全部解説! 消費増税と同時に始まった9つの「還元制度」 自分に当てはまる項目を要チェック

消費税増税と同時にさまざまな対策が実施中

2020年10月、兼ねてより宣言されていた通り消費税は8%から10%に税率が引き上げられました。

この増税が経済に悪影響を及ぼすことは政府もよく理解しており、同時にさまざまな景気対策も打たれています。

「 自分が利用できる消費税増税対策の制度はどれ?」

「制度を利用するためにはどんな手続きが必要なの?」

「 景気対策の制度に期限ってあるの?」

こういった疑問点を解消できるように、今回は私たち消費者が利用できる制度の概要を簡単に紹介していきます

見落としていたものがないかを意識しながら、あなたが利用できる制度をチェックしていただければと思います。

消費税増税と同時に始まった還元制度を紹介

消費税増税に関連して押さえておきたい制度

消費税増税に関連して私たち消費者に直接関係してくる制度としては、主に以下のようなものが挙げられます。

1. 軽減税率制度
2. キャッシュレス決済に対するポイント還元制度
3. 幼児教育・保育の無償化
4. プレミアム付商品券事業
5. 自動車の購入の支援
6. 住宅の購入等の支援

それでは、これらの具体的な中身について見ていきましょう。

1. 軽減税率制度


≪画像元:財務省

軽減税率制度は、以下の品目について消費税を増税前の8%のまま据え置く制度です。

・ 飲食料品(お酒・外食を除く)
・ 新聞(定期購読契約された週2回以上発行されるもの)

税率が10%か8%かは事業者側で判断してくれるので、この制度を利用するうえで消費者が特別しなければならないことはありません。

ただ、買い物をするうえで、どちらの税率が適用されるか理解しておいたほうが安心かもしれません。

飲料食品は例えば以下のように境目がややこしいものがあり、注意が必要です。

詳細は以下の図表を参考にしていただきたいですが、消費者が慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。


≪画像元:財務省 軽減税率の対象商品について≫

参考元:政府広報オンライン

2. キャッシュレス決済に対するポイント還元制度


キャッシュレス決済に対する「ポイント還元制度」は、対象店舗で指定のキャッシュレス決済を行うことで、2~5%のポイント還元を受けられる仕組みです。

この制度を利用するために押さえておきたいポイントは以下の2つです。

・ 対象店舗で買い物をする

・ 対象店舗が指定するキャッシュレス決済で支払う

対象店舗と対象店舗が指定するキャッシュレス決済は、以下のサイトや専用のスマートフォンアプリから調べることができます。

Webサイト

Android用アプリ

iOS用アプリ

還元率は5%と2%の2種類があり、あらかじめ店舗ごとに決められています

上記を使えば還元率も確認できますが、大まかには以下のようなイメージです。

この制度は9か月間の限定実施となっており、ポイントが還元されるのは2020年6月までです。

仕組みを早めに理解して、受け取れるポイントを取りこぼさないようにしましょう。

参考元:キャッシュレス・ポイント還元事業

3. 幼児教育・保育の無償化


2019年10月以降、3~5歳児クラスの幼稚園や保育所、認定こども園等の利用料の無料となりました。(子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園については、無償化の上限は月額2.57万円まで)

住民税非課税世帯については、0~2歳児クラスについても利用料が無料となります。

その他、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設に関しても、上限金額付ですが無償化の対象となっています。

ただし、通園送迎費、食材料費、行事費等、無償化の対象外の費用もあるので注意が必要です。

また、無償化となるには「保育の必要性の認定」を受けるなどの手続きが必要となる場合もあるので、ご自身のケースごとに利用する際の手続きを確認しておくことをおすすめします。

4. プレミアム付商品券事業


プレミアム付商品券事業は、5,000円分の商品券を4,000円で最大5回(最大2.5万円分)購入できる制度です。

この商品券は使用期限が2020年3月までとなっていますが、幅広い店舗で日常的な買い物に使用できるので使い切れない心配はないでしょう。

ただし、購入対象者は限定されていて、以下に該当する世帯のみです。

・ 住民税非課税世帯
・ 学齢3歳未満の乳幼児がいる子育て世帯

上記の両方に該当する場合は、両方の立場から合計で最大5万円分のプレミアム付商品券を購入することができます。

なお、住民税非課税世帯に関しては、11月頃までに申請手続きを行う必要があるので注意しましょう。(子育て世帯は申請手続きは不要)

プレミアム付商品券を購入できる世帯には購入引換券が自宅に届くので、市区町村が指定する窓口でこれを使って商品券を購入する仕組みとなっています。

参考元:プレミアム付商品券 公式ページ

5. 自動車の購入の支援


≪画像元:経済産業省 大きく変わったクルマの税≫

2020年10月以降、消費税増税への対応の一環として自家用自動車の購入に係る税金が大きく変更されました

軽減の主要なポイントは以下の通りです。

・ 新車の自動車税が毎年最大4,500円減税(10年保有で最大4万5,000円)
・ 自動車取得税の廃止と環境性能割の導入(燃費のいい自動車ほど税が軽減)
・ 2020年9月まで環境性能割は1%減税
・ エコカー減税、グリーン化特例の延長

自動車は単価が高いため消費税増税の影響は大きいですが、この変更によって大きく負担額が減るようになっています。

とくに毎年かかってくる自動車税の減税額はトータルで見ると大きく、排気量の小さい自動車ほど(軽自動車は除く)軽減される税額が大きくなります

購入する車や保有期間にもよりますが、消費税増税前よりも支払う税額が減るケースもあるので、自動車購入を検討している人は変更点を細かくチェックしておくことをおすすめします。

6. 住宅の購入等への支援

人生でもっとも大きな買い物の1つである住宅も消費税増税の影響が大きいですが、それを軽減するために以下のような措置が講じられています。

・ 住宅ローン控除期間の3年延長
・ すまい給付金の拡充
・ 次世代住宅ポイント制度
・ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠拡大

それぞれの概要を簡単に見ていきましょう。

住宅ローン控除期間の3年延長

「住宅ローン控除」とは、住宅購入の際に住宅ローンを利用した場合、住宅ローンの残高に応じて一定割合を所得税や住民税から減額する制度です。

もともとは住宅購入から10年間利用できることになっていましたが、消費税増税対策として3年延長となり、13年間利用できるようになりました

なお、3年間延長となるのは、消費税10%で住宅を購入し、2020年12月までに居住を開始した場合です。

すまい給付金の増額

「すまい給付金」は、所得税や住民税が住宅ローン控除額より少ない場合など、住宅ローン控除によって十分に負担が軽減されない人のために、住宅購入時に給付金を支給する制度です。

従来は10万円~30万円の支給となっていましたが、消費税増税対策として対象者を拡充するとともに、10万円~50万円と支給額が増額されました

なお、すまい給付金が増額されるのは、消費税10%で住宅を購入し、2021年12月までに居住を開始した場合です。(2021年12月にすまい給付金制度は終了予定)

参考元:国土交通省 すまい給付金

次世代住宅ポイント制度

次世代住宅ポイント制度を利用すると、省エネ性能、耐震性能等、基準とされている機能を有する住宅を消費税10%で購入した場合に、さまざまな商品と交換できるポイントを受取ることができます。

受け取ることのできるポイントは、新築で1戸あたり最大35万円相当、リフォームで1戸あたり最大30万円相当です

この制度は2020年3月まで実施される予定ですが、予算額があらかじめ決まっており、発行予定ポイントに達すると終了となります

利用には申請が必要なので、対象者は早めに手続きを進めておくことをおすすめします。

参考元:国土交通省 次世代住宅ポイント

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠拡大

消費税増税に合わせて、住宅を購入する際に両親や祖父母などの直系尊属からの資金援助に関する贈与税の非課税枠が、期間限定で大幅に拡大されています。

対象となるのは消費税10%で住宅を購入した場合(※1)で、住宅の種類と契約締結日によって以下のように設定されています。

(※1)個人間の売買で中古住宅を取得する場合は原則として消費税等がかからないため、上記よりも少額な非課税枠が別途設定されています。
(※2)2016年1月以降に消費税8%で住宅を購入した場合。
(※3)消費税増税前の2019年4月~9月が契約締結日の場合でも、引渡日が2019年10月以降となる場合には消費税10%が適用されます。(引渡日が2019年9月までであれば消費税は8%)

場合によっては贈与税の額を数百万円単位で抑えることも可能なので、住宅購入にあたって大きな資金援助を受ける人は2020年3月までが大きなチャンスと言えます

2020年4月以降は非課税枠が大きく縮小するので、2020年3月までに契約を締結してしまうよう意識しましょう。

参考元:国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

7. 介護職員の処遇改善

かねてより介護職員の処遇改善するために、一定の条件を満たした事業所に介護報酬に所定の加算率を乗じた金額を支給する「処遇改善加算」という制度がありました

2019年10月のタイミングでこれに「特定処遇改善加算」が加わり、介護職員の給与はさらに上がりやすくなります

この制度は、介護事業所が支給を受けて、介護事業所に勤める職員に分配するという流れです。

手続きは介護事業所側で行うため、職員側はとくに何かをする必要はなく、自動的に給与がアップされるというかたちです。

ただし、多くの介護事業所でこの制度が利用されると考えられますが、すべての事業所で利用されるとはかぎりません。

今回の制度改定で給与がアップしたのか、ご自身でも確認することをおすすめします

参考元:厚生労働省 2019年度介護報酬改定について(PDF)

8. 低所得高齢者の介護保険料軽減

2019年10月以降、65歳以上の住民税非課税世帯が支払う介護保険料が以下のように軽減されます。

住民税非課税世帯は65歳以上の約3割にあたるため、この施策の恩恵を受けられる人は少なくはないでしょう。

なお、軽減にはとくに手続きは必要なく、介護保険料の請求に上記負担割合が自動的に適用されるかたちです。

参考元:厚生労働省 介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化(PDF)

9. 年金生活者支援給付金の支給

2019年10月以降、「年金生活支援給付金制度」という、所得が一定以下の人を対象に年金に上乗せして給付金を支給する制度が始まっています。

給付の支給を受けられるのは、以下の年金の受給者です。

・ 老齢基礎年金
・ 障害基礎年金
・ 遺族基礎年金

それぞれに所得の基準等の条件が設定されており、所得が低い人が支給を受けられる仕組みになっています

なお、この支給の対象者には日本年金機構から請求手続きに必要な書類が郵送されてきます。

支給を受けるためには、郵送された書類を使って手続きを行う必要がある点に注意しましょう。

参考元:厚生労働省 年金生活者支援給付金制度

今後実施予定の景気対策

ここまでは実施中の消費税増税対策を挙げてきましたが、この他にも以下のような今後実施予定の制度があります。

・ 高等教育の就学支援の拡充(2020年4月スタート)
・ マイナンバーカードを活用した消費活性化策(2020年4月スタート予定)

上記についても簡単に概要を紹介しておきます。

高等教育の就学支援の拡充(2020年4月スタート)

幼児教育・保育の無償化に加えて、2020年4月からは低所得世帯向けに、大学・短大・高等専門学校・専門学校に通う学生のための給付型奨学金や授業料等減免の制度も始まります

例えば、住民税非課税世帯の場合、昼間制の学校に通う場合の給付型奨学金の上限額(年額)は以下のようなかたちです。

参考元:文部科学省 高等教育の就学支援新制度公式ページ/http://www.mext.go.jp/kyufu/

また、住民税非課税世帯の場合の授業料等の減免の上限額(月額)は以下のようになっています。

参考元:文部科学省 高等教育の就学支援新制度

なお、住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合は、支援額が上記の2/3または1/3となります。

制度が始まるのは来年からですが、申請手続きは今年から始まっています。

利用できる可能性がある人については、早めに詳細を確認しておくことをおすすめします。

参考元:高等教育の就学支援新制度

マイナンバーカードを活用した消費活性化策(2020年4月スタート予定)

消費税増税から少し遅れた2020年4月というタイミングですが、マイナンバーカードを活用したポイント(マイナポイント)を消費者に付与する制度のスタートが検討されています

制度の具体的な中身はまだわかりませんが、キャッシュレス決済を利用するとマイナポイントが付与されるような仕組みと考えられます。

注意したいのは、この制度を利用するためにはマイナンバーカードを発行しておく必要があるという点です。

マイナンバーカードを発行していない人はかなりいらっしゃると思いますが、この制度を利用するのであれば早めに発行しておいたほうが良さそうです。

参考元:マイナンバーカードを活用した消費活性化策

さらなる消費税増税も起こりうる?

いろいろな消費税増税の対策を紹介してきましたが、自分が利用できるものが明確になったんじゃないでしょうか。

政府は国民の負担増分と同等以上の景気対策(※4)を打っているということで、上手に利用するれば家計にもプラスになるはずです。

(※4)今回紹介した消費者に直接関係すると考えられる景気対策のほか、防災・減災、国土強靭化のための公共事業も実施されています。

とはいえ、実施期間が限定されているものも多く、結局のところ最終的には消費者の負担が増えてしまうのも事実です。

スマートフォンなどの長期契約で、最初の数か月だけが特別安い価格を提示しているものをよく見かけますが、今回の消費増税もそういうイメージに近いところがあるかもしれません。

本来は増税すべきでない経済状況のなか、小手先のマーケティング手法まで駆使して増税を断行するということから、何が何でも消費税を上げたいという財務省の姿勢が見えてきます。

「今後10年間は必要ない」と安倍首相は言いましたが、この財務省の姿勢を踏まえると、単純にその言葉を信じていいのか疑問です。

果たして今後消費税はどうなっていくか。

一消費者としては、なんとか政治家が財務省に対抗してくれることを願うばかりです。(執筆者:貝田 凡太)

この記事を書いた人

貝田 凡太 貝田 凡太(かいだ ぼんた)»筆者の記事一覧 (12)

京都大学経済学部卒業。在学中に公認会計士試験に挑戦したことがきっかけで、投資に興味を持つ。試験合格後、いったんは監査法人に就職するも、自由な投資環境を求めて専業トレーダーとして独立。主に株式投資は新興株式の長期保有をしつつ、日々はFX投資を中心にデイトレードを行っている。現在、トレードのかたわら、FX投資に関するブログやメルマガなどを執筆中。
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