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国民年金と厚生年金保険の違い3つ 老後資金をさらに増やす方法

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国民年金と厚生年金保険の違い3つ 老後資金をさらに増やす方法

公務員などが加入する共済年金は2015年10月に、会社員などが加入する厚生年金保険に統合されました。

そのため現在の公的年金は厚生年金保険と、自営業者や非正規雇用者などが加入する国民年金の、2種類に分かれているのです。

これらの公的年金の加入者が納付した保険料は、その時点の年金受給者に対して、年金として配分されます。

つまり現役世代が年金受給世代に対して、国を通じて仕送りしているのであり、こういった仕送りのような仕組みは、「賦課方式」と呼ばれているのです。

実際のところ公的年金の財源の約7割は、公的年金の加入者が納付した保険料です。

残りの3割については、国庫負担(税金の投入)が約2割、年金受給者が少なかった時に貯めた積立金の取り崩しが、約1割になっているのです。

こういった財源の割合から考えると、積立金の運用の成否より、少子高齢化で保険料を納付する現役世代が減って、年金受給世代が増えることの方が、公的年金の財政に影響を与えると思います。

国民年金と厚生年金保険 違い3つ

国民年金は積立金が少なくなっている

国民年金と厚生年金保険の積立金は、別々に管理されているのですが、2019年12月頃のニュースによると、政府は両者の統合を検討しているようです。

それぞれが管理する積立金の、時価ベースの残高を調べてみると、2019年度末時点で国民年金が約8兆円、厚生年金保険が約149兆円になります。

このように国民年金については、現在でも積立金の残高が少なく、枯渇が懸念されているため、政府は厚生年金保険と積立金を統合して、枯渇を先延ばししたいようです

ただ両者を統合した後に、厚生年金保険のために使われるはずだった積立金を、国民年金のために使ってしまうと、厚生年金保険は統合前より枯渇が早まるので、簡単な話ではないと思います。

政府が最終的にどんな結論を出すのかを、注意深く見守るだけでなく、各人は厚生年金保険と同じように、老後のための積立金(貯蓄)を、しっかりと確保する必要があるのです。

また積立金をしっかりと確保できた厚生年金保険と、積立金が枯渇しそうな国民年金には、次のような3つの違いがあるため、老後資金を貯めたいという方は、この辺りを知っておいた方が良いと思います。

【相違点1】保険料の納付方法

厚生年金保険の保険料は給与から控除されるため、各人は税金や保険料などが控除された後の手取りで、生活していきます。

一方で国民年金の保険料は、口座振替にしている場合を除き、各人が納付書を使って納付します。

そのため給与を受け取ったら、先に生活費などを賄い、その後に余ったお金を、国民年金の保険料のために使う可能性があります。

これだと例えば無駄使いが多いため、余ったお金が少ない方は、国民年金の保険料を納付する意思があっても、未納になってしまうのです。

老後資金を貯めたい意思があるのに、貯められない方の中には、これと同じような状態の方がいると思います。

ですから生活費などを賄った後に余ったお金を、老後のために貯蓄するのではなく、厚生年金保険と同じように、給与が振り込まれたら、まずは老後のために貯蓄し、その後に残ったお金で生活するのです。

こういった貯蓄法は「先取り貯蓄」などと呼ばれており、多くの方が利用しております。

先取り貯蓄を実施するための制度としては、自動積立定期預金、勤務先の財形貯蓄や社内預金、つみたてNISA、iDeCo(個人型の確定拠出年金)などが候補に挙げられます。

いずれを選択するにしても、一度仕組みを作ってしまえば、後は自動的に老後資金が貯まるため、手間がかかるのは最初だけです。

一度仕組みを作ってしまう

【相違点2】保険料の決まり方

2020年9月以降に関する、1月あたりの厚生年金保険の保険料は、例えば月給が10万円の場合は8,967円、20万円の場合は1万8,300円、40万円の場合は3万7,515円、60万円の場合は5万3,985円になります。

このように厚生年金保険の保険料は、給与(月給、賞与)の金額に応じて決まるのです。

また原則65歳になると、厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」も、給与の金額(月給と賞与の平均額)に応じて決まります。

そのため厚生年金保険の保険料の負担が大きいほど、将来に受給できる老齢厚生年金が増えるのです。

一方で国民年金の保険料は、収入の金額にかかわらず、一律で月1万6,540円(2020年度額)です。

また原則65歳になると、国民年金から支給される「老齢基礎年金」も、保険料を40年納付すると、一律で年78万1,700円(2020年度額)になるため、収入による違いがないのです。

先取り貯蓄を実施する時は、国民年金のように貯蓄額を、ずっと一律にするのではなく、厚生年金保険と同じように、定時昇給などで給与の金額が上がったら、それに応じて貯蓄額を増やすのです。

各人の家庭の事情などによって、貯蓄できる割合は変わってきますが、給与の手取りの10%から20%くらいを、いくつかの制度に分けて貯蓄するのです。

特にiDeCoは一定の障害状態になったり、死亡したりしない限り、最低でも60歳にならないと、貯蓄したお金の引き出しが難しいため、すぐにお金を引き出せる他の制度と、併用した方が良いと思います。

【相違点3】加入する年齢の上限

厚生年金保険は所定の加入要件を満たしている場合、70歳になるまで加入するため、給与から保険料が控除されます。

65歳から老齢厚生年金を受給している場合でも、さらに保険料が控除されるため、納得できない方がいるかもしれませんが、65歳から70歳までの間に保険料を納付すると、その分だけ老齢厚生年金が増えます

ですから老後資金が心配という方は、できるだけ長期間に渡って、厚生年金保険に加入した方が良いのです。

一方で国民年金に加入するのは、任意加入の制度を利用しない限り、60歳までになるため、これ以降は保険料を納付する必要はありません。

60歳以降も給与収入などがある方が、先取り貯蓄を実施する時は、国民年金のように60歳で止めるのでなく、厚生年金保険と同じように、70歳程度まで続けた方が良いのです。

このくらいの年齢になると、子供が社会人になっている場合が多いため、給与から先取り貯蓄に回せる割合を、かなり増やせるのではないかと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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