「介護施設で発生する費用を計算し、終のすみかとして入れる施設へ入所。

ところが実際に入所すると、予想以上に費用が掛かってしまった」

介護施設に入所する際、一般的には貯金や年金と必要な費用を計算し、その上で入所を決めるでしょう。

しかし病院での検査や入院の頻度は予測できません。

入院が1度や2度で収まらず、病院へ掛かる頻度が増えると経済的な負担が大きくなります

あまり知られていませんが、病院での検査や入院を勧める基準は介護施設や医師によって違います。

必要以上の検査や入院とまでは行かなくても、望まない検査や入院で労力や費用を余分に掛けている可能性があります

この記事では、医療との関わり方を通して労力や費用の見直し方をお伝えします

介護施設に入所中の 「望まない検査や入院」

介護施設から頻回に病院受診を求められる場合の対応

高齢者の持病が悪化すると、介護施設としては病院受診を進めます。

その場合、どの程度費用が増えるのでしょうか。

最も大きく費用が掛かる入院を例に紹介します。

入院した場合に掛かる費用

入院費用のポイントは3つです。

(1) 高齢者の医療費は、70~74歳で2割負担、75歳以上で1割負担。(収入によっては3割負担)

(2) 70歳以上の高齢者が入院した場合、平均2週間、費用は10万以下が多い。

(3) 入院中でも、介護施設への家賃・管理費などは発生する。

例えば2週間入院して10万円の医療費が発生したとします。

この期間は介護施設を使っていないため、仮に介護保険のサービス料が1万円、食費が1万円あったとすれば、合計2万円の支払いが減ります

入院費10万円から2万円を引いて、合計8万円が純粋に増える費用です。

費用が多くなった場合、医療保険と介護保険の支出を合算した「高額介護合算療養費制度」を使い、自己負担額を超えた分は支給を受けられます

この制度は世帯によって適用の可否があるため、保険組合または市町村へ確認した方が良いでしょう。

いずれにしても、介護施設へ入所中に入院費用が発生すると経済的負担は大きくなります

施設でも受診や入院を勧めるケース

入院は医師の判断で決まるため、希望すればできるものではありません。

ただ介護施設や主治医としては、状態が悪化すれば病院へ受診し、検査や入院を勧めることもあります。

そのため、高齢者の病状次第では頻回に入院することも起こりえるわけです。

それでは介護施設として「医療機関への検査や入院を勧めるケース」と「施設で治療するケース」は何が違うのでしょうか。

介護施設で対応が難しいケース

(1) 看護師がいない時間帯に、吸引などの医療行為が必要になる。

(2) 病状が変化しやすく、施設では十分な医療が提供できない

上記の(1) については明らかに難しいため、検査や入院等の話になります。

その一方で(2) は基準が明確ではありません。

ここが介護施設や主治医によって対応が変わるポイントです。

つまり介護施設の体制・主治医の協力・高齢者や家族の意向をすり合わせておくことで、積極的に病院受診をすることもあれば、病状が変化しても介護施設でできる範囲の対応をすることもあります。

高齢者や家族の意向をすり合わせておく

本当に病院で検査や入院をすべきなのか

持病のある高齢者にとって、医療と関わる回数が増えれば安心できるでしょう。

しかし病院が嫌いな高齢者もいますし、複雑な検査や入院では、費用と労力の負担が発生します。

上記でも述べたように、1回の入院で2週間10万円以下の費用は決して安くはありません。

そこで望まない負担を増やさないためにも、高齢者や家族が意思表示をしておくことが大切です。

・ 持病の悪化を少しでも抑えるために積極的な医療を望むのか。

・ 病院受診や入院の負担を抑え、介護施設で落ち着いて過ごしたいのか。

この意思表示をしておくことで、介護施設や主治医から提案を受けられます。

逆に意思表示をしないと、施設や主治医はリスクをとって医療との関りを強めるよう働きかけるかもしれません。

大切なのは「自分たちはどうしたいか」という視点です。

その上で望まない検査や入院を抑え、労力や費用を抑えるように考えてみてはいかがでしょうか。(執筆者:介護業界15年で複数の介護施設を統括 小原 しろう)