記した各種申込書でも下のほうに「アンケートにお答えください」として家族構成(配偶者の有無、子供の男女性別や第一子、第二子の学年など)や趣味、自動車購入予定などの記入を依頼される場合があります。

申込みや契約書類以外でもこうしたアンケート形式でさまざまな情報を収集できます

また、クレジットカードや各種申込書類も銀行と提携している場合は情報共有することも含めて個人情報取扱に同意する形式になっていますので、こうしたチャネルからも情報が集まります。

3.銀行は個人情報をどう使う? ~収集した個人情報の加工とセールスへの利用

AI(パソコン)が膨大なデータを処理して、営業に適した顧客リストを作ったり銀行員向けに個別情報を知らせたりするシステムになっています

メガバンクなどでは、朝銀行員がパソコンを起動させると、その人の営業目標(つまりノルマ)達成用のリストや担当顧客の情報、あるいはその日のスケジュールもモデルとして表示されているそうです。

銀行員が求めているリスト(例えば投資信託を売れそうな先など)を前もって注文しておけば、翌日朝イチで配信してくれるところもあるそうです。

膨大な情報に基づいた資料なので「言われたとおりにすれば実績が獲得できる確率も上がる」ようで、バブル世代で「営業は足で稼げ」と教えられた私は違和感と寂しさが残ります。(執筆者:加藤 隆二)