親の葬儀については「考えたくない」と思う人がほとんどでしょう。

しかし、その時は突然やってくるかもしれません。実際に筆者は父を突然亡くし、突然「葬儀を行う立場」になりました。

今回は、実際に葬儀を行った経験から「葬儀前に知っておきたい葬儀のお金」について紹介します。

最初に決断で決まる「葬儀までの出費額」

葬式までの費用はしっかり決断

葬儀費用とは、お通夜と告別式にかかる費用を考えますが、実際は人が亡くなったその時から「お金」は動き始めます。

多くの人は葬儀を行う少し前から「葬儀を行うかもしれない」という心の準備ができるでしょう。

また、70~80%以上の人は病院で亡くなります。

病院は治療を行う場所のため、亡くなったら速やかに退院する必要があります。

病院から自宅に帰る人は病院から自宅へ、自宅に帰らない人は病院から安置する場所へ移動します。

筆者の場合は、初めての経験だったため、あっという間に病院から紹介された業者が病院から自宅に搬送してくれました。

搬送中に「葬儀はどこにお願いしたらいいのだろう」と考え、地元の親しい人に電話をして信頼できる葬儀社を紹介してもらいました。

紹介してもらった葬儀社はすぐに自宅に来てくれたのですが、そこで搬送してくれた業者と後者の葬儀社が葬儀(通夜と告別式)の取り合いが始まりました。

結局、筆者が葬儀は「葬儀社にお願いしたい」と答えたため搬送してくれた業者は「搬送費」の請求書を置いて帰っていきました。

最初から葬儀を依頼する葬儀社に搬送をお願いしていれば搬送費はもっと安くなったことがわかりました。

葬儀も一般的な費用の仕組みと同じでバラバラに依頼するよりもまとめると「セット割」がききます。

教訓

親がなくなったときお金のことまで頭が回る人は少ないでしょう。

しかし「頭が回らない時」に限ってお金は大きく動きます

「病院の紹介だから大丈夫」と思って言われるがままに任せてしまうと、意外と割高な業者にあたってしまうことがあります。

もしもの時に備えてお願いする葬儀社だけは決めておくといいでしょう。

葬儀費用の総額は小さな決断の積み重ね

葬儀の日程が決まると細かなことをきめる作業に入ります。

葬儀社がさまざまなパンフレットを並べて「どれにしますか」と決断を迫ってきます。

祭壇や引き出物、骨壺や棺まで幅広いランクがあり、値段の幅も大きいです。

とくに祭壇は参列者の目に触れるものなので「できるだけ高いもの」と思うかもしれません。

しかし祭壇は単なる「壇」です。

参列者が「これは豪華な祭壇だ」と判断する基準は意外と「壇」ではなく、周囲の花ではないでしょうか。

つまり祭壇を豪華にするよりも周囲の花を豪華にしたほうが見た目のランクは高くなります。

さらに故人が商売をしていた人や在職中の人ならば家族が思う以上にお供えの花が送られてきます。

筆者の場合は葬儀社から「花は意外と数が届くからわざわざ購入せず、購入するなら手土産にもなるフルーツかごにしたほうがいい」とアドバイスを受けました。

壇より花を豪華にした方がいい

骨壺や棺も費用のランクに差があるモノ

筆者は骨壺を1番ランクの高いものにしたのですが、結論からいうと失敗でした。

高価な骨壺は重たいです。

骨壺は持ち運ぶ機会が多く、人の目に触れる機会が少ないものです。

安い骨壺でも陶器製であり耐久性に問題はありません。

棺も同様で、棺は彫刻がほどこされたり、木にこだわりがあったりするものは値段が高いです。

しかし棺は白い布がかけられて、最後には焼かれてしまいます。

教訓

葬儀には「焼かれてなくなるもの」と「ずっと残るもの」の2種類があります。

よほど思い入れがなければ「焼かれてなくなるもの」にお金をかける必要はないのかもしれません。

筆者も棺については葬儀社から「棺はランクにこだわる必要はありません」とはっきりと言われたため、1番安いものを選びました。

骨壺は軽くて安いものを選ぶべきでした。

祭壇のランクを決めるときには「送られてくる花の数」を想定するだけでも適度な祭壇のサイズ選びの参考になり、かなりのお金の節約が可能です。

葬儀前のお金「ケチらないほうがいいところ」

「親の葬儀でお金のことを考えるなんてダメだ」と思うかもしれません。

しかし葬儀の費用平均は200万円以上と言われています。けして「お金に糸目はつけない」とは言えない金額です。

しかし、葬儀は一生に数回しかないことであり心身ともに大きな負担がかかります。

お金をケチるところ、ケチらないほうがいいところをしっかりと見極めて効率のいいお金の使い方をしましょう。

筆者は、葬儀が始まる前にかなり疲れました。それは安置場所を自宅にしたことが原因でした。

筆者はなにも知らずに自宅に搬送してもらったのですが、時期が夏だったためドライアイスや安置する備品等が必要になりました。

さらに葬儀までの数日間は銀行に行ってお金を準備したり、必要なモノを買いに出たり外出することが多くあります。

自宅に安置すると誰かが家にいる必要があり外出もままなりません。

安置を頼める葬儀社もある

最近は集合住宅に住んでいる人が増え、自宅に帰らずに病院から安置場所に搬送する人が増えています。

葬儀社には葬儀まで安置できる場所があります(一部ない葬儀社もあるため確認は必要です)。

1日約1万円の費用はかかりますが、ドライアイスや安置する備品代は必要なく、葬儀までの数日間はしっかりと体を休め葬儀に臨むことができます。

葬儀当日もお金について決断しなければならないことはたくさんあります。

疲れて朦朧としている状態だと「葬儀社にお任せします」とつい言ってしまい、葬儀後に思わぬ高額な請求書が送られてくることもあります。

葬儀前にしっかりとお金を使って体も心も休めておくことがその後のお金の節約、正しい判断をするコツ

葬儀のお金は流動的

「葬儀の見積書をもらえばお金の心配は終了」というわけではありません。

葬儀のお金は葬儀中、葬儀後も流動的に動きます。

見積もっていたよりも多くの参列者が来たときには大きく金額が動くので要注意です。

香典返しはお通夜の帰りに渡すことが増えているため、参列者が増えれば見積もりよりも増える代表的なものです。

また、通夜のときに告別式に参列する人の人数を確認します。

見積もりよりも多くの人が告別式や火葬場に来るようであれば食事や車の手配を増やさなければなりません。

葬儀の見積もりは、葬儀の前に1度作成します。

しかし実際に葬儀が終わると見積もりよりもかなり金額は増えています

葬儀中は進行で頭がいっぱいになりますが、注文を増やすときには単価に人数をかけておおまかな金額だけでも計算して、頭の中で常に新しい見積書を作るようにしましょう。

葬儀社への支払いとは別の費用もある

葬儀社に予算を伝えるときの注意点

葬儀前の見積書を作る段階でおおまかな予算を葬儀社に伝えておく方法もあります。

その際の注意点は、

予算が200万円の場合は「200万円程度でお願いします」と言わない

なぜならば、葬儀社の葬儀費用には通夜と告別式の費用しか含まれていないからです。

一方、葬儀のお金を払う立場の人は葬儀費用の中に僧侶への支払いや手伝ってくれた人へのお礼、宿泊費なども含めて葬儀費用と考えています。

つまり予算200万円で葬儀のすべてをまかないたいと思うならば

200万円から僧侶への支払いなどを差っ引いた残りで葬儀社に見積もりを作ってもらう必要があります。

一般的に予算の60%で見積もり依頼をするといいでしょう。

予算200万円の場合は120万円程度で葬儀社に見積もりを依頼します。

120万円で見積もりを作ってもらったら、葬儀中に増やせる出費は残りの80万円です。

お酒や香典返しを増やすときには頭の中で「予算はいくら残っているか」を少し考えておくと葬儀後に「見積もりと違う」と驚くことはなくなるでしょう。

お墓のセールスに要注意

病院から自宅に戻り、葬儀の打ち合わせが終わるころになるとなぜか家の電話が鳴り始めます。

お墓のセールスです。

どこから情報を得たのかわからないのですが、葬儀の前後はお墓の売り込みの電話が頻繁になりました。

セールスの電話は巧みで「葬儀が終わったら納骨する場所はお決まりですか」と聞かれます。

お墓を持っている人ならば問題ありませんが、お墓を持っていない人ならば葬儀後の新たな心配が勃発し

「数に限りがあります」

「期間限定のお知らせです」

と焦らす言葉がどんどん飛び出し、冷静な判断ができなくなってしまうかもしれません。

また、葬儀で大きな金額のお金を動かしていると、お金の感覚がおかしくなってくることがあります。

お墓の問題は焦っていいことはありません。

遺品整理や不用品処理の業者からセールスの電話

遺品整理や不用品処理は日常で利用する機会が少ないため平均的な相場を知らずに損してしまう可能性があります。

お墓にしても遺品整理にしても急ぐことではありません。

・ 疲れているときには大きなお金の決断は後回し

・ 信頼できる人に相談してから決める

この2つに気をつけるだけで想定外の出費を防ぐことができるでしょう。

返品できる物は多めに準備して葬儀後の出費を防ぐ

香典返しは多めに準備しておく

葬儀で使うものの中には「返品可」なものがあります。

スーパーでは食品は返品できないものが多いですが、葬儀で香典返しに使うお茶やお菓子は返品可能です。

葬儀が無事に終わっても自宅にお線香をあげにくる人がいます。

通夜や告別式に参列できなかった人が香典をもってやってきます。

香典をもらったら香典返しが必要です。

葬儀が終わったあとは自宅に20個程度の香典返しを持って帰るといいでしょう。

「20個も多すぎる」と思うかもしれませんが、あとからもらう香典は意外と多いです。

職場に戻ると同僚から香典をもらうこともあります。

余ってしまった香典返しは葬儀社に返品ができるので多めに手元においておきましょう。

香典返しを改めて自分で用意すると新たな出費です。

しかもお茶や菓子折りは意外と値が張るため、葬儀社で用意した香典返しよりも高くつく傾向があります。

葬儀で動くお金の流れを知る大切さ

親の葬儀は「お金はどうでもいいから無事に立派に行いたい」と思うかもしれません。

しかし葬儀は想像以上に大きな額のお金が動きます

お通夜と告別式の受付がしまったら受付担当者から香典を受け取るのも喪主の役割です。

信頼できる人に受付をお願いすることも「お金を管理する」ために大切なことでしょう。

親の葬儀をするなんで想像したくないことかもしれません。

しかし、悲しみの中でも冷静にお金を管理し、葬儀を取り仕切った経験はその後の人生の大きな自信につながります。(執筆者:クリエイティブな節約家 式部 順子)