現在、日本では、要介護認定を受けている高齢者は600万人を超え、この人数は今後も増加していくと言われています。

介護度が重度になっていくにつれて支える家族の負担は増えていきます。

そのため、共倒れとなってしまうことも考えられます。

それを避けるために、公的な介護サービスを活用することは不可欠です。

しかし、介護サービスにかかる費用を聞いて「高額すぎて支払ができない」という声も少なくありません。

そうした介護サービス費用の負担を軽減するために「負担限度額認定」という制度があることをご存じでしょうか。

今回は、負担限度額認定の使い方や該当する条件についてご紹介していきたいと思います。

申請すれば最大「月額約6万円」節約!「負担限度額認定」制度

身近な介護サービスに適用できる負担限度額認定

負担限度額認定は、

・ 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

・ 介護老人保健施設

・ 介護療養型医療施設(介護医療院)の入居系サービス

・ 短期入所(ショートステイ)サービス

に対して適用されるものです。

負担限度額認定を受けられた場合には、介護保険証と同じように「負担限度額認定証」が発行されます。

上記の介護サービスについて、介護保険を利用されている方は既に利用されていたり、今後は利用したいと考えている方も多いと思います。

平成17年10月より上記の介護サービスで提供される居住費と食費は、介護保険の適用から除外され、実費で利用者が支払うこととなりました。

この

増加した負担を軽減するために、条件を満たした利用者に対して居住費と食費を減額する制度

が設けられました。

その条件を満たしていることを介護サービス事業所に証明するための証書が「負担限度額認定証」です。

負担限度額認定を受けるために注意したい条件

負担限度額認定を受ける条件は大きく分けて2つです。

条件1:住民税非課税世帯である

1つ目の条件は、負担限度額認定を受けたいと考えている人が属する世帯の収入に住民税が課税されていないことです。

ここでおさえておくべきポイントは、

本人の収入だけではなく、同一世帯に属する人員全員の収入が影響する

ということです。

例えば、本人は国民年金しか受給していなかったとしても、同一世帯に就労中の子どもがいて、その収入に住民税が課税されていると負担限度額認定を受けることはできません

また、別世帯であったとしても、配偶者がいる場合で配偶者の収入に住民税が課税されていたら負担限度額認定を受けることはできません

条件2:預貯金が1,000万円を下回っている

2つ目の条件は、負担限度額認定を受けたいと考えている人名義の預貯金が1,000万円を下回っていることです。

その人に配偶者がいる場合には、夫婦名義の預貯金が2,000万円を下回っていることが条件です。


認定を受けるには、申請が必要

負担限度額認定は、自動的に受けられる訳ではありません

負担限度額認定を受けるためには、

負担限度額認定を受けたいと考えている人の住民票がある市町村に申請が必要

です。

申請方法の詳細は、各市町村の介護保険担当に確認するとよいでしょう。

介護保険 負担限度額認定申請書

≪画像元:杉並区役所「介護保険限度額認定申請書(pdf)」≫

負担限度額認定で、介護費用がどの程度節約できるか

負担限度額認定は、第1段階から第3段階に分かれています。

認定条件はそれぞれ異なり、利用する居室のタイプによっても減額率が異なります

介護保険施設で最も居室料金が高額な居室の作りは、「ユニット型個室」と呼ばれる部屋のタイプとです。

国が設定しているユニット型個室の1日当たりの居住費は2,006円ですが、

負担限度額認定を受けている人の1日あたりの自己負担額は、820円~1,310円まで下がる

ことになります。

同様に、食費は1日当たり1,392円の基準額が設定されていますが、負担限度額認定を受けている人の1日あたりの自己負担額が300円~650円まで下がります

減額される金額は最大で1日2,000円を超えるため、

入居型のサービスを利用した場合には、1か月あたり約6万円節約できる

計算です。

この金額は非常に大きいのではないでしょうか。

負担限度額日額

≪画像元:厚生労働省

制度の多くは自己申請が基本

今回、紹介した負担限度額認定制度を含めて、制度の多くは自己申請が基本です。

後から制度を知って申請したとしても、過去に遡って適用を受けられるものはないに等しいと言えます。

介護サービスを利用する予定のある方は、まずは、担当のケアマネジャーや行政窓口に相談し、申請することをおすすめします。

ケアマネージャーは、いかに介護費用を削減して有意な介護を受けられるかを考えています。

「介護費用を抑えたい」と希望を伝えることは恥ずかしいことではありません。

念をおすことで前向きに動いてくれるケアマネージャーは多いのです。

利用できる制度は、積極的に利用していきましょう。(執筆者:老人ホーム施設長 佐々木 政子)