「遠距離介護」という選択

遠距離介護という選択

親に介護が必要になったとき、事情により「遠距離介護」を選択する人も多いでしょう。

遠距離介護は親も子も転居の必要がなく、同居介護よりストレスが少ない反面、遠距離介護ならではのデメリットも少なくありません。

とくに今回は、遠距離介護で発生する子ども側の費用負担と費用の節約法を紹介します。

遠距離介護のメリット

遠距離介護の最大のメリットは、転居をしなくてよい点です。

介護が必要になると親と子のどちらかの家で同居生活をはじめる人も多いのですが、そうなると子どもは仕事を辞めなくてはならなかったり、子の転校が必要になったりと、マイナス面も少なくありません。

同時に、親にとっては慣れ親しんだ自宅を離れるさみしさや、かかりつけ医や付き合いの長いご近所さんたちと離れるストレスもあり、心身への影響が心配です。

遠距離介護ならそれらのデメリットが解消され、双方の今の生活を守ったまま介護ができます

遠距離介護のデメリット

遠距離介護のデメリットは、親の変化に気づきにくいこと、緊急時の対応が遅れがちなことです。

とくに認知症は、早めに兆候に気づいて適切な処置をおこなうことで進行を遅らせることができるので、遠距離介護でその初期症状に気づけないと治療が遅れてしまうことも考えられます。

また、何かあったときにすぐに駆け付けられず、対応が遅れてしまうことを心配する人も多いでしょう。

遠距離介護では、これらのデメリットに備えた介護方法を考えていく必要があります。

遠距離介護で発生する費用

遠距離介護では、家族がカバーできない部分は介護保険サービス等を利用することになるため、同居介護に比べて介護費用が高くつく傾向にあります。

ただ、介護費以外にも、遠距離介護で生じる子ども側の負担があります。

それが、「通信費」と「帰省費用」です。

遠距離介護では、こうした出費が思いのほか家計を圧迫することもあるので、事前にしっかり念頭に置いておくことが肝心です。

1. 通信費

親との電話だけでなく介護の事業所や病院、ケアマネージャーと連絡をとる際にもかかります

遠方だと電話代も高くなりますし、要介護度が上がれば上がるほどこまめな連絡が必要になるため、想像以上に通信費がかさんでしまうケースもあります。

通信費節約のポイント

通信費は、ラインなどの「無料通話アプリ」の利用で大幅に節約できます。

スカイプなら親の顔を見て通話ができるので、状態の変化にも気づきやすいというメリットもあります。

固定電話の場合、「閑散時割引」といって、夜間・早朝・土日祝日は平日の昼間に比べて通話料が安くなるので、上手に利用しましょう。

県外への通話料金

また、インターネットを使った「IP電話」は、普通の電話に比べて通話料が安くなったり無料になったりするので、ぜひ検討してみましょう。

要介護の親と連絡をとる際、大事な話を伝えたいときは通話より「FAX」を利用した方が、相手側のメモ代わりにもなり確実です。

状況に合わせて、通話とFAXをうまく使い分けましょう

2. 帰省費用

親の介護状況によっては帰省の回数が増えるため、新幹線や飛行機などの移動が必要な場合は月に万単位で帰省費用がかかってしまいます。

帰省費用節約のポイント

JALやANAなどの航空会社では、遠方に住む親を介護する人を対象に「介護帰省割引」という運賃の割引制度を設けています。

利用対象者は幅広く、JALの場合、子どもはもちろん孫や子の配偶者も適用範囲です。

「介護帰省割引」という割引制度

≪画像元:JAL≫

運賃は、たとえばJALで羽田から福岡まで移動する場合、大人の通常運賃は4万1,900円のところ、介護帰省割引なら2万6,800円となり、1万5,100円の節約になります。


介護帰省割引を利用する

≪画像元:JAL 検索結果より≫

「早期割引」の方がおトクになるケースもありますが、急いで駆け付けたいときには「介護帰省割引」を利用することで帰省費用を節約できます。

飛行機にはほかにも条件によってさまざまな割引制度があるので、チケットの予約時にそれぞれ見比べて賢く購入するようにしましょう。

JRには介護向けの割引はありません

その都度、割引率の高いチケットを探すか、頻繁に帰省する人なら回数券を購入するのもよいかもしれません。

また、男性65歳以上、女性60歳以上であれば、新幹線を含む「JR東日本線」、「JR北海道線」のチケットが30%割引になる「大人の休日倶楽部ジパングカード」を利用するのも手です。

大人の休日倶楽部

≪画像元:JR東日本

遠距離介護には、親の介護費用以外にも、通信費や帰省費といった子ども側の出費が付きものです。

いざ介護が始まってからこれらの出費に翻弄されることのないよう、どのくらい予算を見ておけばよいのか、事前にシミュレーションをしておきましょう。(執筆者:渡辺 有美)