訪問看護という言葉を聞くと、老化に起因する介護ケアをイメージされる方も多いのではないでしょうか。

しかし実際には、慢性疾病を抱えるお子さんの療養や、精神疾患が対象となる精神通院医療など、その利用は多岐にわたります

それと同時に、訪問看護には、健康保険が適用される場合と介護保険が適用される場合があり、その仕組みが複雑で分かりにくい形になっています。

今回は、そんな訪問看護に関する療養費の仕組みをみていきましょう。

訪問看護療養費とは

病気などで長期間にわたり自宅療養をする際に、訪問看護ステーションから訪問看護を受けた場合には、「訪問看護療養費」が支給されます。

もっとも、支給といっても、いわゆる「医療機関の窓口で支払う自己負担」と同じ考え方をするものです。

なので、利用料金としては自己負担額を支払うだけで済みます。

(表1)

「訪問看護療養費」

支給を受けられる人

主治医の判断で必要な支援を受けられる人

訪問看護は、本人または家族が主治医に依頼し、主治医が必要と認めれば、その指示に基づき訪問看護ステーションから必要な支援を受けることができます。

「訪問看護療養費」の支給を受けられる人は、

難病患者や重度障害者、一定の障害などのある場合であって主治医が厚生労働省の基準により認めた者

です。

健康保険による訪問看護の制限

健康保険による訪問看護には、原則として次の制限があります。

【訪問看護の制限】

・ 1日1回、90分程度

・ 週3日まで

・ 1か所の訪問看護ステーションから1人が訪問

また、介護保険の訪問介護を同時に利用することはできません

介護保険が利用できる場合は、原則として介護保険が優先されます。

具体的には、介護保険は40歳になると強制加入となりますので、40歳未満であれば健康保険が適用されます。

40歳以上では、

・ 特定の疾病にかかったものか

・ 要介護認定を受けているか

といった点で判断が分かれます。

(表2)

介護保険の訪問介護を同時に利用することはできない

※ 特定疾病 … 初老期における認知症、脳血管疾患、関節リウマチなど、老化に起因した16種の疾病

なお、介護保険による訪問看護が適用される場合、自己負担は原則として1割です。

現役並みの所得がある高齢者については2割に引き上げられており、さらに平成30年8月からは、所得によっては3割となる制度改定が行われています。

健康保険と介護保険の自己負担額が高額になったとき

健康保険は訪問介護に限らず日常的に利用されますが、あわせて介護保険を利用する場合、自己負担額が著しく高額となることがあります。

このような場合に、健康保険と介護保険の自己負担額を合算し一定の限度額を超えたときは、

超えた額が支給され、自己負担を軽減する「高額介護合算療養費」

という制度があります。

この制度では、同一世帯内で、8月~翌年7月末日までの1年間に負担した額の合算額で判断されます。

(表3)高額介護合算療養費の自己負担限度額

高額介護合算療養費の自己負担限度額

※ 1. 健康保険と介護保険のいずれかの自己負担額0円だった場合は支給されません。
※ 2. 健康保険にかかる付加給付やそのほか公費負担の給付などを受けている場合は、それらを控除後の負担額が対象となります。
※ 3. 限度額を超えた額が500円以下だった場合は、支給対象となりません。

「高額介護合算療養費」の支給申請をする際は、介護保険の保険者である、7月31日現在居住している市区町村に、

「自己負担額証明書」に証明を受け、健康保険の保険者である健康保険組合などに提出

して下さい。

なお、1年間の計算期間内に転職や転居などで保険者が変更になった場合は、転職や転居の前後それぞれの保険者から「自己負担証明書」の証明を受ける必要があります。

状況を相談して自己負担を上手に抑制

訪問看護に関しては、主治医に相談するほか、

・ 健康保険を利用する場合は「訪問看護ステーション」

・ 介護保険を利用する場合は「各市区町村の福祉課、地域包括支援センターなど」

に相談することができます。

訪問看護を受ける場合、往々にして自宅療養の期間が長期化します。

ここまでみてきたことを踏まえて相談することで、自己負担をうまく抑制する方法を検討するとよいでしょう。(執筆者:今坂 啓)